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哲学の知 (アリストテレス入門(山口 義久))

2007-02-24 19:58:14 | 本と雑誌

Atene_no_gakudo  ご存知のとおり、アリストテレス(Aristoteles 前384~前322)は、ソクラテス・プラトンと並ぶ古代ギリシャの哲学者です。
 マケドニアのスタゲイラに侍医の息子として生まれ、17歳でアテネに出てプラトンの学園アカデメイアに入門しました。その後、前342年、マケドニア王フィリッポスに招かれて王子アレクサンドロスの家庭教師となり、さらに、アテネに戻ったのちは自らの学園リュケイオンを開きました。

 いままで、ソクラテスプラトンに関する本をほんの少しだけ読んでみたので、どうせならアリストテレスもということで、この入門書を手に取ったというわけです。
 結果、内容を理解したには程遠い状態なのですが、いくつか覚えを記しておきます。

 まずは哲学の語源である「知」についてのアリストテレスの考えです。

(p88より引用) ただそうであるという事実を知っているだけでなく、なぜそうであるかを知っていることが知者に固有のことなのである。そしてアリストテレスは、この「なぜ」をアイティアー(原因・理由)とも呼ぶ。哲学の求める知は、たんなる事実知ではなく、原因の知なのである。

 そして、この「なぜの答え(原因)」として、アリストテレスは4種の原因を挙げています。

(p89より引用) 彼(アリストテレス)は、・・・なぜという問いの答え方には四種類あるという。これがいわゆる「四原因」の説である。すなわち、①質料(あるいは素材)としての原因(質料因)つまり当のものが何からできているかを説明すること、②形相としての原因(形相因)つまり当のものが何であるかを説明すること、③動(運動・変化)がそこから始まる始原(始動因)つまり当のものが成立するための動きや変化をあたえたものを説明すること、④目的としての原因(目的因)つまり当のものが何のために成立したのかを説明すること、の四種類である。

 この4つの原因の提示をアリストテレスの哲学的業績とみなす識者もいるようです。

 アリストテレスとプラトンは師弟関係ではありますが、双方とも巨人であり、両者の間で引き継がれた思想もあれば、相違・対立した思想もありました。
 相違・対立したものとして根本的なものは、プラトンのいう「イデア」についてです。

 あるものが「何であるか」ということと、「何からできているか」ということは同じではありません。前者が形相(機能・構造)、後者が質料(素材)といわれるものです。

 プラトンの「イデア」は、いわば質料から切り離され超感覚的な世界に存在する「形相」です。
 他方、アリストテレスは、形相と質料が個物の中で密接に結びついていて両者は切り離すことができないと考えました。したがって、アリストテレスは、プラトンのいう「イデア」を認めないという立場です。

 有名な話ですが、ラファエロの「アテネの学堂」に描かれたプラトンとアリストテレスの姿は、両者の思想上の違いを表しているとも言われています。

アリストテレス入門 アリストテレス入門
価格:¥ 735(税込)
発売日:2001-07

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