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ユラーナ Ulana - A bridge between Japan and Overseas Countries

龍神由美のブログ。江戸の面影を残す川越に、先祖代々300年住んでいます。私の川越暮らしを綴ります。

今週の朝日歌壇

2011年04月05日 | 短歌
先週の朝日歌壇から、大震災にまつわる歌が登場して来ました。今週の朝日歌壇からご紹介いたします。


    一際(ひときわ)に星の瞬(またた)き美(うるわ)しき明かりの消えし地震(ない)の夜空に (盛岡市)佐藤忠行
                                          (佐佐木幸綱選)


計画停電の行われた夜、真っ暗闇に満月を見て、私も不思議な感覚を覚えました。盛岡では、計画停電ではなく、停電が長く続いたことと思われます。佐佐木幸綱先生の評には、「実際に被災された方は、厳しい生活に作歌どころではないだろう。それでも被災地の方の歌が少しずつ集まりはじめた。個人の心と肉体が受けとめた震災の現実」とあります。


    瓦落ち塀倒れたるもの同士こころゆるして給水を待つ (ひたちなか市)篠原克彦
                                        (佐佐木幸綱、永田和宏選)

被災者でなければ絶対に詠めない歌があります。「こころゆるして」という言葉が、それをよく表していると思います。

今まで新聞歌壇を読むとき、歌より先に作者に目がゆきましたが、これからは、出身地も気になることでしょう。


ユラーナ







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今週の朝日歌壇

2011年02月01日 | 短歌
今週の朝日歌壇から、また小学生の歌をご紹介します。第1首から3首は、高野公彦選。第4首は、永田和宏選。


  ふくささばき教えてもらった開いたりたたんだりしてマジックみたい (笠間市)篠原 空

  新しいブーツで行ったコンサートきちんと足をそろえて聞いた (富山市)松田 わこ

  家族みなの健康祈る初詣青いお空をとびが舞ってる (横浜市)高瀬理沙子

  母ちゃんがきんしゅく財政を宣言す松かざりはだから私の手作り (横浜市)高橋理沙子


篠原空さんの作品は、小学生ながらお茶のお稽古を始めた様子が描かれています。袱紗さばきは、長いことお稽古しないとなかなか身につきませんが、空さんは、初めての経験を「マジックみたい」と表現しています。小学生が、袱紗さばきに挑戦していることに、嬉しさを感じます。

松田わこさんは、朝日歌壇の常連さんになられましたね。新しいスーパーヒーローです。新しいブーツを買ってもらい連れていってもらったコンサート。その嬉しさが、「きちんと足をそろえて聞いた」に現れています。きっと、ちゃんとした躾をなさるお家のお嬢さんなのでしょうね。わこさんのお姉さんとお母さんもよく入選されています。

高瀬理沙子さんの歌。高野公彦氏と永田和宏氏の二人によって2首入選しました。

最初の歌は、健康を祈る、その祈りの象徴として空を舞う「とび」があるように感じます。祈るとき、人は、下を向くのではなく、上を見上げることでしょう。理沙子さんとそのご家族の健康を、心からお祈りします。きっと、とびも見守っていてくれるでしょう。

次の歌。緊縮財政を宣言したお母さんの言葉に従って、松飾りを手作りする小学生。素晴らしいなぁ。こんなお子さんが、存在するのですね。


これからは、小学生短歌の時代になるのでしょうか。どんどん若い歌人が出てきて、びっくりです。


ユラーナ



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今週の朝日歌壇 (2010.12.20)

2010年12月22日 | 短歌
今週の朝日歌壇に、また、松田梨子さん、わこさん姉妹の歌が入選していました。


     妹は新しいブーツ欲しくって勉強をするお手伝いをする (富山市) 松田梨子
                     (佐佐木幸綱、高野公彦選)

     サンタさん私の窓に迷ったら「キラキラ星」に耳をすませて 富山市 松田わこ
                     (高野公彦選)


俵万智さんが登場したとき、百人一首くらいしか知らなかった私は、「短歌ってこんなのでいいのか」と驚きましたが、小学生が毎週入選しているという状況に、また、新しい短歌の風を感じます。(と、偉そうな私ですね。)

心に浮かんできた言葉を素直に、5・7・5・7・7の31文字の定型にまとめているところに、感心します。荒れている子供たちの様子を聞くことが多い今日この頃ですが、こんな素晴らしい感性を持った子供たちが育っていることに、喜びを感じます。


大人の歌から一首、ご紹介いたします。

     創業の日より吾が掌に握りこし木の実の数珠は今日も匂えり (八戸市)山村陽一


山村氏は、葬儀屋さんであったと思います。ご自身の仕事のことを詠まれることが多いです。私自身が伯父のお葬儀を経験したので、山村氏の「木の実の数珠は今日も匂えり」という最後の言葉に、とても実感がこもっていると感じました。

近頃は、なかなか、歌の詠めない私ですが、新年からまた再開できたらいいなと思います。


ユラーナ
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今週の朝日歌壇 (2010.12.6)

2010年12月07日 | 短歌
今週も子供さんの歌が二首選ばれていました。

     気がついたメリーゴーランド降りるときゆれていた馬やさしい瞳 (富山市)松田わこ
                          (馬場あき子、高野公彦選)

     トンネルが多い列車と聞いたから夏目漱石誘って行った     (富山市)松田梨子
                          (高野公彦選)
  
梨子さんは、12歳だそうです。わこさんのお姉さんのようです。わこさんの子供らしい歌と比べて随分と大人びた感じを受けます。12歳で夏目漱石を読むのですね。私は、漱石を読んだのは、高校生になってからでした。

わこさんの歌に対して、馬場あき子先生は、次のような評を書かれています。「童心に灯る抒情のことばは大人にはない豊かなやさしさがある。下句は「ゆれていた馬」という動きとともに捉えた木馬の瞳に、充足した遊びの時を共有しての交歓の思いがこもる。」

もう一首、ご紹介します。

     ちちははのゐない秋田へかへる妻初冬の旅にわれが寄り添ふ (川越市)小野長辰
                          (佐々木幸綱選)

小野さんは、高野公彦先生が日経歌壇の選者であった頃に、よく掲載されていました。私は、最初は、日経歌壇から始めたので、小野さんとも何度か一緒に入選になったと思います。このところ朝日歌壇でお見かけしないなぁと思っていたので、嬉しく思いました。ご両親を亡くされた奥様を気遣われる優しさに満ち溢れています。

自分の歌と一緒に新聞歌壇に載った人の歌を読むのは、とても楽しみです。全くお会いしたことがなくても、その方の人生を追いかけているような気になります。あちらもそのように想ってくださっているのでしょうか・・・


ユラーナ
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喪中はがきへの返信

2010年12月03日 | 短歌
喪中のはがきを出したところ、翌々日に、短歌の指導をしてくださっていた先生からお葉書をいただきました。伯父が入院してから、私は、朝日カルチャーセンターの通信添削の短歌を中断してしまっていました。

先生からのお葉書には、次のようにありました。

「伯父上のご逝去こころよりお悔やみ申し上げます。作品を通して多少なりとも存じ上げておりましたので、お心の内お察し申し上げます。いくらかなりとも落ち着かれたところで、短歌を再開なさってください」

とても嬉しく思いました。先生の温かいお心遣いと、その美しい日本語の響きに心打たれました。

私が、伯父の入院直後の6月21日に提出した歌のひとつは、次のとおりです。

        八十七の医師(ドクター)の伯父「骨転移」をネクタイ締めて受け止めてをり


先生からは、次の講評をいただきました。
「高齢になってからの癌の転移のつらさ、そして患者自身が医師であることなど、さまざまな重みを持つ内容の作品です。静かで厳粛であるところが成功しています。相当に重い内容ですが、余計な力みがなく、読者も抵抗感なく共感することができます」

また、徐々に、歌を再開できたらいいなと思っています。


ユラーナ
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