「いらっしゃい」
今日もKATO'Sキッチンへ。
知る人ぞ知る、看板も何もない、アパートの2階にあるKATO'Sキッチン。
嫌な事があったり、悩みがあったり、悶々とした時に来てしまう。
いつ来ても、大将は無表情で、静かな声で「いらっしゃい」と迎えてくれる。
いつものように靴を脱いで、キッチンを通り抜けて和室へ入る。
テーブルの前に腰を下ろすと、いつもと同じお通しが出される。
「最近のお通しはキャベツが多いんですね」と言ってみる。
「ええ、キャベツがね、美味しいんです」と大将。
こんなやり取りが出来るという事も、常連だからと思いたい。
とりあえず、いつものように発泡酒を注文し、のどを潤す。
キャベツのサッパリ和えをつまみつつ、本日のおススメを見る。
あ、「味玉」がある。すぐさま
「大将、味玉、お願いします」と。
大将は「はいよ」とだけ言って、用意してくれる。
「今日は味玉、あるんですね」と言ってみる。
「ええ、今日はね、うまい事行きました」と大将。
大将はゆで卵を作るのが苦手らしい。
料理人として致命的なのでは??と思うが、もちろんそんな事は言わない。
ゆで卵はしっかりしたゆで卵だ。多少の半熟具合を期待していたが、
しっかりと火が通っている。いや、でも味は美味しい。
荒を探すのはやめよう。美味しい。そこだけに集中しよう。
発泡酒に続いてレモンサワーを注文する。
ここでちょっとガツッとしたものがほしく、おススメのボードを眺めると、
「ホルモン炒め」があったので、「今日ホルモンあるんですね」と訊いたら、
「ええ、ちょうど安く手に入ったんでね」と大将。
「それじゃあ、ホルモン炒め、お願いします」と注文する。
大将は「はいよ」と一言。味玉をつまみつつ、ホルモン炒めを待つ。
「お待たせしました」。ホルモン炒めが届いた。
甘辛い味噌の匂い。この匂いだけで酒が一杯飲めそうだ。
一口食べると、野菜にしみたホルモンの脂と甘辛みそ。これはもうお酒が進む。
しっかり下茹でもされてるようで、豚ホルモンの臭みやくどい脂などは一切ない。
レモンサワーが進む進む。レモンサワーもお代わりして、料理も全て食べ終える。
「大将、ごちそうさまでした」
「ありがとうございます」
お会計を終え、靴を履いている時に、大将の方から
「いつもありがとうございます」と声をかけてくれた。
こちらがあいさつをすればいつも答えてくれるけど、
大将の方から声をかけてくれる事なんかなかったのに!!と驚いて大将を見たけど、
いつものように「ま、また来ます」とだけ答える。
「いつでも、お待ちしております」という大将の表情は、心なしか、いつもよりも優しい感じがした。いや、気のせいかもな。
でも、また来よう。大将の心意気を味わいに。
・・
・・・
・・・・
いやだからこれいつも一人でやってんのよ。寂しいよそりゃ。
今日もKATO'Sキッチンへ。
知る人ぞ知る、看板も何もない、アパートの2階にあるKATO'Sキッチン。
嫌な事があったり、悩みがあったり、悶々とした時に来てしまう。
いつ来ても、大将は無表情で、静かな声で「いらっしゃい」と迎えてくれる。
いつものように靴を脱いで、キッチンを通り抜けて和室へ入る。
テーブルの前に腰を下ろすと、いつもと同じお通しが出される。
「最近のお通しはキャベツが多いんですね」と言ってみる。
「ええ、キャベツがね、美味しいんです」と大将。
こんなやり取りが出来るという事も、常連だからと思いたい。
とりあえず、いつものように発泡酒を注文し、のどを潤す。
キャベツのサッパリ和えをつまみつつ、本日のおススメを見る。
あ、「味玉」がある。すぐさま
「大将、味玉、お願いします」と。
大将は「はいよ」とだけ言って、用意してくれる。
「今日は味玉、あるんですね」と言ってみる。
「ええ、今日はね、うまい事行きました」と大将。
大将はゆで卵を作るのが苦手らしい。
料理人として致命的なのでは??と思うが、もちろんそんな事は言わない。
ゆで卵はしっかりしたゆで卵だ。多少の半熟具合を期待していたが、
しっかりと火が通っている。いや、でも味は美味しい。
荒を探すのはやめよう。美味しい。そこだけに集中しよう。
発泡酒に続いてレモンサワーを注文する。
ここでちょっとガツッとしたものがほしく、おススメのボードを眺めると、
「ホルモン炒め」があったので、「今日ホルモンあるんですね」と訊いたら、
「ええ、ちょうど安く手に入ったんでね」と大将。
「それじゃあ、ホルモン炒め、お願いします」と注文する。
大将は「はいよ」と一言。味玉をつまみつつ、ホルモン炒めを待つ。
「お待たせしました」。ホルモン炒めが届いた。
甘辛い味噌の匂い。この匂いだけで酒が一杯飲めそうだ。
一口食べると、野菜にしみたホルモンの脂と甘辛みそ。これはもうお酒が進む。
しっかり下茹でもされてるようで、豚ホルモンの臭みやくどい脂などは一切ない。
レモンサワーが進む進む。レモンサワーもお代わりして、料理も全て食べ終える。
「大将、ごちそうさまでした」
「ありがとうございます」
お会計を終え、靴を履いている時に、大将の方から
「いつもありがとうございます」と声をかけてくれた。
こちらがあいさつをすればいつも答えてくれるけど、
大将の方から声をかけてくれる事なんかなかったのに!!と驚いて大将を見たけど、
いつものように「ま、また来ます」とだけ答える。
「いつでも、お待ちしております」という大将の表情は、心なしか、いつもよりも優しい感じがした。いや、気のせいかもな。
でも、また来よう。大将の心意気を味わいに。
・・
・・・
・・・・
いやだからこれいつも一人でやってんのよ。寂しいよそりゃ。