2006年度作品。アメリカ=チェコ映画。
19世紀末ウィーンで、大掛かりな奇術=イリュージョンで人気を誇っていたアイゼンハイムという名の幻術師がいた。ある日彼は舞台の上で、幼なじみのソフィと再会する。今では、皇太子の婚約者となった彼女は、その後ほどなく皇太子邸で謎の死を遂げてしまう。謀殺の噂も沸き立つ一大スキャンダルのさ中アイゼンハイムは、ソフィの幻影を蘇らせるイリュージョンを発表するのだが……
監督はニール・バーガー。
出演は「レッド・ドラゴン」のエドワード・ノートン。「サイドウェイ」のポール・ジアマッティ ら。
よく考えてつくられた物語だ。
オチやアイゼンハイムの仕掛けた罠などは見ていれば容易に想像がついてしまうのは否定しようがない。だがオチがわかっていても、そのストーリー運びの上手さにはうならざるをえなかった。
幻影師という特性を生かし、幻影を操り、王子を錯覚させ、大衆の疑惑をあおっていくというアイゼンハイムの手練手管はほれぼれするほど計算高く、巧妙である。
キャラクターの性質を存分に生かした優れたプロットであると素直に感心するばかりだ。
また個人的にはアイゼンハイムと刑事とのほのかな友情を感じさせるあたりも心に響く。
特にラストでトリックを明かすあたりや、すべての真相を理解した刑事の笑顔などは思わずにやりとしてしまう。
ただ惜しむらくは奇術の描き方がどれも嘘っぽく見えたことだろう。
この映画で登場した奇術がどこまでが実際のものかは知らないが、どれもCGの映像にしか見えず、若干引いてしまう部分があった。
そこが個人的に合わないのだが、トータルで見れば満足の一品である。
評価:★★★★(満点は★★★★★)
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