三重県の御在所岳に登ったときのこと。
山頂に山口誓子の句碑があった。
雪嶺の大三角を鎌と呼ぶ
句碑から望むと三角形に見える鎌ヶ岳(1161m)を詠んだもの。
誓子は四日市の俳人である弟子たちの勧めにより
大阪から療養のため三重に移り住んだ。
その頃に詠んだ一句だろうか。
山頂とはいってもロープウェイとリフトを乗り継げば簡単に到達できる。
麓のロープウェイ乗り場近くに
むかし文化サロン的な役割を果たしていたという湯の山三岳寺があり、
境内に芭蕉の句碑が立つ。
文月や六日も常の夜には似す
この句は七夕前夜に新潟の直江津で詠んだ句だという。
「あすは年に一度織女と牽牛が天の川で逢うだろうと思うと
六日の今宵はいつもと違った夜という気がしてくる…」といった意味。
今更ではあるが、三重は俳句の聖地であることを再認識する。
以上、古い写真からの抜粋。