2011年度作品。日本映画。
翌年に東京オリンピックを控えた、1963年の横浜。古いものを壊し、どんどん新しいものを作っていこうとする気運のなかで、横浜のとある高校でも老朽化した文化部部室の建物「カルチェラタン」の取り壊し計画が持ち上がる。そんな騒動の中、学生たちを率い、部室棟を守ろうとする少年・俊と、高校に通いながら下宿宿を切り盛りする働き者の少女・海が出会う。二人は順調に距離を縮めていくが、ある日を境に、急に俊がよそよそしくなって…?(コクリコ坂から - goo 映画より)
監督は「ゲド戦記」の宮崎吾郎。
声の出演は長澤まさみ、岡田准一 ら。
つまらないわけでもないが、むちゃくちゃおもしろいわけでもない。
良くも悪くも平均的な映画というのが個人的な印象である。
実際、内容はぼちぼちだなと思う。ちょっとメロドラマ的だし、いかにも少女マンガって展開だな、ってとこが少し引っかかるけれど、気にするほどではない。
だが見ていて、収まりの悪い映画だな、という感覚が終始ぬぐえなかった。
その理由は、僕の趣味もあるけれど、筋運びがいささか雑だった点にあるのでは、って気がする。
この映画は、少し言葉が足りないように、個人的には思う。
議論の最中に、校長が入ってきた途端、歌を歌う場面といい、ラストで二人一緒になって船まで行くシーンといい、説明が足りないために唐突だな、と感じるポイントはいくつかあった。
もちろんそれらのシーンに対して、脳内補完することは充分にできる。
ただもう少し言葉を尽くしてもよかったのではって気もしなくはない。おかげで全体的にもどかしい。
だがストーリー的にはともかく、細かい技術的な部分に関しては、さすがジブリと感じることができる。
背景は毎回のことだけど、本当に美しくて、一枚の絵画のよう。
だがそれ以上に目を引いたのは、時代背景の描き方だろう。
炊飯器や洗濯機のレトロ感、街のごちゃついた感じなどは見ていてもおもしろいし、抽象的な議論を延々とくり返すところは、いかにも全共闘世代らしい。
時代設定は東京オリンピック前だが、この時代の雰囲気がよく出ていんじゃないかな、と見ていて思う。
いろいろ書いたが要約すると、「コクリコ坂から」は物語はちょっと弱いが、技術は一級の作品ということである。
そういう意味、この作品は近年のスタジオ・ジブリの典型的な作品と言えるのかもしれない。
評価:★★(満点は★★★★★)
製作者の関連作品感想
・宮崎吾郎監督作
「ゲド戦記」