歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

[2013英国旅:4-2] Fwa-Fwa Flowery Garden

2014年08月19日 | 英国 -england-
7月23日:英国4日目。昼。

可愛い村:チッピング・カムデン(Chipping-Campden)を発ちまして。



樹々が覆い被さるB道路を、ひた走り。(対向車来ないでー!と必死に祈りつつ)

コッツウォルズ北部、
村のはずれの 静かな郊外の中にある庭園にやってきました。



入口はこちら。



ヒドコート・マナー・ガーデン(Hidcote Manor Garden)。

「ヒドコート」っていうのは ここら辺の地名(=Hidcote Bartrim)で、
「マナー」っていうのは、荘園とか領地とかいう意味。

 (※公式HPは >>☆☆☆



早速迎えてくれる、フワフワしたボーダーガーデン。

20世紀初頭、アメリカ人のローレンス・ジョンストン(Lawrence Johnston)によって作られたイングリッシュ・ガーデンです。1948年以降、‘ナショナル・トラスト(National Trust)’による管理の下、公開されています。

 (※National Trust:英国の歴史的文化遺産や自然遺産を保護するボランティア団体。)



大きな建物は、領主の邸宅だった名残り。というかこれ、チャーチですよね。



立派な暖炉のあるリビングに、



美しい本棚。

そして、
扉の向こうに、



さあ。
庭が待ち受けています。



この庭園の特徴は、
Outdoor 'Rooms'、つまり、屋外の‘部屋’と称される空間が、25‘部屋’あること。

ツゲなどの植栽の刈り込み壁で仕切られた‘部屋’ごとに、色や性格を異にしており、



「扉」をぬけるごとに、





がらっと新しい風景が待ち受けています。



メリハリが利いていて、楽しい。

そして何より、



花が豊富で、



大きくてワイルドで、



だけど、しっかり絶妙に配色構成が出来ているので、
すっきりしていて、



しっかりまとまっていて、



でもキツキツしてなくて、



とても柔らかい。




とてもフワフワしていて、

心地好い。

部屋を仕切る壁はキッチリ作られているし、



きっちり整形された大陸的な庭も、もちろんある。



けど、
全然堅苦しさを感じない。






ひとつひとつ展開される部屋の‘中’の、解放感の賜物か、



花の妙か。




道はひとつではなくて、あっちへこっちへ、迷路のように張り巡らされてゆく。




迷路を楽しむように、お客さんはめいめいの好む道を直感的に選びながら、
愉しくさまよう。




植物は、ほんとに生き生きしてる。



ワイルドで。



どこをとっても絵になるので、
ぞわぞわする。



撮り過ぎざるを得なくて、困る。



あっちもこっちも、格好良い。



赤のボーダーガーデンゾーン。とか。



真っ赤なダリア。

とっても広い庭園の中、
しばしば、ぱっと姿を現すベンチとか、

シンボリックなガゼボとか、



風景を切り取って、



元来た道を、またガラリと違う様に見せてくれたりして、




また戻りたくなったり、そこでのんびり座って、360度を満喫したくなったり。




良く出来た回遊式庭園は、
同じ道のはずなのに、往きの道ゆきで見せる見え方と 帰りの見え方とが、がらっと、別物のように見えたりする。
いちいち、新しい発見があるのです。

だから、行ったり来たり・出たり入ったりすると面白く、あまりに奥深くて、卒倒しそうになるほど。

さすがにここは、どこまで続いてるんだか 途方に暮れるほどの長い道とか、



さらに脇道があっちにもこっちにも伸びたりしているので、もう、どっちに行ったらいいやら。
一周で精一杯ですが。


とりあえず、先へ先へ、まだ入ってない部屋へ。



きっちり仕切られた庭園ゾーンから、



いつしか、
ゆるやかな、自然な森ゾーンへ。



いろんな木。





いろんな花。



いきなり



深い森になったり。
川が流れてたり。



ネタが多すぎてクラクラしそう。



日本では自生してないアストランティアが、森の木陰でそよそよと群生している様は、
妖精が出て来そうな、幻想的な雰囲気。



道もいろいろ。



花は大きく奔放に伸びているのに、どれも倒れたり潰れたりしてない。

ちゃんと生きてる。






庭の外の世界。

そのままつながっているように見えて、



こっそり境界がある。



石積みの段差で。

あちら側とこちら側。



どこまでも続く、雄大な借景。

周縁部は、借景と融けてつながって、スケールがゆるやかで、森状態。







コッツウォルズのハチミツ色の石がゴロゴロ。
ロックガーデン。



このでかい石、ボルダーって言うんだけど、結構お高いんですよ、日本だと。
それがまあ、あっちにもこっちにも、贅沢にゴロゴロと、、、

、とか、現実的な目で見てしまう職業病が嫌。






キリッとした、シンボリックな風景もあり。






ぐるりと廻って、



栽培ゾーンに来ました。



育成用のケージ。



野の花(ワイルドフラワー)育成用のゾーン。



のぞくポピー。


花苗畑。




果樹ゾーン。ヒメリンゴ。






ちゃんとリストもあり。学名で書かれてる。


その傍らには



唐突にテニスコートがあったり(しかもちゃんと目下使われてる)。

その奥には



ミツバチボックス。

ミツバチは草花にとって大切な存在。



デルフィニウム。


イギリスで見る花の中でも、特に青い花は際立って美しく映えて見え、
とても印象的でした。



いや、ピンクも黄色も、軒並み綺麗。



白ももちろん、完璧です。(エリンジウム=マツカサアザミが、格好良い)




紫も緑も。

ぜんぶ淡くフワフワして、綺麗でした。



色の取り合わせ、
花の種類のまとめ方、
量の加減、

とにかく、上手い。
全然、とっ散らかってない。
(日本のバラクラガーデンは、正直、花がぎゅーぎゅー詰め込まれてて、色もとっ散らかってる感じがあった。)

「本物のイングリッシュ・ガーデン」ここに見たり。という感じ。



凄い。



色々、全部揃ってる。

初日に訪れたキューガーデンは、ここと比較するなら、
どちらかというと「植物園」という感じでした。
しっかり作られた植物の‘博物館’みたいな。

ここはもっと、より「イングリッシュ・ガーデン」っぽくて、
そして、とにかくソフトでナチュラル。
気楽な感じ。

ロンドン近郊とは違う、カントリーの長閑さが漂ってる気がします。




植物好き、特に花好きなら、飽きないでしょうね。
季節を変えて、何度も来れたら。

しかし



なかなかさすがに、広いです。




コケにも触れました。

余は満足です。




ぐるりと廻って、

再び、出入口の方へ。




最初スルーしたけど、
入口には、必ず通らざるを得ない構造で、カフェゾーンとお土産ゾーンが固まっています。



花苗ももちろん売ってるし、



オーナメントも。フクシアとウリ坊。



鳥とか。
銅(かなんか)で出来てる動物があちこちに。展示の仕方に遊びがあります。




ガーデングッズも。
このバッグ、広げるとマットになります。すげー欲しくなったけど、マネーのことを考え、欲望を断ち切る。



素敵ソーラーライト。輸入したい。



綺麗なダリア。


庭に出入りするためには必ず通らねばならないゾーンに、誘惑のお土産コーナーを設けるシステム。バラクラはここを参考にしたのかしら。

それはさておき、




再び出入口。





しかし、
良~く出来た、良いガーデンでした。なにより、メンテナンスしてるスタッフさんに感動。


スタッフ様々です。

満喫。ありがとうヒドコート。



トイレの建屋には、香り佳き白いバラがもっさりかぶさっていました。




というわけで、
イングリッシュ・ガーデンを堪能し、さて次は、、、

どうしよう。

あちこち閉園してしまう夕方まで、まだ微妙に時間がありました。

ユースでゲットした、ガーデンガイドマップを広げる。

、、、また別のガーデンに行く?、、、さすがにあちこちに色々あるけど、、、でも、同じようなガーデンは、もう食傷気味かも・・・。

おや。




「Arboretum」

すなわち、

「樹木園」を発見。

これはちょっと違うテイストかも。

地球の歩き方にも、もう一冊持って来たガイドブックにも載ってない。


気になる。


よし。


とりあえず行きましょう。迷ってたら閉まっちゃう。


、って、
時間つぶしくらいの軽い気持ちで向かった次の「樹木園」で、

ヒドコートを上回るほどの 衝撃的な感動をずがんと食らうことになるのです・・・


・・・が、



 >>続く。>>







最新の画像もっと見る

post a comment