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江戸式合巻 仮名垣魯文の『格蘭氏傳倭文賞』 

2009年02月20日 00時28分33秒 | Weblog
アメリカ合衆国の第18代大統領ユリシーズ・S・グラント(Ulysses S. Grant)は、大統領引退後に家族を伴って世界漫遊旅行に出発し、イギリスをはじめヨーロッパ諸国、インド、タイ、清国を歴訪して日本に至りました。1879年(明治12年)7月3日横浜港に到着したグラントは、同年8月10日浜離宮で明治天皇と会談しました。この会談で、日本の国政について意見を求められたグラントは、民選議会設立の重要性や外債の早期解消の必要性を説き、琉球帰属問題については、日清両国の相互譲歩による平和的解決を求めました。

速書きで有名な仮名垣魯文は、この話題に飛びつき数日で原稿を起こしたのでしょう。彫師も摺り師もそれに応え、従来の江戸式合巻の制作スピードとは比べ物にならない速さで、『格蘭氏傳倭文賞』は出来上がったようです。ですから、彫はなはだ粗く、摺り色数少なくぼかしもなし、といった手抜き出版だったようです。これが、3年後の1882年(明治15年)ならば、間違いなく東京式合巻で出版されていたはずです。安政の大地震のときに版元の求めに応じて3日間で『安政見聞誌』を書き上げた仮名垣魯文でも、活版の組み上がる速度には驚いたに違いありませんから。



『格蘭氏傳倭文賞(ぐらんどしでんやまとぶんしょう)』袋絵 江戸式合巻全3篇9冊
金松堂辻岡文助 仮名垣魯文 鮮斎永濯 1879年(明治12年)7月23日
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