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課題設定の「上り」と「下り」 (畑村式「わかる」技術(畑村 洋太郎))

2006-02-23 00:11:49 | 本と雑誌

 この本でも、「課題解決」より「課題設定」が重要だとの指摘がされています。

 この本で得られた「課題設定」のヒントは、「課題設定の『上り』と『下り』」です。

 通常の場合、課題を考える場合には、すぐ目の前にある事象をストレートに対象にして考えます。何かトラブルが起こったら、そのトラブル(だけに)注目して「問題点」「課題」を考えようとするのです。

 もう一歩進むと、事象を「より分析的」に捉えるようになります。トヨタ流の「なぜ」「なぜ」・・・の繰り返しによる「真の原因の追究」もそのひとつです。
 これは、課題を掘り返すという感じですから「下り」方向の「課題設定」ということにします。

 他方、「下り」があれば「上り」もあるのが世の道理です。

(p127より引用) 多くの場合、根本的な解決をする場合は、いま目の前にある問題と同じような種類、同じような脈絡、同じような性質をもっている問題は、全部一体で解決すべき課題であると考えます。するとそうした問題を共通項で括り上位概念に登ります。・・・すると、この大きな問題を課題として解決すれば、自分の目の前にある問題だけではなく、共通点をもった問題もすべて解決できることになります。

 「上位概念」とは、たとえば、建物でいった場合の「1階」に対する「2階」、会社組織でいった場合の「課」に対する「部」というものではありません。「上位概念」とは「抽象化」ということです。すなわち、「いくつかの事象の中に共通して含まれている普遍的な事柄を抽出する」ことです。

 ここで登場した「上位概念化」というコンセプトですが、これは先に紹介した同氏の「失敗を生かす仕事術」でも書かれています。
 同書では、「失敗を生かす『気づき』」という攻め口で登場していましたが、今回は、「課題設定」のための視座の工夫といった面から紹介されています。

 そして、ともかく、最も大切なことはこれらの探究に対する姿勢です。

(p127より引用) 共通点を見て、上位の概念に登っていく場合も、問題を分析してどんな要素と構造をしているかを見る場合も、まず大事なのは、具体的な問題があった場合、その問題がどんな構造をしているのか自分で分析してみて、そのうえで、自分の課題を決めることなのです。

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