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ルバイヤート挿絵本の変遷 エドマンド・デュラック その2

2008年06月04日 23時18分55秒 | Weblog
1912年、ホッダー・アンド・スタウトン社(Hodder And Stoughton)からエドマンド・デュラックのルバイヤート挿絵本が数種類形を変えて増刷されました。

このブルークロスの装訂本は、210×150ミリ、189頁の小型サイズです。掲載されたイラストはルバイヤートの

I、XI、XII、XV、XX、XL、XLIV、XLVI、 LV、
LVII、LX、LXVIII、LXXII、LXXXVIII、CIV、CX

の詩篇に対応した16カット。カラーイラストは158×114ミリで印刷され、各詩編が印刷された薄い間紙が張り込まれています。同社から1909年に刊行された315×254ミリ、162頁からなるデュラックの挿絵初版本とは装訂がまったく違います。挿絵の数も4カット(XXII、XXVII、XXXVI、LXX)を省いております。まさしく簡易版といえるでしょう。

以降、デュラックの挿絵入りルバイヤート簡易版が数多く刊行されるようになりました。

ホッダー・アンド・スタウトン社
ブルークロス装訂簡易版

ホッダー社の簡易版後版では、少し工夫を凝らしました。フィッツジェラルドの第2版に加え、初版の詩も掲載する事にしたのです。詩は初版が75篇、第2版が110篇ですが、数の差以上に両篇には訳詩の違いが著しいのです。読者にとっては初版と第2版が同時に読める事は非常に有り難い事ですよね。しかし、第2版に対応したデュラックのイラストしかありませんので(新たに描いてもらう事はできませんでした)、第2版に使用した挿絵の中で訳詩が初版とほぼ同一の詩を選び、そのイラストを初版の挿絵に置き換えたのです。

その結果イラストの配置はこうなりました。

初 版、I、XI XIII、XXIV、XLII、LXXII(6篇)
第2版、XI、XX、XL、XLIV、LV、LXXII(6篇)

ブルークロス版より4カット省かれた12カットの挿絵でレッドクロスの簡易版は誕生しました。刊行年は未記入のため不明ですがおそらく1920年代と思われます。


ホッダー・アンド・スタウトン社
レッドクロス装訂簡易版
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