OMOI-KOMI - 我流の作法 -

For Ordinary Business People

平田昭彦、川谷拓三 (ゴジラと日の丸(片山 杜秀))

2011-05-27 22:14:57 | 本と雑誌

Gojira 文字が小さくて、それでいてボリュームのあるコラム集です。
 収録されているコラムは全部で400本を越えるのですが、その中から順不同に私の興味を惹いたものをご紹介します。

 まずは、「ゴジラ第1作(昭和29年(1954年))」に出演した俳優平田昭彦さんを取り上げたもの。

(p47より引用) 平田の本当の魅力は、見てくれの真面目さの裏にうごめく、不真面目でニヒルな〈はぐれ者精神〉にあったと、ぼくは信じている。・・・
 その意味で彼の代表作は、やはり54年の『ゴジラ』だ。何しろ、そこで平田の演じる芹沢博士は、戦争に傷つき、社会に背を向け、ゴジラと心中させられるはぐれ者、まさに平田の分身なのだから。

 実は私、子どものころから怪獣映画は大好きで、ゴジラシリーズはすべて見ています。この「ゴジラ」第1作もDVDで見ましたが、世相を反映した重々しい画面で、強烈なインパクトのある作品でした。その中でも芹沢博士は独特のキャラクターで、まさに平田氏のはまり役という感じです。

 もうひとつ、1970年代一世を風靡した「ピラニア軍団」。室田日出男さん・志賀勝さん・川谷拓三さんといった個性派脇役俳優らの活躍に、主役を食う下克上の痛快さを見た短文。

(p140より引用) そんな痛快なピラニア的時代も、間もなく終わった。なぜなら、ピラニアが食い荒らすべきビッグなスター、本物の権威といったものが、80年代以降、政治、芸術、芸能等々、どの分野でも見つからなくなったからである。
 ピラニアたちが活躍しすぎたのか、とにかく、脇役が主役を、低級なものが高級なものを、もう浸蝕しきってしまったのだ。結果、お互いの境界線は、ほとんど消えた。すべてはドングリの背くらべになった。

 確かに、豪放磊落、いかにもという「大スター」はいなくなりましたね。
 現在の映画界では、強いて言えば渡辺謙さんあたりがそれにあたるのかもしれませんが、ちょっと持っている雰囲気が違う気がします。とても真っ当な想定内の方なので、よしにつけ悪しきにつけ「伝説」にまでは昇華しそうにありません。


ゴジラと日の丸―片山杜秀の「ヤブを睨む」コラム大全 ゴジラと日の丸―片山杜秀の「ヤブを睨む」コラム大全
価格:¥ 2,835(税込)
発売日:2010-12

↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしい すごい とても良い 良い

TREview

TREviewブログランキング

人気ブログランキングへ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする