いつも行く図書館で日本文学の書架を眺めていた折に、たまたま目に留まった本です。
星新一さんの著作は、わたしが中学生のころですから、今から50年ほど前にはよく読んでいました。この「ノックの音が」も1965年(昭和40年)の作なので当時読んだ記憶があります。
ともかく星さんのショートショートは、プロットの巧みさ、独特の語り口に加え、とりわけ意表を突いた驚きのラスト(いわゆる“オチ”)が魅力でしたね。で、つい、懐かしさのあまり本当に久しぶりに手に取ってみたという次第です。
今回は、半世紀を経て、読み手(私)の感性がすっかり変わってしまっていますから、我ながらどんな感想を抱くのかと結構ワクワクしながら読んでみたのですが、あれほどインパクトが強いと思っていたにもかかわらず、見事にひとつの作品も記憶に残っていませんでした。
星さん的な、書きぶりや語り口は、はっきりと思い当たるのです。でも、ストーリーやオチについては何一つ覚えていないんですね。とても情けない限りです。
ただ、翻って考えてみると、新鮮な感覚でひとつひとつの作品を楽しむことができたとも言えるわけです。
で、サクッと読み通した感想。
もちろん“ネタバレ”は避けますが、すべての物語が「ノックの音がした」という同じ書き出しで始まる名作の数々。今回、久しぶりの再会で思うところといえば、ともかく “一級品は、月日を経てもやはり一級品だった” ということですね。
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