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AHAでとどまらない (発想の視点力(三谷宏治))

2010-07-01 21:11:55 | 本と雑誌

 「比べる」ことに加えて、三谷氏が勧めるもうひとつの発見のための視点が「ハカる」ということです。計る・測る・量る・・・。

 実際に対象を「ハカる」ことによりいろいろな事実が見えてきます。が、多くの企業が知りたいと求めているのは、顧客である「ヒトの心や行動」です。

 
(p111より引用) ヒトは「こうする」と話した通りには行動しない。・・・何をどうハカればヒトの心を読めるのだろうか。
 それには、言葉(インタビューやアンケート)に頼らず、行動そのものに尋ねることだ。・・・
 そういった行動調査の方法論として近年注目されているのが、・・・エスノグラフィー(Ethnography)という手法だ。人類学(Anthropology)の用語だが、一般に「行動観察調査」と呼ばれたりする。

 
 ヒトの本心は表面に表れる言葉では捉えられないというのです。口で言うことではなく、実際の「意思決定の内容」すなわち「行動」にそのヒトの真の価値観が現出していると考えるのです。

 
(p121より引用) ヒトの価値観をハカるには、その人の過去の資源配分とトレードオフ経験を探っていくことだ。過去(=行動実績)に向かえば、ヒトの真実が見える。

 
 確かに、たとえば「購買行動」を例にとってみても、「欲しい」「買いたい」と思うものと「実際買った」ものとは必ずしも一致しません。「思う」ことは将来的なニーズの表出ですから、これはこれで重要なマーケティングデータではあります。が、「今の購買契機」とは異なることをキチンと意識して理解しておくことは確かに重要です。

 さて、三谷氏本書の後半で「発見」を「発想」に結びつける方法を開陳していきます。

 三谷氏は、よいアイデアを出すためのプロセスは、ブレーンストーミング等で企図しているような「発散と収束」ではなく「発見・選択・探求・組合せ」だと主張しています。そのための具体的方法が「JAH法」です。

 
(p174より引用) 本質を見抜き、展開するステップが「JAH(軸値巾。Jiku Atai Haba)」法だ。「軸」は属性と言い換えてもいい。「値」は対象物がその属性の中でどういった状態に当たるのかであり、「巾」はその属性が取り得る値のすべてを示す。

 
 たとえば、「関あじ」だと、軸は「魚種」、値は「アジ」、巾は「サバ・イサキ・カレイ・・・」となるのです。これにもうひとつの軸「水揚げ港」を加え「佐賀関」という値に「三崎漁港」等に巾を広げて組み合わせると、「関サバ」「三崎アジ」といったアイデアが生まれるとの発想法です。
 すなわち、ポイントはこういうことになります。

 
(p192より引用) 「JAH法」で本質=軸をつかんで分析。巾を組み合わせ新しいアイデアを創る

 
 私なりに解釈すると、三谷氏が説く「発想力」の要諦は「新たな組み合わせによる化学変化」にあるように思います。
 本書で紹介されている、その化学変化の可能性を拡大するためのヒントを最後に記しておきます。

 
(p202より引用) 他家受粉(自家受粉でなく)を促進するためにの組織行動として、ケリー氏は七つのやり方を挙げている。
①多様な経歴の人材を雇う②多様な文化を取り入れる③多様なプロジェクトを進める④客人と会い学ぶ⑤社内の発表会をする⑥一流の論客によるノウハウ講演会を週一でやる⑦議論が巻き起こる空間を作る
いずれももっともで、奇手ではない。実行あるのみだ。

 
 そうですね。すぐにでも、また自分だけでもできることがいくつもあります。
 まずは、そのうちのひとつでもいいので「実行」してみましょう。
 
 

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