歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

名残桜に緑風

2010年04月30日 | 徒然 -tzure-zure-
ゴールデンウィークに入った模様です。





最近 異様に寒い雨の日が続いていましたが

ようやく というか

にわかに
「初夏」らしい

すこぶる元気な あたらしい風が、吹き荒れ始めました。




昨日は、相当強い風でした。

風も強けりゃ
光も影も 強い。






光が 強けりゃ

色も 強い。









桜並木の
軒並み散ったあとの「野川」は
いま



ナノハナの
まばゆい蛍光イエローに溢れています。


人の高さほどに伸びた、黄色のじゅうたん。




風にぶわんぶわん吹かれながら、風を切りながら、
走りながら撮ったら、

色鉛筆でシャシャシャッと手描き加工した、みたいな「絵」が、
ナチュラルに撮れました。





ちゃんと止まって撮ったのより、なんか、
良い。


ぶれているほうがきっと、より真っ直ぐに伝わるニュアンスも、ある。








野川の桜も、

最高潮のあとの、凪模様。




いまだ咲くのは

ぼんぼり型の、八重桜。



それもじわじわと 散り、

降り、

積もる。




自転車を しばし休めて

生き急ぐように散る花の 最期のさまを

しばし 立ち止まって

しばし じっくり、眺めてみる。



光の桜色と。



影の桜色。



黄昏呑んで、




甘い桜色。


黄昏落ちかけ、



蒼い桜色。



急ごうが 急がざろうが



光陰 矢の如し。









そうして



逝く春と。





そして また、

産まれる 夏の色と。









新しい風が動き出して

新しい緑が賑わい出した、

ゴールデンウィーク。



一方:

北国の秋田では、ひと月遅れで桜の咲き出す、
北国バージョンの、ゴールデンウィーク。

オープンから早3年目の春を迎える「秋田 森のテラス」では、
素敵なコンサートも開かれるようですよ。 >>詳しくはコチラ**

友人のFEVE(フェヴ)さんも、お茶とお菓子を出店するそうです。美味しそうです。


春の森に響く重松さんのピアノ。いいんですよ。。いいですねえ。。。

ちょっと遠いんですけれど、
思い切りの良い方。もしくは、
思い切りたい方・踏ん切り付けたい方は、ちょっくら「えい」!っと、行ってみては?


とても気持ちの良い、“森の庭”です。





春と夏の、境目に。

みなさんはどう過ごされるでしょうか?


自分も、色々と、活発に動き回りたいなと、思います。

なんせ、
今日も、良いお天気!

良い風が吹いています*







アートのキャリア

2010年04月29日 | 仕事 -work-
「今日は」と書き始めた、昨日の日記。
書きながら、12時を回ったら、すとんと
寝てしまっていました。

そして、6時寸前に、ひょいと、目覚めます。

いつの間にか、そういう体質です。






「フリーの身」っていうのは
尋常でなく大変ではありますが、

なにより、
「自由。」

自分の思うがままに、動けます。


それで、
インディペンデント(独立者)の役得でもありますが、

「むむっ、面白そう!」

って、
直観的にピーンと来た 仕事や遊びのお誘いには、なるべく
飛びつくようにしています。できるだけ。


それで、
今日(=水曜)。


「アートのキャリア」っていうものを、やってきました。





最近がっつり・こってりお世話になっている友達:O君から
さらりと回って来た バイトの話。

自分にとって「これは新しい!」&「面白そう!」と思ったので、
飛びついて来ました。


横浜の、某ギャラリーへ。




何をしたのか。というと、


美術展のために集められた作品を 審査する会があり。

審査員さんたちに 絵を掲げて見せたり、
あっちからこっちへ運んだり、
など。
それを、けっこうせかせかと繰り返す。

、っていう、仕事でした。

アート作品の「キャリア」=運び屋さんです。
そういう職能があるんですね。

絵を絶対に傷つけちゃいけないので、とても神経を使うし、
案外、体力も要ります。





もともと 美術は大好きなので。
豊富な絵画に触れることができるという、もうそれだけで、
嬉し楽しかった。


美術展の審査会なる、舞台の「ウラ側」を見ることが出来たのも、
貴重な体験でした。



ゴールデンウィークを前に、ひさしぶりのフィジカルな「労働」。

新しい体験。

心地好かったです。





今日(=木曜)は、風が強い朝。

晴れて春らしく、あたたかくなるみたい。


今日は今日で、

お庭の手入れに行ったりと。色々、動きます。

フリーと言えば、
世間一般的な祝日や休日も関係ない感じがまた、ミソです。

労働労働。日日是、労働。

そして、遊興。


春の旅<まとめ>

2010年04月27日 | 旅録 -travelogue-
断片的にちらばっているので、まとめてみました。

3/19(金)深夜カラ
3/23(火)早朝マデ





第0話:「2200km」
    >>


  ・・・予告編。「旅に行って来ました」という第一声です。

第1話:「はじまり」
    >>

  ・・・出発から、直島乗り込みまで。
     わずかここまでで、すでにこの長さ。先を思って、気が遠くなりました。

第2話:「地中美術館」
    >>

  ・・・第一の目的地:直島の地中美術館。
     写真が撮れないのは、残念でしょうがない。行って!ぜひ行って!

第3話:アイラブユーとお好み焼き
    >>

  ・・・直島の「I♡湯」というアート銭湯に入った話と、
     広島でわざわざ高速を降りてお好み焼きを食べた話です。
     普通に2話に分けるべき長さだったと、今しがた気づきました。

第3.5話:臭い正体
     >>

  ・・・直島で出逢った臭いにおいの正体についての話です。
     その正体は、
     海の干物じゃありません。インスタントラーメンの粉のにおいでもありません。

第4話:カルスト炎上
    >>

  ・・・秋吉台のカルスト台地。長者の森も。
     カルスト昼バージョンと、夕方バージョン、そして
     夜の野焼きバージョン。この旅のハイライト。

第5話:トランスエメラルド
    >>

  ・・・ほんとに青い、神秘の泉、弁天池。
     中国にもこんな湖、あるんだよね。世界遺産で見た記憶が。
     青森と秋田の境あたりにも確か、あったはず。青湖なるものが。
     それも行きたい。

第6話:暗黒探検隊
    >>

  ・・・暗黒の洞窟を探検しました。この旅のハイライト2です。
     世界遺産の秋芳洞をスルーしてこっちを選んだけど。
     秋芳洞も、できれば行ってみたい。またいつか。

第6.5話:シシをぶちこむ
     >>

  ・・・シシを引き裂いてぶち込みました。
     結局、私、食べ損ねました!

第7話:森へ・帰る
    >>

  ・・・最後に、森に入った話。とても私的な自己満足の話。
     そして、帰る話。
 



以上です。
うすうす分かっちゃ居たけれど、
いっぺんに読むと、相当長いですね;


そうこうしているうちに、桜が咲いて、散って、
ツツジが咲き出して、
また新しい旅が始まって、終わって。

日常の現在進行日記と 織り重なりつつ
入り組みながらの、連載旅日記。如何でしたでしょうか。

長々とお付き合い下さって、本当にありがとうございました。



一緒に旅したかのような気持ちになったり、

心に残る風景の一枚でもあったりしたら、是幸いです。







とりあえず、

、、ふーーーー~~~!
終えられて、ほっとした!













春の旅7:森へ・帰る

2010年04月27日 | 旅録 -travelogue-
思いのほか 断続連載化してしまった「春分の旅」。
山口・秋吉台への強行突破ツアー。

わずか数日間の、旅日記。
ひと月以上経って、
いよいよ旅は終わりへ。


旅の最後に。

私が個人的に、ひとつ、どうしても果たしたかったこと。

それは、「森へ帰る」ということ。




カルスト台地と、青い泉と、洞窟探検と、山焼きの火と。
旅のクライマックスを 一日で一気に果たして、

明けた朝。



それはつまり、
旅の終わりの日の、始まり。


東京への 長~~い帰途に就くべき、

短い旅の、
最後の日なのでした。





滞在した「秋吉台国際芸術村」。

澄んだ水色の空の下。



森を背にした、白亜の現代建築。

せっかくなので
中も、ざっくり見学させてもらいました。


まずは



食堂です。




「修道院」をイメージしたという。

確かに、しんと厳かで、静謐な空間。






ホール。コンサート会場です。

二階席、三階席と、小さな空間(ブース)が連なっています。

1人で住むのにちょうどいい広さの、小さな空間。それが、
ちょっとした高低差で入り組んで、繋がっていました。


こういう家があったら、

、、というか、

ここが家だったら、

気の合う友達同士で 各ブースごとに部屋をかまえて、
「ホームシェア」して住んでみると、面白いかも。
と、思いました。

「おーい、ちょっとしょう油貸してー」とかさ、
「ごはん作ったけど、食べるー?」とかさ、
あっちのブースからこっちのブースへ、声を飛ばしたりして。
しかも、ものすごいよく響くの。


コンサートホール型ホームシェア。


まあそんな、妄想を。




ホールの外の 中庭エリアには



屋外舞台。

ごろごろした石ころのちらばる、浅い池の中。

何か、舞踏とかにうまく使えそうな空間。





練習室。



もしくは、
後ろの窓を開け放って、芝生を客席にして
コンサートの舞台にもなる部屋。

森に向かって、開かれて。
演奏する方も、気持ち良さそう。

森にこだまして、還ってくる音。

樹々の奥に吸い込まれて、消え逝く音。



、、、どうも、
ホールの中よりもこっちのほうが、かなり気持ち良さそうです。
芝生の上で、
草のにおいにまどろんで、寝転んだりしてね。



ちょうど、室内楽の学生が練習に使いに来ていました。


以上。建築関係のプロモーションでした。







そして、



私の、個人的な、ひそかな宿願:

『森に帰る』。

この朝に、決行しました。


森に入る。森を歩き回る。森の空気を吸い込む。

自分にとって一番「癒し」になること。
都市の中で生きて行く上で、心身のバランスを保つために「必要」なこと。





この「芸術村」の建物が 森に抱かれている様を見た時から
「絶対、入りたい。」と狙っていた、森。


森のふもとには



ここを訪れたアーティストたちの残した「作品」が、
あちこちに転がっていました。




でも

基本的には




竹が伸び放題。

バッキバキに、折れ倒れ放題。




あんまり入る人が居ないようで
なんとなく荒れた感じの、里山の森。


でも、
きれいな水の流れもあり、
光の入り方がきれいな、明るいポイントが多い。

コケも豊か!


この森は、“潜在能力”高いぞ。
手入れをしたら、ここはとても居心地の良い森になるのになあ。

ああ!この杉の丸太、どかしたい!
倒木、、、。片付けたい、、。きれいにしたい、、、。

、と、
元・森番の魂が うずきます。


ちょっと手を入れただけで、じゅうぶんに
“人が”過ごしやすい森になるなあ。


、、と思ったら、
そもそも



ここは昔、人が住んでいた“村”だったのでした。

戦後。人が減って、やがて うち棄てられたようです。


そして今や
廃墟の感じすらも おおかた蔭に埋もれてしまっている、

「失われた村」なのでした。




コケに覆われた水場。


ここに人が生きていた 証。




神社の鳥居も。



切ないような、
寂しいような、熱いようなものが、

小さく 胸をチクリと、刺すような。


かつて人の生きていた土地。
ある時点から「生活」が途絶え、永遠に失われた場所。

その“痕”に漂う 独特の時間の流れと、
「普通の森」とは 何かがちがう、

なついてくる空気の感じ。


哀しいでもなく
嬉しいでもなく

胸を小さく、刺すような、

人になついてくるような、空気。







その森。

到着したすぐに ちらっと巡った際は、ふもとだけで、
奥まで行けませんでした。


この朝、

満を持して、
私、駆け込んだわけです。


極寒にも関わらず断固たる決意で野宿を成し遂げたテンションの:O君と、共だって。




けもの道 というか、
道無き道を。


あんまり想像できないかもしれませんが、
私、森となると、テンション だだ上がります。

何かが目覚めるんですね、どうやら。
ピョンピョン跳ねてます。ぐんぐん突き進みます。
「うひょ~!」っと、ハイテンションで駆けのぼっちゃいます。


道無き道とか、燃えます。



倒れた木の根の“面”です。





コケです。萌えます。
だいたい、さわります。

ふんわり。




山にぽつんと咲く花。これもまた、萌えます。

光を吸い込む、
ヤマツツジの紅い顔。





あ、



山頂です。




秋吉台のカルスト台地が見えます。


近いような、遠くから見晴るかすカルスト。

また別の見え方。





山は

頂まで 登ってみれば




まだまだ その先へ
連なる山が見える。


次の山。
また次の山。

下って上がって、上がれば下る。


見えないようでも 在る、

終わり無く連なる、
山の道。








森には、いつまでも居たいと想う。

森には、
底知れぬ怖ろしさがある反面、
空知れぬ優しさもある。

色んな草木が寄り添って生きていて、


どんな者でも 付かず離れずの距離で
見えない手で抱いてくれる、静かな深さがある。

気を抜きすぎると、命に関わる危うさもあるけれど。


だから、

「ここに居たいな。」と想う。じー、っと。



でも
「帰らなきゃ。」



ということで

駆け下りる。



山の麓には


麓の花が咲いている。


人が人のために植えた、花。


それはそれで、

人知れず咲く 山のツツジと
まったく同じに、美しいと、想う。









山を下りたら

旅の「イベント」は、終了です。


あとは、
半日以上かかる道のりを、高速でぶっ飛ばすだけ。

ひたすら盲目的に、ぶっ飛ばすだけ。


運転手以外は
やることは特に無いので




大体寝るだけ。

あとは



空を撮ってみたりする。


流れ去るばかりの空を、開けられない窓越しに。


そうこうしているうちに、日も落ちてゆく。





旅には
「単純移動」という、特に何も起こらないような こういう時間も付きもの。


旅の真っ最中は
何でもかんでもイベントのようで、とにかくいちいち濃密な時間。
抱えきれないほどの「思い出」で、手いっぱいになる。

その一方で、

何もしていないような こういう時間も。

からだに ちゃんと刻まれて、
心にも ずっしり詰め込まれて、

ぐったり疲れて

しっかり、思い出の一片になっている。


そして




その日も 終わってゆく。









エピローグ。


この 強行突破:2200キロの旅を奮闘してくれた、レンタカー。

某・激安レンタカー屋さんでレンタしました。この旅の、影の主役です。
(えっ、2200キロって、ほんとですか!?って、びっくりされました。)


この車。

ボディに、キラリと。
謎の、(ぶっちゃけダサい、)カラフルステッカーが貼ってあってね。


「なにこの柄!?」「ありえない。」「大丈夫?このレンタカー屋!」と、
非難囂々の物議を醸していたのですが

なんと



その柄ステッカー、「仕様」だったと、判明したのでした。
レンタカー屋のせいじゃなかったの。メーカーのせいだったの。

すまない、レンタカー屋さん。

カーを返す寸前、まったく同じタイプの車(もちろんそのステッカー付き)と遭遇して、
レンタカー屋の無実が発覚したのでした。



ちなみに

この前の山梨行きの時も、お世話になりまして*
(さすがに同じ車じゃなかったけど。)

安くて、とても“ニコニコ”している、良いレンタカー屋さんでした*









最後に、もう一つの、影の主役。


なにげなく
今回の旅を ずっと見護り続けてくれていた:



てるてるぼうず。

b隊員のお作です。
見事に、“晴れ”を恵んでくれました。


この、てるてる。

レンタカーを返す時、
ご覧の通りにバックミラーに付けっ放しで、
うっかり忘れてきちゃったんだけど;



その、
例の、ニコニコしたレンタカー屋さん。


車内清掃しながら、
このてるてるぼうずに「あらっ」って気づいたとき。どう想ったかしらん。

って、ちょっと想像してみる。



たぶん、

「ニコッ*」ってなったと、想うんだ。

きっと。









(了。)



natural high wedding

2010年04月26日 | 遊興 -pleasure-
箱根の仕事から
“とんぼ返り” ならぬ “トンボ飛び”で、

山梨のキャンプ場で催されました:
新しい友人の結婚式に 行って参りましたよ。


「キャンプ・ウェディング」という、一風変わったスタイルでした。





「本日、村にて結婚式が行われました。」
というテイの、
小さな村をあげての お祭りのような結婚式に、
村人たちが集まって来ました。
という感じで、

祝い、楽しむ。

“ケーキ入刀” ならぬ
“豚の丸焼き”入刀。


新郎新婦の友人たちが、それぞれのプロフェッショナルなワザを結集して作り上げた
手作り結婚式。

そんな中にまじって、
自分も 大変ささやかで恐縮ながら、
ちらっとだけ、関わらせて頂きました。


詳しくはまた レポートしようと思いますが

とにかく、

もうとにかく、

大盤振舞で、
正真正銘:ラブ&ピースな風にみちあふれた
楽しいお式でした*





最近慌ただしかった旅(巡業)ウィークが、これにてひとまず

一段落。


今日は ひさーーーーしぶりに、自分の部屋で寝るんだなあ。
と、

そんなことに、感慨を覚えたりする。





苔に降る雨の夜の音

2010年04月23日 | 徒然 -tzure-zure-
「ノグチさんそれ、ヤッケですか。」

「えっ」


つい昨日、

「一時間経ったら自動的に浸みてくるレインコート」と書いた、件の"レインコート"が、

なんと、

"レインコート"じゃなかったと判明しました。


本日一番の衝撃。ずっと、ずっと、信じてたのに。



「ホームセンターでさあ、レインコートコーナーに普通にあったから、買ったんだけど、さあ。現場用の。」


「ええ、現場用の、汚れないように着る、ヤッケ、ですよね。」


だそうです。

どおりで、ねえ。そりゃ浸みるよねえ。


でも今日は、全然浸みなかったのです。意外に。
どうやら、濡れる時間ではなく、雨の量や質に依るらしい。浸みるかどうかは。


なので、

今日は一応、存外に、
"レインコート的"でした。





箱根は今日も雨でした。

こけのじゅうたんに生えている雑草を、ひたすら、ひたすら、抜いていました。


何を隠そう、

コケ。大好きです。


もし

「Do you like moss?」

と尋ねられたら、

「NO!」

と答えます。

で、

「I don't 'LIKE' it.

I 'LOVE' it!」

と、答えます。それほど、です。

コケのじゅうたんの中に居られたら、それだけでもう、ほんとに幸せ。

死ぬなら、コケのじゅうたんの中で死にたい。




今日は夜明けからずっと
霧がかっていて、

小糠雨と言うんだったか、
見えないほどの、細かい雨。


コケは箱根が合うみたい。そのしっとりした山特有の冷えた陰のある空気に、合うんでしょうね。

雨を呑んで、ますますふわふわ、
ぷりぷりのコケたち。


それに、なんだか、
良い匂いもするのです。コケに雨が降ると。

甘い、炭のような、、、






ゼニゴケは、なんだか
甘い香りがするんですね。実は今日まで、気付いてなかった。この香りは、彼らだったんだ。と。


ゼニゴケというのは、
コケ=蘚苔(せんたい)類の、苔(たい)のほう。地面にべったり、ひらべったく、固まったアメーバみたいに、張り付いてる方。

しみじみ雨に牽かれて、良い匂いを漂わせていました。



だがしかし。

ゼニゴケは、蘚(せん)のほうのコケ=ふわふわ系のコケを、
浸食して食べてしまうので、
除去します。できるだけ。
やたら取りにくいんだ、これが。





明日は雨が止んでくれるかしらん。





雨の音。

庭の「流れ」の、水のせせらぐ音。

カジカガエルの、鳴いている声。



…労働のあとの、心地良い疲れにやって来る
するすると落ちゆく眠りの気配に
相応しい、


小さな雨の夜の音。



巡業

2010年04月22日 | 徒然 -tzure-zure-
昨日は
山梨の山奥のキャンプ場にて:

ウェディングの植栽と、
食堂バンガローのディスプレイをしてきました。

今回も、苦心の作。

いや、

正確に言うと、

苦心の末の、「無心」の作です。


さて、どんな感じなのかは

後日改めて。ご紹介したいと思います。


式の本番は、今週末。つまり、この「庭」はまだ
出来上がったわけではないのです。

終わったようで終わってない。なので、気が気でないわけです。

どうか本番まで、平穏無事に維持されますように!

祈りつつ。(~=人=~)```☆


深夜に帰京。





今日は、というと、
氷雨降りしきる箱根に来ています。

たびたび訪れているように、今回も、庭の手入れの修業です。


池の水を抜いて、強圧ホースで(つまり、消防士みたいな感じで)石にべっとり着いた青藻を落としたり。

「流れ」(水が流れる、川状のもの)の底の泥を掬い出したり。


一時間経つと自動的に浸みてくるレインコートのおかげで、
4時を回る頃には、全てがぐっしょり。
長靴の中はプール状態。

寒かった…。
もしここに温泉がなかったら、あまりの辛さに、やさぐれていたことでしょうよ。


温泉入って、
ご馳走も食べて、
お世話になっている造園家さんと、色々深いお話をして。

楽しい。



そんなこんなな、今です。


出張、というか、、

巡業。かな。

働く旅。



楽しい。





雨はまだ、やみません。

旅人の夜の気持ち

2010年04月20日 | 徒然 -tzure-zure-
今週は 妙~~に忙しく。

小さな旅がまた、立て続くのです。


それで、
「今日じゅうに、『春の旅シリーズ』を完結させよう!」

って、
思ってたのですが・・・。

結局。
こうして今に至る、と。





前にも書いた気がしますが、

「旅立ち前夜」というものは、
あれやこれやと、忙しい。
掃除やら支度やらで バタバタします。

しかも、

無駄に キッチンと部屋を行ったり来たりしている気がするし、

今は確実に どうでもいいはずなのに、
「部屋の模様替え」なんかを、いつの間にか、やっちゃってたりする。
しかも、結構な集中力を使って。


なにやってんだか。


こういうのって、自分だけかしらん。






“ひと仕事”果たす直前 ということで
けっこう、緊張もあって。

胸のあたりが きゅーっと絞られて、
なんか、いっぱいいっぱいで。そわそわして。
ぶっちゃけ、「おえっ」みたいな、こみあげる気持ち悪い感じもあったりして。

しまいには、
緊張し過ぎてなのかな、

妙~~に、眠くなってしまう。

今ちょうど、ここ↑。
妙に、眠い。



毎度毎度、です。

旅立ち前夜恒例の、通過儀礼。







はたと気づいた。


そういえば なんだか、、


「旅」が多いぞ。我が人生。





昔。子供時分に。

「スナフキンみたいになりたいなー」
なんて、
極めて安直に
遠い遠い夢のように 幼げな思いを馳せたことも
あった気がしますが。


あらあら、どうして。

それなりに、「旅人的人生」を送っているような、、、。

スナフキンほど 恰好宜しくないにしても。




旅人的人生。
旅ばかりの人生。

それは
変化が多くて 楽しいライフスタイル。

、、なんだけど。

それと引き換えに、
「安定感」が、無いわけで。

なんだかんだで、バタバタしたりして。



、、、いいんだか、悪いんだか、、。







この写真は、
昨日訪れた、花の卸市場での、写真。

テンション、ひょー!って、超上がりました*

大量の色とりどりの瑞々しい花たちが、
壁のように おしよせて来るんですもん!


いやあ、楽しかった~~。アミューズメントでした。
ラブリーラビリンスでした。


一般人は入れない、卸市場。
花の先生や、親切なお花屋さんの力を借りて。

御蔭様で、素敵な花を仕入れることが出来た。と、思います。


お客さんに気に入ってもらえるといいなあ。

そこが一番、肝心だから。

緊張の原因は、そこにある。







そうこうしているうちに

旅立ちの時は、もうすぐなのです。






ゲリラのチューリップ

2010年04月20日 | 遊興 -pleasure-
表参道の ケヤキ並木の足下に、

いま、

チューリップが 咲いています。





わんさか咲いています。


これ、実は、

“チューリップゲリラ”が植えたチューリップ。


昨年の冬に
ゲリラたちがゲリラ的に植えた ゲリラ球根が、
一斉にゲリラな花を咲かせている 真っ最中。


もう7年目、だったかな。


今年は一斉に、真っ赤なチューリップです。





あたたかく晴れた日曜。

そのゲリラたちが、ゲリラ花見をしているということなので、

ちょろっと、交わって来ました。


なにぶんゲリラなので、
一人たりとも面相は出せませぬ。御了承下さい。



春の表参道。

お洒落な情報があふれて

行き交う人で にぎわいすぎて

大変めまぐるしい街ですが


そんな中で 

何気なーく。

色をちょこんと添えている花があるのです。





はたと 気づかれるともなく。

ふいと 気づかれなくも、なく。











春の旅6.5:シシをぶちこむ

2010年04月20日 | 旅録 -travelogue-
早一ヶ月経とうとしておりますが、

断続的に こつこつ更新中
はるばる・春分の旅シリーズ。



いまや 遠い過去の出来事のような 直島/地中美術館から始まって、

アイラブ湯に入って、しっかり広島で広島風お好み焼きを食べ

カルスト台地をめぐり

エメラルドの泉を見て

洞窟を探検し




、、と。

移動を除くと、実質:わずか2日の
強攻てんこもりツアー。

何をやってもクライマックスだったんですが、


いよいよ、帰り路に就きそうです。









が、

その前にちいさなエピソード。




前回(第6話)、 洞窟の真っ暗闇を探検しまして。


出て来たら、

昼下がりで、まったり。




前回までのお話は、そんな流れでした。
リメンバーして頂けたでしょうか。

で、

そのあとが、



これです。

ここらへんは、第4話の後半にあるとおり。

秋吉台の
カルストの夕暮れと、
夜の“野焼き”を見にいくわけです。


今憶っても、想像を上回る 衝撃的な光景でした。




ですが。

その前後に。

忘れちゃいけない:

「夕飯食べないとね!」
ということで

一旦、宿泊する秋吉台国際芸術村に戻って


(↑秋吉台国際芸術村。磯崎新の設計。)


夜の野焼きを見に行く前に、
夕飯を仕込みました。




イノシシを一頭、やっつけまして。

肉、力づくで割って、引き裂きまして。


鍋にぶちこんで。





とりあえず煮込みました。

にんにくとか、入れて。


この段階では、これを結局 何にするかは、
まだ決めてなかったと思います。





そして

「野焼きショック」。

半分呆然とした 燃え盛る地獄を見た
ハイテンションで

帰って来たら

シシ肉は
あいにく まだ 何ともしようがない状態。

煮込みを続けつつ


ガンガンいもを揚げたり。

なぜか大量にあったニンニクを丸ごと揚げたり。

「バルサミコ発見!」ということで、歓喜のバルサミコサラダを作ったり。

もちろんお酒も傾けたりしつつ。



たぶん、

たしか、

なんやかんや食い散らかしてました。


そのあいだ ずっと煮込まれ続けていたシシ肉は、

たまに 肉を骨から強制的に削ぎ落とされるべく 突ッつき回されたりしつつ。





結局

その夜のうちに食べられる状態を
迎えられぬまま

みんななんとなーく
膨満感を迎えてしまって


宴は おひらきになってしまったのでした。





結局

何を しゃべったりしたんだったか

何を 食い散らかしたんだったか、

すっかり、忘れてしまったんですけれども、

写真も撮ってないし。


、、大体ね。そういうもんですよね。宴、って。




翌朝目撃した 成れの果て。








翌朝、目覚めたら




もう、帰りの日なのです。

ひたすら運転して帰るのみの、日です。


その前に、

私は
森に飛び込むんですけれど。





、、という、次回が
もしかしたら、春の旅シリーズの最終回かな。


もう、
そうこうしているうちに、また新しい旅が始まってしまいそうです。









ハザカイタイム

2010年04月19日 | 徒然 -tzure-zure-
今朝は早ようから、

冬以来ご無沙汰していた、お庭の手入れに行きました。


雑草を取っていたら、

ひらひらっ、と、

桜の白い花びらが。


そういえば、
さっきから、花びらが落ちているけれど。この庭のそばに桜があるなんて、
今日まで気付きませんでした。



桜の白の

ひらりひらりと舞い降り寄る。

すがた見えねど。



この高い塀の向こう側に、実はずっと、
今までずっと、居たのだろう。

そして今も、居るのだろう。


雑草が抜かれたあとの、土の、
塀の陰の中の、黒々しい地面に、


桜がひらり、ひらり。

はらり。



この花びらは、ホウキで掃かなくてもいいかな。





午後は午後で。別の仕事。


卸市場に来ています。


来るのがちょっと早過ぎたので、

ぽっかりあいた、
狭間時間。


黄昏間近。


端境時間。


ちょっとうとうとの始まりそうな、駐車場の暢気な陽射し。


雲にとろけて、白んだ陽射し。



待つ事しばし。



アースデイ

2010年04月18日 | 遊興 -pleasure-
昨日(土曜日)、ひょんなきっかけで
「あ、今日からだったか」と憶い出して、


代々木公園の『アースデイ』に行って来ました*



実は、初めて。

念願叶って、やっと来れた~~。

なるほどなるほど!と、一気に周遊。

誘惑の多い中、
頑固に、財布をひらかずに、頑張りました。

いや、
一個だけ買っちゃった。
鹿児島のブースの、れんこんさつまあげ。150円。


予期せず 知り合いに会えたりもして。

きっと他にも、友人がまぎれ込んでいそうだなあと思いつつ。

面白かったです。





今日はいいお天気だから、相当混むだろうけど;

もう一回、ちょろっと行ってこようと思います。

ついでに
表参道にも、用があるので。




寒中お見舞い

2010年04月16日 | 徒然 -tzure-zure-
まさかの寒さに襲われています、
東京。


何故に この寒さ?
何なんだ この寒さ!

「冬眠モード」のスイッチが入りそう。、、というか、多分入ってる。


って、
寒さのせいにしてみたけど、

最近、とにかく、


 、、眠いんですけど・・・。

みなさんは、眠くないですか、、? しかも、“めちゃくちゃ”眠くないですか??





ご存知のように。残念ながら、
今日は
冷たい雨、、。雪寸前の雨。


寒い。それに、
暗い。


私は、どうも天気の影響を受けやすいようで。

天気がどんより(しかも寒い)だと、
気分もどよ~んと、引っ張られてしまいがちで。


今日は、ど~んより。(しかも眠い)


思うように、仕事も進まず、、、。


そんな日も、あるよね。。。


晴れた日は、その分ものすごく動き回ったりする羽目になるので、
劇的に多忙になったりします。

晴れの日と、雨の日と。劇的な落差。
そんなライフスタイル。







こんな日は。

ほっこりする
パアッと あたたかい色が見たい。


ということで、




桜色~*


これは、「桜そば」です。

目が覚めるほど、綺麗でしょ!
しかも、美味かったです、、。


桜が練り込んであるので、ほわぁん、、と、
桜特有の、ほのかな 甘酸っぱいような、
優しい香りもするのですよ。上品な。


食べながら、もう、
「なんか、ふ、うれしくってしょうがない!」って、
歓びがあふれてしまって、
ニヤニヤふやけちゃって、困りました。うそ。別に困ってないけど。

うふ、うふふ、ってね。
下手したら、うへ、うへへ、って。


誰も見てなくてよかった。





そうそう。


やっぱり、「食」だと思うんですよね。突然極論ですが。


結局 何が一番、
心を揺さぶるか、というと。

結局 何が一番、
心身の「癒し」になるか、と考えると。


とにかく「美味しい!」としか、言葉が出なくなるような、
美味しいもの。だと思うんです。


しかも、
目にも美しく、
香りも芳しい。となると、もう、
「最強」。

存在として、「完璧」。


桜そばは、
「完璧」でした。






心にがつんと響く すんごいものと出逢ってしまうと、
余計な言葉は、とりあえず、
吹っ飛ぶでしょう?

食べ物に限らず、
音楽とか、芸術とか、風景とかも。
言葉はたいがい、追い付かない。

自分は夕焼けとかで、よく、吹っ飛びます。




あと、
炎、とか。





「もう、なんともいえない、、、。」

って、つぶやいてしまいます。





今回は、「桜そば」っていう、
ただそれだけなんだけど。

ほんとに ささやかなものかもしれないけど、

自分にとっては、がつん!と、衝撃だったのでした。
やっぱり言葉が出なかったし、
まさしく、「芸術的だ」と、思った。


そういう
すんごいものには、人為の枠を超えた“何か”があって、

それを前にした時、人のことばは、敵わないと思う。
よほどの言葉の達人でない限り。

すんごいものに出くわして、
面食らったら、もう、
「凄い!」
とだけ言って、
満面に微笑んだりするしか、しょうがないと思う。


なんとか、ずばりと言い当てたいんだけどね。

その感動具合も含めて その瞬間にうまいこと言い当てるなんて、
到底 難しい。
相当 難しい。


特に、食べ物の場合は。
ことさら、言葉が出て来ない。


「美味しい!」
って感動しながら食べてるときって、
それしか言えないし、
つーか 喋ってる場合じゃないし、
目の前に現れてくれた「それ」を食べ尽くすことで、いっぱいいっぱい。


それで、
そういう時って、
脳からきっと、きらきらピンクのオーラが放出されてると思う。

そして、
そういう瞬間こそ、まさに、「癒されてる」状態なんだと、思う。


本当の意味での「癒し」って、
しっかりと「生命」に直結しているものであって、

自分という「生命体」が、豊かさとか、明るさというものに
「つながっている!」ってことを、
“よろこび”として実感できることなんではないだろうか。

きらきらピンクのオーラが、プワァァッって、放出されているような。そんな状態。



先刻、友人から「本当の癒しって何なのか」っていうふうに書かれたメールをもらって、
そうだなあと、なんとなく、考えて。書いてみました。


桜そばのことがあったせいか、
結論が、「美味しいもの」だったんだけども;






食といえば、

日本って、凄い。と思う。


とりわけ食文化の彩り方なんかは、
優れて発達しているんじゃないかなあ。

他国の食卓事情を そう、詳しく知り尽くしているわけではないけど。


たとえば、
「懐石料理」とかさ。



美しいでしょう?
しかも、美味しいし、

それ以上に、何か、“ああっ、、”て、心を打つ何かがある。



ちなみにこれ↑、
桜の花びらを模した 大根の薄切り。(中にあるのはもちろん お刺身。)

花びらは、いわゆる、ツマ。繊細!

あと



こんなのとか。それぞれ違う風合いの巧みなワザが、続々出て来るわけ。



ちなみにこれらは
東京は水道橋にある 「庭のホテル」内の、縁(ゆくり)という懐石料理屋さんの、懐石コースでございます。

まだウメが咲いていた春先。ご縁あって頂くことができた「縁(ゆくり)懐石」の一部です。
(ずいぶん書きそびれていたのが、今、日の目を見ました。)


 ※ちなみに、このホテルの主役である“庭”は、こちらの造園事務所の手によるもの。
 ちょうど昨年の今頃。何を隠そう、この私も施工に携わった、個人的にもおもひで深い庭です。



それはさておき、

懐石料理って、
やっぱり、究極的に、芸術的ですよねえ。。
それに、食べられる。しかも、からだにも良いのだから。

実用を兼ねた美。

最強の癒し芸術だと思う。





出て来るものがいちいち凄く美しいわ、美味しいわ、
繊細だわ、で、

感動的なスペクタクルでした、、、。


しかも、
自分の汗も染み込んだ庭を、眺めながら。だから。




佳き思い出です、、、。




佳きおもひでです、、。







ぜんぜん 懐石ほどじゃないけど



こういうのも、なにげに凄い。

シソ漬けの梅干と、
ショウガ漬けの昆布の佃煮を添えて、
ほくほくのご飯(十八穀入り)。

超素朴。だけど、超最高。
ジャパン最高。

って、思う。







というわけで

話が すっ飛びまくってますが、

「桜そば」に 話を無理矢理引き戻しますと。

茹でた後の「そば湯」も
うっすら



ほの桜色なのでした* これは、予想はしていたものの、感動。


「超、綺麗!」
って、テンション上がって、

残さず飲み干してしまいました*





ちなみに この桜そば。

先日訪れた 山梨の某キャンプ場の近くの「道の駅」で
見つけたものでした。

同行のO君が「あっ!!これは!!やばいよ!!」て、大絶賛してたので、
買ってみました。

そしたら、大正解だったわけ。




渓流の中にある、大きなキャンプ場。

大胆な“造園”。

いっぱいのコケ。

さっきの火も、その時の火。

素敵なところでした。




って、
山梨のキャンプ場に、何をしに行ったのか。

それは、
近々、明らかになることと思います。







さて、今回はいったい、何の話がしたかったんだっけか。


とりあえず
寒い日が、もうちょっとだけ、続きそうです。
それから先は、さすがに、もういいよね。寒いのはこりごり。


どうぞ、ご自愛下さいませ。





花散らし

2010年04月15日 | 徒然 -tzure-zure-
ある雨上がりの朝に。



早朝散歩に 飛び出した。


きっと だいぶ散らしただろう。


雨が上がったばかりの、朝に。




晴れた朝に。




めざましい花色に

葉に





おおつぶの水玉が、まだ きらきら
生き残っている。



朝露のつぶには



光も影も。

色も透明も。


そして

またひとしお



花が
散りました。










花散らしの雨でした。



ほんのささいな風でさえ、ふっと散るのだから。


雨のあと。




それぞれに

漂着した花びらたち








こんにちは。





さようなら。








桜の海を歩く。




名残惜しく。

踏みしめて 歩く。




見納め。見納め。




雨が降るたびに
「ああ、また散ってしまう!」


慌てて外に駆け出している。、、ような気がします。

雨のたびに早まる“終わり”を 怖れて。



どう足掻いたって
あと一年先までは、見納めなので。

じーーっと、目を見開いて、
しっかり見納め。



いまは確かに ここにある者を。






水に溶けて 透明になって
そのうち忘れてしまうけれど。

一年経ったら また 憶い出す。









ずっと
歩いてみたかった。




「野川」の 菜の花いっぱいの道。

とうとう降り立った。



ぐんぐん歩く。


朝露に 靴を濡らしながら。
















バシャッ!と ひとしぶき。



でかい鯉だ。
8割方出てます。



彼のからだから
川の流れが生まれているみたい。



気づけば 生き物がいっぱい

飛び跳ねたり
ぐいぐい泳ぎ回ったり

なんか、
動き回ってる。

カモとかも。



花とカモ。




カモとカモ。

ふたりはどういう関係かな。

きっと可愛らしい関係だ。




白サギは ひとり。

いつもひとりで ぽつんと白く
凛として、光っている。





ひとりこっそり



隠れていた者。


逃げも隠れもしないで



光を浴びている者。



ちいさなものが
いっぱい、動き出してる。



休んだり、飛び跳ねたりしながら

じわじわ ふくらみながら

自分のペースで、動き出してる。







町じゅうに ほんわか
いろいろな花の色が ぜいたくに滲んで、溢れている。

春の日々が

否応無く
過ぎ去って行きます。



だんだんと 記憶が薄らぐように。

淡々と 色褪せるように

薄らぐように。



後に曵く影に まだ惹かれていたい気持ちも

呑み込みながら


じわじわと
薄らぐように

消えてゆきます。









そして

次の新しい季節が 近づいています。





つつじが咲いたね。



なんとなく、憶い出して来た。

じわじわと。



あの、カッ!と、強い感じ。




あの ぐわっと、狂った感じ。




おしよせている、初夏の力。




また色々と、憶い出して来た。

なんだか、
うずうずしてきます。








桜は だいぶ散りました。

今日も雨。
また ひとしおに、散るでしょう。


名残り桜に 心残りが無いこともない、けれど。




じきに、忘れて行きます。

初夏に浮かれて、
しっちゃかめっちゃかにサバイバルしているうちに、

忘れていく。


確かに今 目に映っている色とか。


こんな淡い色たちが
ほのかに にじむように 町に満ちている

こんな日の、

温度や
湿度や

ころころ行ったり来たりする、変な天気や

ひやりとした風や、

こんな雨のこと。


でも、




一年後、
また ちゃんと憶い出すので。


あーすっかり一年くらい、忘れてたよこの感じ。
なんて、
手の平返して、憶い出すので。


サクラさよなら。

また一年後。










春の旅6:暗黒探検隊

2010年04月12日 | 旅録 -travelogue-
お待たせしました。

間があいてしまいましたが、「春の旅シリーズ」。
忘れた頃に、再開です。


前回:青い泉を見に行ったところ



心の底まで澄まされたあとは、


暗転。


底なしの真っ暗闇の、
洞窟探検へ。




カルスト地形の、秋吉台。
その地下には、
無数の鍾乳洞があるのです。一番有名なのは「秋芳洞」(あきよしどう)。

でも
我々が目指したのは、
整備もされていない、名も無き 秘密の洞窟。

こんな



のどか~な 田園風景の片隅に、





ぽっかり口を開けて、
ひっそり隠れて居る というのです。

洞窟が。




ドロドロに汚れるので、
長靴と レインコートを装備。
懐中電灯も、しっかり一人一個ずつ。




ちなみに



巨チワワは、
車でお留守番。

オイテケボリにされちゃうとも知らずに、おとなしく水を飲んでます。


人間たちは



ヘルメットも装備して、
準備オッケー!

地元の工事関係者っぽい扮装が、完成。これで怪しまれることもあるまい。


いざ、探検隊出発!




早速、ちょっと迷う。
無名の洞窟ゆえ、案内表示とか全然ない。

洞穴の入り口を探し求めて、
未整備の荒れた森の中を、さまよう探検隊。
気持ち的には ジャングル探検。




「あったよー!」


発見!



洞穴の入り口が突然現れる。

こういうことなのね。




森の中、
唐突に現れた いきなりむき出しの、白い岩肌。

ごそっ と 深くえぐれて落ちてゆく、
闇の淵。



ほんとに
「地獄」の底へつながっていそうな。
深い深い 闇の入り口。





待ち受けるは、

本気の、闇です。





光は 一切無い。

ひたすらに、闇の色。
外界では決して知り得ない、真の闇の色。


ぽたぽた 沁み出ている水で、
足下は ドロドロの、ぬかるみ。


空気は しっとり、
風は無い。そのせいか、

ゆるく、あたたかい。





繰り返しますが、
本当に「真っ暗闇!」なので、

この、暗中模索状態の、手探り・足探りで這い進む、
ドキドキする感じ、

映像で伝えようが、ないんです。

フラッシュをたいてみたら






こんな感じに撮れました。

なんか、粒子がいっぱい写ってる。
ホコリでしょうか。蒸気でしょうか。オーブでしょうか。

ホコリだとして
ほこりっぽいとか、けむたいとか、ごほごほするとか、

そういう“不潔感”は、
全然無い。

むしろ、
“清浄”そのもの。

「ナウシカ」の、腐海の底を思わせます。
地底深くの、清浄の世界。
あっちは とても明るい世界だったけど。
(あれはなんで、地底なのに明るかったんだっけ、、、。)








なにか発見。



地底ゲジゲジ。



謎の人工物。



一体誰が?何のために?
なぞのぼろぼろラック。


ゴミ?不法投棄?
ゴミっぽい。。。

それにしては、わざわざこんな 秘密の洞窟の、
よりにもよって、だいぶ奥深くまで持って来るっていう、
その執念、、と言うか、ド根性の意味が、ちょっとわからない。





「ちょっと、懐中電灯ぜんぶ消して、真っ暗にしてみない?」

山口森番:ネミーゴが 提案。


消してみた。





真っ暗にする。


完全に沈黙。




ぽつーん、ぽつーん、

水の垂れる音がする。


そして、

それだけ。


闇の中、

目を閉じる。


目を開ける。


同じ。

開けても閉じても

闇の色。


開けてるのか 閉じてるのか

わからなくなるほど。


むしろ

開けてようが 閉じてようが

そもそもそういうことの意味さえも

そもそも目の存在価値なども、どうでも良い という、世界。





すぐそばに居るはずだけれど
みんな 息をひそめていて、
音も無い。

見えなすぎて、
ひとりぼっちみたい。

でも本当にひとりぼっちで来て、電気を消したら、多分、気が狂う。






あえて「何にも考えない」を、やってみる。


ただ そこにある暗闇というものに、意識を研ぎ澄まして
同調してゆく。


闇になる。



しばし


瞑想。

ひとつ 深く ため息をついて。






帰りましょうか。

地上へ。






ついさっき見た 同じ光景。

、の、はずなのに

まぶしい。


樹のふちどりの影が、青く滲んで見える。

青くあふれて見える。



その光が見えた時、

無性に嬉しく、
何だか ほっとしました。


静謐な闇の中で瞑想していたときも、ひどく落ち着いて、
ある意味「ほっとしていた」けど、

それとは違う、

「安堵」がありました。

生き物だからか。

古来より 世界あまたの神話で
地下=死者の世界とされていますが、
まったくその通り。

洞窟の 闇の底は
生物が生き難い世界。
死の世界。





地の裂け目から

ちいさな光の点が ぽつりぽつり



ちいさな人間が ぽつり ぽつり

這い出してくる。



ちいさな点が

闇の淵から





「生まれて来た。」


そういう言葉が、よぎった。


生まれ出て来る。
そういう光景に、見えました。

ひとり ひとり。


真っ暗闇の底から、

光満ちる世界へ。

生まれ出て来る。


へその緒を 伝って よじのぼるように



フジのつるを しっかり掴んで。


そして、


外に出た。






光あふれる世界に。





みどりと花のあふれる世界に。





やわらかい土のある世界に。




世界が見える世界に。








泥だらけの装備を、洗います。



きらきら光る水が 元気に流れる
用水路で。




ざぶざぶ洗って 

昼の まぶしい光に照らして



干します。

あったかい光に
心底、ほっとします。

みんな、自然と、のんびりに。

ほっこりします。




ただいま。




おかえり。





生き返ったような心地で。

新しく
初めて
光という色を見た心地で。








おかえり。








  ( 続く >>>)


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