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いつかどこかで聞いたような

2006-01-03 01:19:29 | 本と雑誌

  「寺田寅彦随筆集」の中で、私の気にとまった一節です。

(p271より引用「笑い」) (笑いの原因について)ともかくも精神ならびに肉体の一時的あるいは持続的の緊張が急に弛緩する際に起こるものと言っていい。

 私の好きな噺家の桂枝雀さん(故人)が、「笑いは緊張と緩和」ということをよく話の枕で語っていました。同じ趣旨かもしれません。
 以前、といってもはるか昔の中高校生のころですが、寝る前布団の中でよくラジオの寄席を聞いていました。それから少し年を経たぐらいが、枝雀師匠の世の中的な人気の絶頂期だったと思います。 「爆笑王」と言われましたが「異才・天才かつ真面目な努力の人」でした。

(p279より引用「案内者」) いくら完全でも結局案内記である。いくら読んでも暗唱しても、それだけでは旅行した代わりにならない事はもちろんである。

 これと似たようなことは、「先入観を持つな」「自分の頭で考えろ」といった文脈で多くの人が語っています。このBlogでも勝海舟の「氷川清話」やショウペンハウエルの「読書について」等でご紹介しました。

(p295より引用「断水の日」) 構造物の材料や構造物に対する検査の方法が完成していれば、たちの悪い請負師でも手を抜くすきがありそうもない。そういう検定方法は切実な要求さえあらばいくらでもできるはずであるのにそれが実際にはできていないとすれば、その責任の半分は無検定のものに信頼する世間にもないとは言われないような気がする。

 ちょっとスキームは違いますが、最近社会的に大きな問題になっている事柄を思い浮かべてしまいます。

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