タイトルが気になって手に取った本です。
著者は、国際教養大学理事長・学長で当学の創設者とのこと、その建学の志を記した本です。
まず、本書のテーマである“教養”ですが、著者が抱く“教養”は、単なる知識の集積ではなく「実践」を伴うものです。
(p2より引用) 教養とはつまるところ、その人の判断の根幹を支えるもの-行動哲学とでもいうべきもの-です・・・
したがって、“教養”を修得するためには、知識の獲得はもちろんですが、実行動による“体験”も不可欠だと著者は考えています。
(p102より引用) 本質を見抜く目というのは、人間の外にあるのではなく、内にあります。ここが教養教育の一番難しいところかもしれませんが、物事の本質-すなわち選択や決断の根本になるもの-を見極める目を養うには経験の蓄積が欠かせません。
この「経験」の中には、その場所に行く、人に会うといった実体験はもちろんですが、「読書」もひとつの経験です。
その観点から、著者は本書の巻末に「読書案内」としてブックリストを紹介しています。
そこで著者が薦めているのは、幼児期の「ちびくろサンボ」をはじめとして、成長するに従って、「マゼラン」「車輪の下」「おろしや国酔夢譚」。日本を知るという点からは、「三四郎」「人間失格」「石光真清の手記」。多様な人生に触れるという点から、「狭き門」「若きウェルテルの悩み」「シーシュポスの神話」。国際教養大学の学生の必読書としては、も含めた「武士道」「三酔人経綸問答」「菊と刀」「文明の生態史観」「論文の書き方」「万葉秀歌」「文明が衰亡するとき」。さらに世界を広げるために、「文明の衝突」「平和の代償」「創造の方法学」「職業としての学問」、そして著者自らの手による「国際関係論」。
まさに多種多様でどの本も興味深いものがあります。
数えてみると、これらの本のなかで私が読んだことがあるのはまだ8冊なので、せめてもう数冊には手を伸ばしてみようと思います。
日本人の教養 混迷する現代を生き抜くために 価格:¥ 1,470(税込) 発売日:2011-11-18 |
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