歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

[2013英国旅日記:9-1] Fountains Abbey ~廃墟の修道院~

2015年07月13日 | 英国 -england-
2013年夏の、イギリス旅日記。

 7月28日(日)〜9日目〜:@Yorkshire dales(ヨークシャー・デイルズ)

この日は丸一日、
最寄りの‘世界遺産’を堪能することにしました。

来たのは、北ヨークシャーの、、、



Fountains Abbey(ファウンテンズ・アビー)。です。



エントランスにあるビジターセンターは、



古い石と、伝統的な石積み塀を用いつつ、モダンな設え。「世界遺産」はまだ見えません。



地場の石の、加工場。何かの修復中でしょうか。

へえ、こういう風に作ってるんだな〜という、なかなかお目にかかれない過程が知れるので、
外国の工事現場って、とても興味深いです。



エントランスから、ゲートを抜けて。



しばらく歩きます。



まだ見えません。



見えてきました。



潺潺(せんせん)と流れる水に誘われるがまま、水に沿っていくと、、



廃墟の片鱗が。



ファウンテンズ・アビー。

ファウンテンズってのは、泉のことですね。
アビーは、修道院のこと。

この修道院は、12世紀に創建されたシトー派のものだそうな。
そして、
16世紀、ヘンリー8世によって滅ぼされました。



廃墟ロマン。

厳かに、つぶやいてみたくなります。

「世 界 遺 産。」



ブルーベル





随所に生えた野花が、いい味。



この修道院、図面無しで作られたそうです。

そして、修道士がDIYで作ったのではなくて、大工さんや石工さんを雇って作ったそうです。

以上、
パンフレット情報。



こういう、すごく古い、重厚な歴史を背負った建築は、大好き。
とりわけ宗教建築は、造り手や使い手の想いがより濃く感じられるので、とても惹かれます。



こういう、生々しい痕跡だとか。



風化と残像の痕だとか。




光と



影と



生と、死と。




膨大な時間の記憶が沁み込んでいる空間の、圧。





それをすっぽり包む、空虚の、圧。








タイムスリップ感。











偲ばれる、修道士の生活していた痕跡。
生息の痕。









石、
ピンクなのが、気になります。



綺麗な、淡いピンク。



鳥の巣。



花。

今を生きるもの。



身体の内側が暴かれたような、グロテスク。



途切れる階段の、ポエティック。




廃墟は、時間が止まった場所。



廃墟に居ると、時間の感覚が消えます。






この修道院は、
17〜18世紀、ここを手に入れた元政治家(Aislabie:エスラビー)によって、水をテーマにしたガーデンが整備されることによって、
特異な風景を持つ庭園として、新しい顔を持つことになりました。



Studley Royal Water Garden(スタッドリー・ロイヤル・ウォーター・ガーデン)。





釣船草(ツリフネソウ)












もんのすごい、




広いです。



フォーマル(形式的)な平たい水辺の芝公園があって、



白鳥が居て、



像があって、



水辺には、野草が咲いていて。




青くて細い、美しいトンボが居ました。



わかるかな。






創られた当初の絵が残っており、



灌木が茂りすぎて、鬱蒼として原型を止めない状態になっていたので、

修景中のようです。



水辺を囲む、森の道。



人気の無い森の中を歩いていると、

ドダ ドダドダッ



ドキッとして見ると、



鳥でした。

しかも、たくさん。

何て鳥でしょう?キジみたい。

ドダドダッと、重そうな音をバタバタ立てながら、逃走。



飛ばない。

走って逃げる。



あっちからも、こっちからも。
バタバタ、大騒ぎ。



どうやら、彼らの巣食うゾーンに踏み込んだらしい。









一転、静かな場所へ。

さらに



静かすぎて、



ちょっと恐ろしげな場所へ。



闇のバキューム。




入ろうか、入るまいか。



入る。



なんか怖ぇえ〜〜


抜ける。

こんな、闇の瞑想スポットが、



ちょこっと、ある。



日本でもたまに、山岳修行的な山中で出くわしますが、
あんまり居たくない、陰湿な重さがあります。

こういう洞穴系は、何か悪いものが居そうで、苦手。



光を見て、ほっとします。






鏡水。




流される藻。







水草に戯れるカモベイビー。





ウォーターガーデンと謳うだけのことはある、



水辺がどどーん、な感じ。






カモ一族。





草臥(くたび)れる花。



再び森。



死んだ樹。







生きる樹。



露わな根。



露骨な根。



たまにある、前時代的な彫刻オブジェ。



苔むす石の道。




しっとりした苔生す森は、やはり一番落ち着きます。





ぐるーっと巡って、



戻ってきたようです。







修道院よりも先にあったという、ファウンテンズ・ミル(水車小屋)。



水車パワーで穀物を挽いていました。



自力で粉挽き。体験コーナー。












というわけで



写真たっぷりで、一気にお送りしました、

「世 界 、 遺 産 。」(渋い声で)

駆け足気味で、お届けしました。




 >> そして、まだ続く。>>



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