こちらのブログで蓮實重彦氏が日経でサッカーについて大胆発言を連発したらしいというのを知りました。
ちょうど『表層批評宣言』を読み返したいなと思っていたところなので、個人的にはタイムリーでした。
問題の蓮實氏の発言です。
まともなサッカーファンが読めばツッコミどころ満載ですね。
3バックと4バックの違いすら理解していないっぽいし、イングランドのエリクソンほど徹底的にすべてを壊した指導者はいないらしいです。
監督経験のないジーコに興味はないそうですが、2年前の時点でデシャンの監督経験は何年なんだと問い詰めたいものです。
日本の報道を大本営発表と表現してみるのもいいですが、それを民放が率先してやっていることくらいは指摘してくれないかな。
まさに表層的な批評に終始しており(批評のレベルにも到達していないとも言える)、この人、質と量の両面で映画ほどにはサッカーを観てないなというのが率直な感想です。
と、リテラル(字義通り)に読んで批判するのはここまでにしておきましょう。
少なくとも、贔屓のチーム(たとえば日本)が勝てばそれでいいと思っているような人ではない、知的な試みを感じることはできますし、素人の戯言だとして退ける気は、僕にはないのですから。
文芸批評の金字塔として君臨する小林秀雄の『モオツアルト』は、モーツァルトの音楽を理解するのに何か役立つのでしょうか。
文芸批評とはそんなレベルで評価されるものではありません。
それは専門のライターに任せておけばいいのですから。
サッカー批評だって同じでいいはずです。
とはいえ、サッカーに関する言論を見渡すと、なかなかお寒い状況です。
キューバ音楽に傾倒するあまり、ロックやジャズを酷評したのと同じ切り口でサッカーを語る村上龍。
馳星周と同様、サッカーへの愛は感じられません。
もっと向き合って、小林秀雄の如く痛々しいまでの情熱を注ぎ込む覚悟が必要です。
小林秀雄が、誰か別の音楽家を酷評したでしょうか。
Aが素晴らしいのに対しBは駄目だという書き方は、アンフェアとかいう以前に、プロの書き手として怠惰であると言わざるを得ません。
『コインロッカー・ベイビーズ』や『愛と幻想のファシズム』は幻だったのでしょうか。
批評ではありませんが、真摯な姿勢で取り組んだ書き手が野沢尚。
サッカーを文章で表現するためにどれだけの情熱を傾けたのかを、『龍時 03-04』のあとがきと解説で知ることができます。
本当に惜しい人を失いました。
日本においては、サッカー批評は未成熟で、これからのジャンルです。もしかすると、生きている間にまともな批評になど出会えないのかもしれません。ですが、いつか『モオツアルト』が出現するのを待望する次第です。
----------
最後にちょっとだけ、蓮實さんに噛みついておきます。
日本が1次リーグを突破するのは「無理」と仰いますが、同じ組み合わせで10回やった時に、1回も突破できないような状況を無理というと思うのですが、どうでしょう。
ちょうど『表層批評宣言』を読み返したいなと思っていたところなので、個人的にはタイムリーでした。
問題の蓮實氏の発言です。
まともなサッカーファンが読めばツッコミどころ満載ですね。
3バックと4バックの違いすら理解していないっぽいし、イングランドのエリクソンほど徹底的にすべてを壊した指導者はいないらしいです。
監督経験のないジーコに興味はないそうですが、2年前の時点でデシャンの監督経験は何年なんだと問い詰めたいものです。
日本の報道を大本営発表と表現してみるのもいいですが、それを民放が率先してやっていることくらいは指摘してくれないかな。
まさに表層的な批評に終始しており(批評のレベルにも到達していないとも言える)、この人、質と量の両面で映画ほどにはサッカーを観てないなというのが率直な感想です。
と、リテラル(字義通り)に読んで批判するのはここまでにしておきましょう。
少なくとも、贔屓のチーム(たとえば日本)が勝てばそれでいいと思っているような人ではない、知的な試みを感じることはできますし、素人の戯言だとして退ける気は、僕にはないのですから。
文芸批評の金字塔として君臨する小林秀雄の『モオツアルト』は、モーツァルトの音楽を理解するのに何か役立つのでしょうか。
文芸批評とはそんなレベルで評価されるものではありません。
それは専門のライターに任せておけばいいのですから。
サッカー批評だって同じでいいはずです。
とはいえ、サッカーに関する言論を見渡すと、なかなかお寒い状況です。
キューバ音楽に傾倒するあまり、ロックやジャズを酷評したのと同じ切り口でサッカーを語る村上龍。
馳星周と同様、サッカーへの愛は感じられません。
もっと向き合って、小林秀雄の如く痛々しいまでの情熱を注ぎ込む覚悟が必要です。
小林秀雄が、誰か別の音楽家を酷評したでしょうか。
Aが素晴らしいのに対しBは駄目だという書き方は、アンフェアとかいう以前に、プロの書き手として怠惰であると言わざるを得ません。
『コインロッカー・ベイビーズ』や『愛と幻想のファシズム』は幻だったのでしょうか。
批評ではありませんが、真摯な姿勢で取り組んだ書き手が野沢尚。
サッカーを文章で表現するためにどれだけの情熱を傾けたのかを、『龍時 03-04』のあとがきと解説で知ることができます。
本当に惜しい人を失いました。
日本においては、サッカー批評は未成熟で、これからのジャンルです。もしかすると、生きている間にまともな批評になど出会えないのかもしれません。ですが、いつか『モオツアルト』が出現するのを待望する次第です。
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最後にちょっとだけ、蓮實さんに噛みついておきます。
日本が1次リーグを突破するのは「無理」と仰いますが、同じ組み合わせで10回やった時に、1回も突破できないような状況を無理というと思うのですが、どうでしょう。