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失敗は成功のもと by ドラッカー (ドラッカー365の金言(P・F.ドラッカー))

2006-07-03 00:18:13 | 本と雑誌

 ドラッカー氏は、マネジメントに対して「イノベーション」を起こすことを求めます。

(p212より引用) イノベーションのためには、七種類の機会を調べなければならない。
 最初の四つは、組織の内部あるいは産業の内部の機会である。第一が予期せぬこと、・・・第二が現実にあるものと、かくあるべきものとのギャップである。第三がニーズである。第四が産業と市場の構造変化である。残りの三つは、組織や産業の外部の機会である。第五が人口の変化である。第六が認識の変化・・・第七が発見による新知識である。

 ドラッカー氏が挙げる第一のイノベーションの機会は、「予期せぬこと」です。
 「予期せぬこと」は、自分たちの想定外の事象です。
 想定外の事象の発生は、自分たちのもっていたある種の既成概念・先入観が、外部環境とミスマッチを起こした証左となります。ここに、イノベーションにつながる種があるという考えです。

(p214より引用) 予期せぬ失敗の多くは、間違い、物真似、無能の結果である。しかし、緻密に計画し、設計し、実行したものが失敗したときには、失敗そのものが、環境の変化すなわち機会の存在を示すことが多い。
 予期せぬ失敗は、顧客の認識や価値観の変化を示す。

 この顧客の認識や価値観の変化をうまくキャッチすると、新たなマーケットへの気づきにつながります。

(p219より引用) 予期せぬ成功や予期せぬ失敗は、消費者側の認識の変化によるものであることが多い。認識の変化が生じても、事実は変わらない。起こるのは意味の変化である。

 イノベーションの源泉という意味では、従来は個々の産業に密着した技術開発(R&D)機能がありました。
 多くの企業でその企業内に研究所をもち、その成果を新製品開発に活かしていました。この企業内研究が機能していた時代の技術革新は、ある程度想定内の範囲のものでした。

 しかし、今日では、技術は一つの企業や産業の枠組みに閉じたものではなくなりました。研究開発の成果としての技術は、当初想定した産業ではない分野でも活用されています。

(p243より引用) 技術が産業を越えたために、もはやいかなる産業、企業にも、独自の技術というものがありえなくなった。そして、産業が必要とする知識が、馴染みのない異質の技術から生まれるようになった。こうして伝統ある企業研究所が陳腐化した。

Shark  ここにおいて、企業研究所の位置づけ・意味づけの再定義が求められるのです。
 R&Dにおける「死の谷」や「ダーウィンの海」の議論もこの点に関するものです。

コメント
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