福沢諭吉と言えば、100人のうち100人、人間の自由・平等・権利の尊さを説いた「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずと云へり」という超有名フレーズを思い浮かべると思います。
このフレーズで始まる「学問のすゝめ」は、諭吉が壮年期に著した十数分冊からなる著作で、一説によると340万部以上売れた当時の大ベストセラーだったようです。
今回読んだ「福翁自伝」はその諭吉の晩年の著作(明治三十二年刊)です。日本人の自伝文学の最高峰として定評があるとのことで手にとってみました。
私には文学的は評価は分かりませんが、確かに非常に面白い読み物でした。
特に、末尾近くの、諭吉が度重なる官界への誘いに頑として応じなかった理由を語っているくだりは、まさに、権力の威を借り大樹に寄る者たちに対する諭吉の「独立自尊」の気概の礎が記されています。
諭吉は、幕末から明治にかけての変動期において、その活劇中の登場人物とはならず、別の土俵に居て新しい時代を見据えるべく俯瞰的視座を保った稀有の人物でもありました。
また、本書に書かれている挿話ですが、このブログでも紹介した勝海舟について、
(p140より引用) 勝麟太郎という人は、・・・至極船に弱い人で、航海中は病人同様、自分の部屋の外に出ることはできなかった・・・
との咸臨丸での渡米の際の逸話を紹介しており、当時からどうもよい印象はもっていなかったようです。(事実、後年、諭吉は「痩我慢の説」にて勝海舟と榎本武揚を厳しく批判しています)
その他、この自伝では、長崎・大阪・渡米・渡欧時のエピソードに加え、(慶応)義塾にて日本で始めて授業料を取って教授したとか、簿記関係の用語は多くは諭吉の翻訳によるものだとか、はたまた、二本差しは早くからやめたが実は居合い抜きはかなりの腕前だった等々紹介されており、いろいろな姿の興味深い諭吉像が楽しめます。
コメントありがとうございます。
益田さんの場合、ともかく「独立自・」まで達成しているのですからすばらしいです。
私は、「独立」にすら届いていません。
心持ちだけでも、そういう気概を持ちたいと思います。
助成金無し、借金無し、寄付無しで障害者の自立と社会参加の促進を目指して事業運営をしています。
今のところは財産ばかりを食いつぶす「独立自損」(^。^;)ですが、いずれは開花させられるようにしたいと思っております。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。