マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

『ウィンターズ・ボーン』

2011年10月12日 | 映画

 また、ここに実力派女優誕生の予感があった。

彼女の名前はジェニファー・ローレンス。『あの日、欲望の大地で』でシャーリーズ・セロンの子供時代を演じていた。しかし、この時のジェニファーの演技はあまり印象に残らなかった。

しかし、『ウィンターズ・ボーン』での圧倒的な存在感に度肝を抜かれたのだ。心を病んだ母親、幼い兄弟を養いながら、行方不明になった父親を捜す少女役。父親はどうも麻薬に絡む怪しい一面もあったらしく、闇の世界に単身乗り込んで父親を捜し出すたくましい少女。

舞台となるミズーリ州南部の風景は荒み、息苦しいほどの退廃の香りを放つ。この荒地に、少女はまるで一輪のバラを咲かせるかのように、自らの力を振り絞って未来に向けて開拓していくのだ。

時々、物語にカルト的なホラーの要素も加わって、これを疑問を感じる人もいるだろうが、私はこのエッセンスがあったからこそ、ミズーリ南部オザーク山脈という大自然の不気味さと貧しさを、より深くリリーフさせたのではないかと思う。

で、思った。これと全く同じ感想を持った作品が『トゥルー・グリット』である。ジョン・ウェイン主演の往年の名作『勇気ある追跡』をコーエン兄弟がリメイクした作品だが、父親のかたき討ちに命をかける少女役を演じたヘイリー・スタインフェルド。まさに、この少女のために作られたような作品で、彼女一人勝ちの作品だった。

ジェニファー・ローレンス、ヘイリー・スタインフェルド。

彼女たちの次作が楽しみになってきた。

 

10月29日から公開

【監督】デブラ・グラニック

【出演】ジェニファー・ローレンス

     ジョン・ホークス  ケヴィン・ブレズナハン