ぷちとまと

FC東京、もう飽きた。

2006年10月のお気に入り

2006年11月05日 02時09分23秒 | お気に入り
どうも「お気に入り」よりも「関心事」の方が適切なのではないかという気がしてきましたが、とりあえず10月のお気に入りです。

●書籍部門

・カミュ『シーシュポスの神話』(Le Mythe de Sisyphe)

サルトルが「『異邦人』の哲学的翻訳」と表現する作品。
読むのは二度目ですが、前回読んだ内容をほとんど覚えておらず、今回も苦労して読みました。忘れないうちに、今月も再度読もうと思っています。
今回は読み進むほど、冒頭で引用しているピンダロスの「ああ 私の魂よ、不死の生に憧れてはならぬ、可能なものの領域を汲みつくせ。」という言葉が効いてきた感じがします。(この言葉は野沢尚の『龍時 03-04』でも引用されています)
この「不条理の教科書」でもう少し理解を深めてから、改めて『異邦人』を読んでみたいと考えています。

●サッカー部門

・リーガ・エスパニョーラ第7節 レアル・マドリー×バルセロナ
・UEFAチャンピオンズリーグ グループA第3節 チェルシー×バルセロナ

バルサが宿敵とのアウェーでの連戦に連敗。しかも、ホームでのチェルシー戦にも引き分けるという結果に。エトーの離脱はかなり痛いです。グジョンセンではねぇ…
黄金時代の終焉の始まりと結論づけるのは早計だと思いますが、今後どう立て直すかに注目です。万全の準備で日本に来ることができるのでしょうか。

●演劇部門

・桟敷童子『海猫街』

あまり前向きでなかったのが、かなりハマる結果に。今後しばらくはこの劇団を見続けるだろうと思っています。

関連エントリ: 海猫街

2006年9月のお気に入り

2006年10月05日 02時08分50秒 | お気に入り
2006年9月に気に入ってたものです。

●書籍部門

・アゴタ・クリストフ『ふたりの証拠』(La Preuve)

前作『悪童日記』の最後に別離した双子の兄弟のその後を描いたものですが、負けず劣らず強烈なインパクトです。

もっと鮮烈なシーンは他にもありますが、強く印象に残ったのは、反革命運動が起きて去っていく党幹部のペテールと主人公のリュカの次のようなやりとりです。
「言ってください、ペテール! 恥ずかしくないんですか?」
「恥ずかしいよ、リュカ。途方もなく恥ずかしい」
「いけない。それだけはいけない。立ち直ってください」


続いて完結篇の『第三の嘘』(Le Troisieme Mensonge)を読みましたが、前の二作の斬新さと較べると、ちょっと消化不良でした。種明かしのようでそうではなく、新たな謎が提示された、そんな感じです。
結局、視点や場所や時間を変えた、3種類のパースペクティブってことなんでしょうけど…
通しで読み直して、頭の中で再構築する必要がありそうです。


●映画部門

・『砂の女』

安部公房原作の映画化で、原作と同様に、国際的に高く評価されています。この岸田今日子は一度観ると癖になるでしょう。
日本公開版と世界公開版の2種類が収録されており、一家に一枚持っておきたいお得な作品です。

砂の女 特別版 AEBD-10103
砂の女 特別版 AEBD-10103


・『レイクサイド・マーダーケース』

東野圭吾原作『レイクサイド』の映画化です。夏頃にテレビで放送していたのですが、ノーカットで観たかったのでDVDを買いました。

ストーリーがどうのこうのというより、役所広司、薬師丸ひろ子、柄本明、鶴見辰吾、杉田かおる、黒田福美、豊川悦司という豪華メンバーが揃っているのが貴重です。はっきり言ってそれだけです。

レイクサイド マーダーケース PCBC-51021
レイクサイド マーダーケース PCBC-51021


2006年8月のお気に入り

2006年09月03日 21時38分55秒 | お気に入り
面倒だったので7月分を飛ばしてしまいましたが、やはり自分の記憶の断片として残しておきたいので、8月分をまとめました。

●書籍部門

・ミラン・クンデラ『不滅』

これはすごい。『存在の耐えられない軽さ』以上に完成度が高いことは間違いありませんが、これから何度も繰り返して読み込まないと、そのすごさを適切に説明できる自信がありません。

とりあえず裏表紙より引用。

パリ。プールサイドに寝そべっていた<私=作者>は、見知らぬ女性の、軽やかにひるがえる手のしぐさを見て、異様なほど感動し、彼女をアニェスと名づけた……。こうして生まれた<女>の、悲哀とノスタルジアに充ちた人生が、時空を超えて、文豪ゲーテと恋人の<不滅>を巡る愛の戦いの物語と響きあう。
詩・小説論、文明批判、哲学的省察、伝記的記述など異質のテクストが混交する中を、時空をゆきかい、軽やかに駆け抜けていくポリフォニック(多声的)な、壮大な愛の変奏曲。


章構成が素晴らしいのですが、訳者のあとがきによると、クンデラのほとんどの作品は七部構成であり、音楽でいう短調と長調とが交互に現れるのだとか。ほぼ独立して読める「第六部 文字盤」がまた素晴らしく、ひとつの物語として読む価値があるくらいです。

・安部公房『砂の女』

西洋的な不条理空間と圧倒的な比喩の融合が実に「ヤバい」ですね。日本語万歳!
夏休みの読書感想文の課題は『こころ』とかじゃなくて、こういう作品にすべきですな。大人の作品ではあるけれど、10代の埋もれた感性がこっち方面に導かれないのは、それだけで多大なる損失です。

●その他

・「花かれん

創作鮨。お盆に大阪に帰省した際に家族でなんば店に行きました。なかなか良かったですよ。コースに含まれていた「HNJ」なる謎のメニューを見るやいなや「新しい勝利の方程式か?」とは弟の弁。大阪に来たんだと実感。
店のスタッフに聞いてみると、「ハイブリッド・ヌーベル・ジャポネ」らしい。訳わからん。何でハイブリッドだけ英語やねんとかツッコミ。

・自転車

4年以上乗っていた自転車を買い換えました。そういう名前があることをその時知ったのですが、これまで乗っていたのはシティサイクル、今度買ったのはタウンサイクルというらしいです。訳わからん。

2006年6月のお気に入り

2006年07月02日 22時04分36秒 | お気に入り
最近お気に入りベースの生活をしていなかったのですが、久しぶりにまとめてみました。

●書籍部門

・アゴタ・クリストフ『悪童日記』(Le Grand Cahier)

第二次大戦末期から戦後にかけての、ハンガリーの小さな村が舞台で、双子の兄弟「ぼくら」が主人公です。
通常「ぼくら」といっても、実際にはそのうちの誰か一人の語りという形式を採るものですが、この作品では一人称複数としての「ぼくら」が貫かれており、実験的な作品とも言えますし、それが読者の追体験を促す効果を持っているのかもしれません。

「ぼくら」の視点から、常識でいえば残酷、冷淡といわれるような出来事が淡々と書き綴られているのですが、衝撃といってはチープに感じられるほどの結末をこれまた淡々と迎えます。

試しに最初の作品を読んでみたのですが、悪童三部作の残り2冊も読むことが確定しました。
短い章から構成されているので、空き時間に少しずつ読むことができますし、かなりオススメ度が高い作品です。

原題を見て「あれ?」と思った人がいるかもしれません。
アゴタ・クリストフはハンガリーからスイスに亡命し、フランス語で小説を書いているのです。

●ドラマ部門

・「医龍」

坂口憲二演じるスーパー外科医とチームドラゴンの成長の過程なんて、はっきりいって安直ですが、単純に面白かったのを評価。
何度も「またオンビートかよっ!」とツッコミました。
聖也に続き、北村一輝が影のあるエリート医師を好演。

●サッカー部門

・ワールドカップ・ブラジル戦での玉田圭司のゴール

日本としては満足できる結果ではなかっただろうけど、あのゴールが素晴らしかったことは不変の事実だし、素直に評価しておきましょう。
だってこの大会、ブラジルから得点したのは玉田とアンリだけなんですよ。
文字通りブラジルゴールに「突き差した」ゴールでした。

2006年3月のお気に入り

2006年04月02日 21時14分58秒 | お気に入り
●書籍部門

・アントニイ・バージェス『時計じかけのオレンジ』(A Clockwork Orange)

数々の凶悪犯罪に手を染めてきた少年アレックスが刑務所から別の施設に移され、善良な市民に生まれ変わるために受けた矯正法の内容とその結末は?
それは「選択」がキーワード。
40年を経ても全く古さを感じさせない、かなりイカれた(bezoomny)「大人の寓話」。

たるんでしまって読み終えるのに10日以上かかってしまったが、実際には3,4日も必要としないボリュームであり、スピード感を損なわないために、もっとskorryに読むべき作品。「入れたり出したり」しながらだと、もっとhorrorshowだろう。

時計じかけのオレンジ DL-21150
映画
の方はこれから観る予定。

・梁石日『血と骨』

ちょっと文章に難があるなと感じる箇所があったりするが、それを補って余りある勢いで、金俊平という、むき出しで強烈なキャラクターを描き切ってしまった。
済州島出身の在日朝鮮人が、どうして韓国ではなく「北」へ帰って行ったのかなど、在日朝鮮人をとりまく諸々の事情を知ることもできて面白かった。それがどれだけ真実なのかは知らないけれど、金俊平が実在の人物なのかということも含め、"an example of life in old Korea"(懐かしい)ってことでいいんじゃないでしょうか。

映画も観たが、原作を読んだ後だと、はっきり言って「カス」。観るなら原作は読まないことをオススメする。
始まってすぐに戦争が終わり、原作の前半が省略されているし、ビートたけしは悪くなかったけど、金俊平の「凄み」は1割も表現できていないのではないか。

また、高信義と金俊平の関係が原作と全然違うのだが、意図が全く伝わらない。意味を持たせられないのならば、原作のままにしておけばよかったのである。
それに、息子の名前が正雄って何だ? 原作では息子は成漢で、正雄なんて名前は一度も出ていないのではないか。成漢=正雄なのか。それは、ステパン・アルカージエヴィチとオブロンスキイとスチーワが同一人物であるのと同じくらい、在日朝鮮人の間では自明なのか。

柏原収史「オ○コしたいなあ」と言うのを観たい人はどうぞ。
あと、ビートたけしとオダギリジョーの乱闘シーンは、それなりの見応えあり。

●音楽部門

・斉藤由貴『MAY』

五反田の蕎麦屋で、いきなり耳に飛び込んできてハマった。
CDを買っておくべきか。
ゆうこりんに歌わせると、絶対にいいと思う。

2006年2月のお気に入り

2006年03月04日 15時09分17秒 | お気に入り
やっとまとめる時間が取れました。

●書籍部門

・トルストイ「アンナ・カレーニナ」

不貞を働いたアンナの悲劇的な結末だけで1500ページを超えるはずはなく、家庭、社交界、農業、政治、宗教、教育など、社会全体および人間がいきいきと描かれている。
全般にわたってとんでもない描写力なのだが、とりわけ競馬や狩りのシーンは圧巻。

多くのテーマを扱ってはいるが、あくまで軸となっているのはそれぞれに対照的な家庭 ― オブロンスキイとドリイ、レーヴィンとキチイ、カレーニンとアンナ、ウロンスキイとアンナ ― なので、発散しているように見えながらも、破綻せずに持ちこたえられたのだろう。

これほどまでに総合的な作品には、なかなかお目にかかれない。
一生のうちに、あと何回読めることか。

500円でヴィヴィアン・リー主演の映画のDVDを買ったけど、ソフィー・マルソー主演の方も、ぜひ観てみたい。

●サッカー部門

・UEFAチャンピオンズリーグ 1回戦第1レグ「チェルシー×バルセロナ」

バルサがアウェーで先勝し、昨年の雪辱に大きなアドバンテージを得た。

チェルシーのロッベン、バルセロナのメッシ、両者が同じサイドで攻撃能力を存分に発揮していたのが印象的であったが、なかでも、デル・オルノがレッドカードをもらう直前の、メッシがロッベンをかわしたプレーは最高であった。

各選手のプレーや戦術、および組み合わせにおいて、世界に現存する最高のフットボールのひとつであるといえよう。

2006年1月のお気に入り

2006年01月31日 01時34分38秒 | お気に入り
今月から、月ごとにお気に入りを記録しておくことにしました。
後から自身の関心を振り返れるといいなという発想です。
あくまで僕個人の関心が基準なので、世間の流行とは全く関係ないものも含まれます。

●書籍部門

・東野圭吾「白夜行」

章節構成の美しさは特筆。
メモしながら読んでおけば、その構造美が脳裏に焼き付いて、さらに楽しめたような気がする。
ドラマは原作の外伝といったところか。

・カミュ「ペスト」

「異邦人」の乾いた筆致もよいが、こちらの方が文体が力強く、テーマもわかりやすい分、共感あるいは感情移入がしやすくなっている。
リウー、タルー、ランベール、グラン、パヌルー、コタール、どの立場から読んでも面白いので、何度でも読む価値あり。
グランが叫ぶ場面は、思い出すだけで目頭が熱くなることがある。

関連エントリ:フットボール in 文学

●ドラマ部門

・「時効警察」

不思議でゆる~い空気が最高。
一話完結なので、細部にこだわらずに、その空気を味わえばよい。
ナンセンス系が好きな人にはたまらない。
麻生久美子の意外性もいい。
豊原功補は「電車男」の路線を継続。

●サッカー部門

・野洲高校

実はこれしか観ていない(苦笑)
観ていて楽しい、クリエイティブで自由なサッカー。
ただし、自分勝手ではない、強調性ベースの責任を伴う自由であったことは認識しておかなければならない。

関連エントリ:セクシーフットボールの伝道師芸は身を助ける

●携帯部門

・J-SH53

使わなくなって、自分の手と頭が、この機種を前提として働いていたことを実感。
特別功労賞。2年間おつかれさまでした。
これほど愛着のわく機種には、もう出会えないでしょう。

関連エントリ:Vodafone 903SH