本屋さんでタイトルに惹かれて手にとって、パラパラとページを繰ってみました。
面白そうだったので、いつも行っている図書館の蔵書検索をしてみると、結構最近の出版であるにもかかわらず既に「貸出可」とのこと、早速借りて読んでみました。
「数学者である著者のある一日」という設定で、その日の出来事を材料に多彩な数学のテーマを易しく解説していきます。
全部で13章あるなかの8番目「ロングテール」の記事を取り上げた章では、「無限の和」について語っています。
(p191より引用) 無限に多くの数を足し合わせることは、無限に魅惑的なことでもある。・・・
数学で魅力的なことのひとつは、たいてい、証明を視覚化する多くの方法があることだ。たとえば、1/2+1/4+1/8…はいくつになるだろう?これを、1×1の正方形を小部分に切り分けると考えたい。・・・つまり、1/2+1/4+1/8…は、正方形の面積である1になるだろう。したがって、実は1/2+1/4+1/8…=1であるという「図による証明」となる。
こういうのを見ていると、数学は面白いと改めて感じますね。また、1+1/10+1/100+1/1000…を求めるこんな解き方もスマートです。
S=1+1/10+1/100+1/1000…
10S=10+1+1/10+1/100+1/1000…
10S-S=10
9S=10
S=10/9
幾何学や代数学を使って、複雑そうに見える問題をものの見事に解決する爽快感はたまらないでしょう。私は文系の人間ですが、はるか昔の大学受験期には数学が大好きだったので、こういう解法をみると懐かしくなります。
さて、この「無限の和」ですが、以降、こういう解説が続きます。
(p194より引用) 無限に多くのどんどん小さくなっていく正の数を足し合わせると必ずある数になるということは、もっとものように思われるが、そうではない。・・・すべての正の整数の逆数を合計することを考えてほしい。・・・
1/1+1/2+1/3+1/4+1/5+1/6+1/7+1/8+…
≧1/1+1/2+1/4+1/4+1/8+1/8+1/8+1/8+…
=1/1+1/2+2(1/4)+4(1/8)+…
=1/1+1/2+1/2+1/2+…
ということで、こちらはゆっくりとではありますが、ずっと永遠に大きくなっていくのです。いやはや面白いですねぇ。
本書は、こういった無限級数のほかに、確率・期待値・効用関数・統計・ゲーム理論、整数論、フラクタルなど様々な数学のテーマが登場します。ちょっと数学に興味のある方なら、読んでみると結構楽しいと思います。
ただ、12章のビートルズの楽曲のコード解読のくだりは、かなりの音楽ファンでないとついていけないかもしれません。音楽の素養が全くない私は、当然ダメでした。ちょっと残念です。
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