ラックストーン・レコード雑記帳 - アート・和菓子・音楽

ラックストーン・レコード主人、山口'Gucci'佳宏がアート、和菓子、音楽などなど、徒然なるまま書き綴る、まさに雑記帳。

最近の読書 [平成二十年九月二十日]

2008年09月20日 | books
台風一過、天気が回復して暑くなりました。今日は美術展へ寄ってからレコーディング仕事へ行こうと考えていたのですが、何かと用事をこなしている内に時間が経ってしまい行けず仕舞いでした。前にちょっとだけ、このブログで触れたピアニスト、塚本サイコ女史と進めているアルバムのレコーディング、かなりの急ピッチで作業中です。詳細はまた改めて紹介しますのでリリースされたら、皆さん、是非、お聴き下さいませ。そんなこんなで最近の読書です。

魂萌え 上・下 桐野夏生 新潮社刊
夫が先に逝ってしまった主婦に起こる出来事と心理を描いた小説。わりと普通に身近に起きてそうな出来事が展開して行き、その場面が面白く、またシリアスに綴られている内容。人の考え方の変化を巧みに描いています。

↓ 新潮社 ↓
http://www.shinchosha.co.jp/

今日の美術展 [平成二十年九月十九日]

2008年09月19日 | fine arts
諸々、仕事の合間にサクッと一軒、ギャラリーへ。台風、激しそうですね....。
ところで、本日、新潮文庫のシールを集めて応募した “Yonda?” キャンペーンのパンダ人形 (写真-左) が届きました。本を読みながら感動して泣いている姿の愛おしいヤツです。ちなみにうちのラックストーン・レコードのキャラクター・パンダ「パンらくん」(右) も泣いていますが、こちらは良い音楽に感動して泣いているんです!?

コトサエク マイケルE.Jスタンレー 於: hpgrp GALLERY 東京
日本を拠点とするアメリカ人写真家、マイケルE.Jスタンレー氏の作品展です。「コトサエク」とは「遠いかすかな音 (声)」と言う意味の日本の古語で、万葉集などで韓や百済等の言葉が通じない国の枕詞に使われていたそうです。そんなテーマの許で撮られたプリミティブな感じのするモノクロ写真の数々はとても静寂感があり、日本の風景を撮っているにもかかわらず、何故か無国籍な感じのする不思議な雰囲気の画面です。ここにも外国人だからこその感性が働いていると思いました。

↓ hpgrp GALLERY 東京 ↓
http://www.artdiv-hpf.com/tokyo/

今日の美術展 [平成二十年九月十八日]

2008年09月18日 | fine arts
雨です。台風です。明後日辺り、関東圏に接近。風雨が激しそうなので気をつけましょう。

ベルギーロイヤルコレクション展 (後) 於: 太田記念美術館
9/5に訪れた浮世絵展の後期展示です。この後期展でも思わず唸ってしまう程のウルトラ・グッド・コンディションの作品が並んでいて感嘆しきりでした。今回も数点展示されていた鈴木春信氏の鮮明に色彩が残る作品は驚きの錦絵です。そして、その中の空摺りが巧みに施された「洗濯」などはホント絶品でした。他には喜多川歌麿氏の美人画の素晴らしいものが多く「高名美人見たて忠臣蔵 十二段つゞき」の組物の豪華さは半端ではありません。勝川春潮氏による大判錦絵5枚続「藤棚下扁額奉納行列」も見事なものでした。とにかく凄い浮世絵ばかり、きっとここに並んでいた作品は二度と見ることが出来ない程のものだと思います。堪能いたしました。ありがたいです。本当の色彩や質感は分からないですが、展示内容の素晴らしさで今回は図録 (写真) を購入しました。さて、次は浮世絵展では来月、江戸東京博物館で行われる「ボストン美術館 浮世絵名品展」がメチャ楽しみですね。

↓ 太田記念美術館 ↓
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/index.html

今日の美術展 [平成二十年九月十七日]

2008年09月17日 | fine arts
結構、暑い陽気が続いていますが、大分、秋めいて来ましたね。朝晩はかなり涼しいです。今日は仕事の合間を縫って一軒、お馴染みの画廊へ寄りました。

デビット・スタンリー・ヒューエット展 於: 新宿高島屋10階美術画廊
アメリカ出身で日本在住15年になる作家、デビット・スタンリー・ヒューエット氏の作品展です。ペインティング作品と陶芸作品、どちらも和心を感じさせる良い品々でした。自分はとても気に入りましたね。キャンバスにアクリル絵具で描いたペインティングは金箔を使用したり、色彩が和風であったり、パブリック・スペースなどに飾ったら、とても映える作品だと思いました。既に帝国ホテルやホテルオークラ東京などでコレクションされているそうです。そして陶器類がまた良い、趣があります。花器や茶器、日本の陶芸をしっかりと踏襲して作られています。かつてバーナード・リーチ氏ががそうだった様に日本人ではないからこそ、日本の文化に憧れ、素直に日本の文化を見つめることが出来て、日本の文化を学んだからこそ作れる作品なのではないでしょうか。とにかく素晴らしいです。

↓ 新宿高島屋 ↓
http://www.takashimaya.co.jp/shinjuku/index.html

美ジャケ #30

2008年09月16日 | musics
いやぁ~、何だかバタバタです。今日は美ジャケを紹介しておきます。

"TICO"レーベルの12"LPの第40弾。かなり中南米色が出ているイラストのアルバム・カヴァーの一枚。内容もかなりベタで楽しいラテン・ナムバーばかりのチャ・チャ・チャ・インスト・アルバムです。"TICO"レーベルの12"LPはレコード番号が若くて古いアルバムほど、かえってハイセンスでアーバンな香りのするラテン・アルバムなのですが、この40番あたりだと、大分、土着的なサウンドになっています。それは、やはり当初はニューヨークの白人層やハイソな人々を意識してリリースしていたからかもしれませんね。そして、時代が経つにつれて、ラテンがニューヨークに住むプエルトリカンの為の音楽へ戻って行ったと言うことなのでしょうか?

ASK ME TO CHA CHA CHA / THE LATIN BOYS (LP 1040)

↓ TICO RECORDS ↓
http://www.spectropop.com/tico/index.htm

さて、再開です。

2008年09月15日 | fine arts
何とかPC周りが復旧したので、ぼちぼちブログも再開です。

今日はレコーディングの為、相模湖 (写真) まで行って来ました。相模湖に行ったのは小学生の時分以来、随分と久々です。生憎の曇り空で爽快感はあまり感じられなかったですが、緑が多く、眼に心地良さがありました。
さて、この一週間程の間は、ちょっとそれ処ではなく、殆ど美術展を訪れることが出来なかったのですが、二軒の展示を見ました。なので、この二軒の記事をここで。

[平成二十年九月十日]
野村義照展 – ノスタルジア 於: 新宿高島屋10階美術画廊
東京藝術大学の教授でいらっしゃる野村義照氏による日本画の個展です。野村氏が訪れた様々な場所に取材して描かれた絵画の数々は素直にとても良い作品だな、と感じるものばかりでした。その筆致力はもちろんのこと、何より画面全体の雰囲気が良いのです。きっと描かれた場所や物に対する野村氏の思いが込められているからに違いありません。見ていてホッとする気分になりましたね。

↓ 新宿高島屋 ↓
http://www.takashimaya.co.jp/shinjuku/index.html

[平成二十年九月十三日]
美術の遊びとこころIII NIPPONの夏 - 応挙・歌麿・北斎から「きもの」まで (後) 於: 三井記念美術館
8/7に訪れた展示の後期展です。今回も暑い夏を涼しげに演出する風情ある作品が多く並んでいました。今回の展示では肉筆浮世絵に良い作品ばかりだったのと、円山応挙氏の「瀑布図」、「昆虫・魚写生図」、葛飾北斎氏の手の込んだ版本「絵本隅田川両岸一覧」が見事でした。昔の人達の涼の取り方は本当に粋でしたね。前にも述べましたが、まぁ、エアコンとかが無い時代でしたから、その工夫は素晴らしいものです。

↓ 三井記念美術館 ↓
http://www.mitsui-museum.jp/index2.html

お知らせ。

2008年09月12日 | etc.
本ブログを覗いて頂いている皆様、申し訳ございません。
PC、そして諸々のトラブルにより、現在、本ブログの更新の危うい状態が続いております。
また以前の様なペースで更新可能な環境にセッティングされるまで、今暫くお待ち下さい。
只今、早急な措置を講じております。
これに懲りずに、ちょいちょい覗いて下さいませ。
更新されていることもあるかと思いますので。
では、皆様、よろしくお願いします。

今日の美術展 [平成二十年九月八日]

2008年09月08日 | fine arts
スタヂオ仕事の前に近場のギャラリーへ。

萬猫展2 - 毛暑、オ見舞申シ上ゲル 於: FLEW GALLERY
展示タイトル通り、猫をテーマとした8名+1組の作家による作品展です。実は自分、猫ファンなもんで、なかなか気になる展示でした。それぞれに猫への思いが込められた愛を感じる作品ばかり、こう言う作品は何はともあれ、とにかく楽しいです。中でも自分は、まいけるからわた氏による粘土の立体作品と岡芳恵女史の象牙 (?) 彫刻が気に入りました。どちらも独創的な渋い作品、良い趣です。まぁ~、猫はイイですね。

↓ FLEW GALLERY ↓
http://www.flewgallery.jp/

今日の美術展 [平成二十年九月七日]

2008年09月07日 | fine arts
何だか毎日、夜になると雷雨ですね。今日も原チャリに乗っていて、最後に女史オーセンティック・スカ・バンド "Adams Apple" のライヴへ向う途中に若干、やられました。

昭和30年代の暮らしの値段 - お金の価値とモノの価値 於: 下町風俗資料館
久々に池ノ端の下町風俗資料館へ。改装され常設展示が随分と充実し、かなり楽しめる様になっていました。で、今回は貨幣価値にスポットを当て、昭和30年代のものの値段を軸として、その前、その後で価格や貨幣価値がどう違うかを解説した展示です。同じ金額、例えば10円でも、時代によって貨幣価値が違うのだから、その金額の範囲内で購入出来るものが違い、同じ品物でも価格が違ってくる訳で、そこの比較がされていて、また、いろいろなものの価格の変遷が分り、なかなか興味深い内容でした。実際に昔の品々やポスター、チラシ、広告など、数々の資料が並び、見ていて面白かったです。ちょっと気付いたことに扇風機の昭和30年代に於ける価格が10,000円以上もしていて、意外に高かったんだなぁ~、と思いましたね。貨幣価値が上がっている現在の方が、かえって安いのには驚きです。文明の発達、いろんな面でコスト・ダウンされて安くなっている訳ですが、反面、それはイイことなんでしょうか?! 日本経済の行く末は....、不安です。やはり人は過去を学び、未来へ繋げないと!

↓ 下町風俗資料館 ↓
http://www.taitocity.net/taito/shitamachi/

皆川号外コレクション展 於: 荒川区立荒川ふるさと文化館
これまた、ちょっと変わった処を訪れました。荒川区の歴史を紹介する施設です。今回の展示は、現在、ここが収蔵する、荒川区に住んでいらした宮川茂雄氏が蒐集した約二万点に及ぶ号外を中心とした「宮川号外コレクション」の紹介でした。明治期から昭和の戦後期までの号外の数々、とても興味深いものでした。その時の一番フレッシュなトップ・ニュースが号外となるのですから、その時代に於ける大きな出来事の一瞬が掲載されている訳です。ある意味、そこには歴史が凝縮されていますね。そして、今の様にインターネットで瞬時に世界の情勢が伝わり、情報が溢れていなかった時代の素晴らしい紙の文化だと思います。今回、号外と共に宮川茂雄氏が蒐集された氷業や荒川区に関する資料も面白いものでした。

↓ 荒川区立荒川ふるさと文化館 ↓
http://www.city.arakawa.tokyo.jp/a002/d05200001.html

絹谷幸二展 情熱の色・歓喜のまなざし 於: 日本橋靍島屋8階ホール
チケットを頂いて (感謝!) 行って来ました。現在も精力的に活動されている洋画家、絹谷幸二氏の作品展です。とにかく色彩の鮮やかさ、力があり自由でダイナミックな画面に圧倒されました。そこには人の生きる悦びや悲しみがダイレクトに表されていると思います。絹谷氏の作品には擬態音や掛け声、台詞の文字が描き込まれているのが独創的ですが、それも、その言葉を含め自分の気持ちを素直に表現したいと言うことの表れだと感じました。エネルギーをもらえた素晴らしい作品の数々でした。ちなみに絹谷氏の巨大な立体作品が正面入口の入った処 (写真) にも展示されています。

↓ 日本橋靍島屋 ↓
http://www.takashimaya.co.jp/tokyo/index.html

今日の美術展 [平成二十年九月六日]

2008年09月06日 | fine arts
最近、ギャラリーへ出向くことが多くなりましたが、今日もそうです。自分の中で何だか現代アートの捉え方が変わってきたのでしょうか?! いろいろな作家の作品を身近に見ることが出来るギャラリーは面白いですね。(写真はナディフの右隣に建つ古いアパート。ナディフの新しい建物より、より大きな存在感を放っていました。自分もかなり惹かれました。)

「ゼロの庭」The Story Box 於: MA2 Gallery
解放感のあるギャラリーで行われている世代の違う5人の作家の作品展です。全体に涼しげで柔らかく、静かな雰囲気がありました。中でも自分の興味を惹いたのは、先ず松原健氏のガラスを使用したオブジェ、実験器具の試験管やフラスコを思わせる作品の中には水、アルコール、水銀が閉じこめられています。作品が破損されなければ永遠に閉じこめられた物質、それは美しくも儚い人の意識の様に思えました。そして、勝本みつる氏のフェイク・ファーや布、カンヴァスなどのテクスチャーを重ねて作られた作品はパッと見にはメルヘンティックで暖かさを感じつつ、何処か空虚なイメージもあります。不思議な感じを覚えました。あと、6/20にトーキョーワンダーサイト本郷でも見た安田悠氏の新作は人物が描かれていた以前のものと違いドロドロとした感じがありながら、何故かスッキリとした感じを受けました。良い意味で力が抜けている様に思えました。静かでありながら、薄くワクワクする感覚のある良い内容の展示でしたね。

↓ MA2 Gallery ↓
http://www.ma2gallery.com/

昭和40年会の東京案内2008 於: NADiFF apart表参道から恵比寿に移り、新規開店したナディッフを訪れました。ここのギャラリー・スペースで行われているのは昭和40年生れの現代アート作家6人のアーティスト・グループ「昭和40年会」による東京案内本の出版記念展示です。「昭和40年会」は松蔭浩之氏、会田誠氏、有馬純寿氏、大岩オスカール氏、小沢剛氏、パルコキノシタ氏で今をトキメク、現代アート作家の面々。で、展示の方は、まぁ、本の宣伝企画ですから....、ど~もね。本の内容にはちょっと期待しましたが、こちらも、ん~っ....!? でした。

↓ NADiFF apart ↓
http://www.nadiff.com

[ミクロマクロモノクロームカラー] 秋山幸 / [ghostwork] 内海陽介 於: magical ARTROOM
ナディッフ3階のギャラリーです。こっちの展示はなかなか、秋山幸女史と内海陽介氏、ふたりの若手作家の作品展でした。どちらも、今っぽいペインティング作品、秋山幸女史の動物をモチーフとした幻想的でモノクロームではない?! カラフルな画面はとても楽しい雰囲気があります。方や内海陽介氏の作品は横尾忠則氏の画風を連想させる幻想・冒険が込められたかの様な細緻に描かれた絵画。内海氏の作品も好感が持てました。やはり、どちらの現代アートにも力を感じます。

↓ magical ARTROOM ↓
http://www.magical-artroom.com/

TWS-EMERGING 104 吉田真由子「鬼し」 105 江幡京子「ジャムの瓶詰め小屋」106 渋谷奈緒「passage」 於: トーキョーワンダーサイト本郷
かなり、この若手作家紹介のシリーズ展示は楽しみになっています。先ず、吉田真由子女史の作品、木製のテーブルの上に灰が盛られたスプーンと点字 (たぶん) が打たれたトレッシング・ペーパーが並べられています。それぞれに灰の量と積まれた用紙の枚数が違っており、自分はそれがそれぞれの席に着くこととなる人の生命を表している様に感じました。とてもシリアスな雰囲気のある作品でしたね。江幡京子女史による高齢者の方々が住む部屋を撮影した写真作品も、とても興味深いものでした。そこに並んだ作品には、まさに日常、生きている様の常「生活」が写し出されていると思います。普段・通常を撮った写真だからこそ、興味深いのではないでしょうか? 人のナマの姿です。渋谷奈緒女史の作品はイルな感じもする繊細な線画の数々。「passage - 狭い通路」と題された作品を見ていると、その通路から抜け出すことの出来ない痛々しい感じを受けました。人それぞれの感性は不思議なものです。

↓ トーキョーワンダーサイト ↓
http://www.tokyo-ws.org/index.html