マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

『ミッドナイト・イン・パリ』

2012年05月08日 | 映画

ウディ・アレンも77歳になるのね…。

『アニー・ホール』『インテリア』『カメレオンマン』『私の中のもうひとりの私』。大爆笑のスラップスティックな喜劇を撮ると思えば、ベルイマンを意識したような超芸術作品を撮る偉大な監督の一人である。

「ニューヨークと同じくらいパリが世界中で一番偉大と」と、ウディ・アレン自ら告白しているように、今回の『ミッドナイト・イン・パリ』は、パリが舞台である。

ハリウッドの売れっ子脚本家が主人公。彼の夢は本格的な作家になること。それには芸術の都、パリに行くしかないとパリを訪れる。

アメリカ人側から見た憧れのパリの風景がスクリーンに華麗に舞う。パリの素晴らしさ、美しさを、ウディは撮って撮ってとりまくっている。「エッフェル塔」「ロダン美術館」「ベルサイユ宮殿」「セーヌ川」などなど。

主人公はある晩、タイムスリップして1920年代のパリに戻ってしまう。フィッツジェラルド、ヘミングウエイ、ジョセフィン・ベーカー、コール・ポーター、ピカソ、ゴーギャン、ダリなどの芸術の黄金期と言われた20年代を飾った偉大な芸術家たちと遭遇するのだ。

このウディの奇抜な発想、このシュールさ。主人公がヘミングウエイに自分の原稿を読んでもらうあたりで、私はおかしくてお腹が痛くなった。

芸術の都パリという町を、ウディ・アレン監督は実に軽妙なタッチで、ウディ独特のアイロニーという隠し味を使いながら、豪華絢爛に料理してくれた。

パリには2度ほど旅したことがあるが、私もウディ・アレンと同じくらいパリが好きだ。

生憎、財布の中身が乏しい貧乏旅行だったので、「マキシム・ド・パリ」のドアを開けることができなかった。アールヌーボーの高級老舗のレストランの味って、もしかしたら、こんな味なのかしら?

5月26日から公開

【監督・脚本】ウディ・アレン

【出演】オーウェン・ウイルソン

     キャシー・ベイツ  マリオン・コティヤール  エイドリアン・ブロディ