ライン出版編集部

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ライン(rein)出版編集長の日常と雑感

福田正夫と古関裕而

2020-05-02 12:48:33 | Weblog


かつて「海外で見た桜とインドネシアにおけるブンガサクラ」という表題で発表したことがある。
ある絵画を都内で見て「インドネシアにも桜が咲くんかい⁉」とビックリして調べたところ
以下のような逸話にたどり着いたことから発表に至ったわけだが、
この中に福田正夫作詞、古関裕而作曲の『愛国の花』が出てくる。
古関裕而は、いま朝ドラのモデルとしても知られる有名人。
一方福田のほうは知る人ぞ知る。
それが不思議なことに一つ前の当ブログでつながったのだ。

話は変わって、第二次世界大戦中
軍人としてインドネシアに渡り、現地教育に尽力した金子智一という人物がいた。
さらに彼はインドネシア独立に力を注いだ。
ところが現地民とともに進駐イギリス軍に抵抗した咎で刑務所に入れられてしまう。
彼が鉄格子のなかでインドネシア国歌を口ずさむと、
それを聴いたインドネシアの囚人たちが次々と歌いだした。
看守が飛んできて制止するも誰も言うことを聞かない。
次はインドネシアの囚人が日本語で『愛国の花』を歌い始めた。
日本兵が望郷の思いに堪えきれず歌っていたのをインドネシア人が自然と覚えたもので、
獄中は日本人とインドネシア人の大合唱となった。


ましろき富士の気高さを 
心の強い楯として
御国に尽くす女等は 
輝く御代の山ざくら 
地に咲き匂う国の花…

老いたる若き諸共に
国難しのぐ冬の梅 
か弱い力よく協わせ 
銃後に励む凛々しさは 
ゆかしく匂う国の花 


銃後を守る女性の姿を福田正夫が著し、
古関裕而が2拍子系のワルツで歌い上げた。

※ユーチューブで聴ける。
歌っているのは渡辺はま子。

この話に感動したスカルノ元大統領は、
のちに「ブンガサクラ」のタイトルで自国語に翻訳、
愛唱していたそうだ。
美智子上皇后(皇太子妃のとき)がインドネシアを訪問された折にもこの歌が披露されたという。

ちなみにインドネシアの桜「ブンガサクラ」は
いわゆる日本の桜ではなくアメリカ原産のタベブイアのこと。
ピンク色で、遠くから見ると桜のようにも見えるため
憧れをもって桜になぞらえたものと思われる。