軽い読み物はないかと、いつもの図書館の新着書リストを覗いていて目に留まった本です。
著者の松任谷正隆さんは音楽プロデューサー、奥様は言うまでもなく松任谷由実さん。このエッセイでも随所に登場します。
本書は、読売新聞で連載されたコラムに数作の書下ろしエッセイと対談とを加えて構成された書作ですが、全体は「マナー」というテーマで一貫されています。長く書き続けるうえでは、こういった「テーマの限定」があるのも題材探しに軸ができて好都合なところがあるのかもしれませんね。
そういった中から、興味を持ったくだりをひとつ。
(p122より引用) 服の面白さは空気感に尽きる、と思う。その時代の空気を纏える、・・・
僕は新しい音楽を買うように新しい服を買う。インプットするという意味に於いては音楽も服もまったく一緒だ。おお、今年はこんな感じなのか.....。なんだか勉強が出来たような気持ちになる。
音楽やファッションは「自己表現」という意味で“アウトプット”だと思っていたのですが、こういった捉え方もあるんですね。
で、肝心の読みどころですが、私もミーハーなので、著者の正隆さんの奥様である“ユーミン”が登場するとやはり気になります。多くの場合、“やっぱり、そんな感じかぁ”という印象ですね。
(p57より引用) このあいだも借りているポルシェに乗せて、これはどこのクルマだ?とマークを隠しながら聞いたら、「この乗り心地はトヨタだわね」などと堂々と答えてくれた。少々感性に疑問あり、かもしれない。
松任谷ご夫妻も結婚されて40年以上、それなりの年月を重ねていることもあり、語られる家庭内のエピソードも “ほのぼの系”。心地よい雰囲気を楽しめました。