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人たるの道を守る───『菜根譚』

2016-10-11 18:31:21 | 知恵の情報
人としての道をしっかり守っていれば、かりに不遇な状態に陥っても、一時のこと
にすぎない。権勢にこびへつらえば、かりに得意の状態にあっても、長続きしない。

道を極めた人物は、世俗の価値にとらわれず、死後の評価に思いを致す。
一時は、不遇な状態に陥っても、人としての道を守って生きるほうがはるかに
賢明ではないか。
(『菜根譚』前集一)

■人としての道、原文では「道徳」となっている。ふつう、道徳といった場合、
 社会により時代によって変化していくものとされているが、ここでいう
 「道徳」とは、それとはちがっていて、一定不変のものとして前提されている。
 人間が人間であるための条件といってよいかもしれない。それを守るとは、
 要するに、人から後ろ指をさされないような生き方をするということである。
 (守屋 洋)

─『新釈 菜根譚』守屋 洋 PHP文庫より

『菜根譚』は、大変魅力ある本です。儒教、仏教、道教の三つの主張を
融合し、そのうえにたって処世の道を語っている。前集225(2)、後集135
の内容だが、その日になにか教えを得たいとき、占いカードのように
ページの一箇所をぱっと開いて目に付くところを読んでみたりする。項目ごと
に自分で考えてみられるので、自分にあっているようだ・・・
前から順番に読んでいくと内容を忘れてしまうので、こんな工夫もしている・・・

『菜根譚』著者は、洪応明、字を自誠、号を還初道人と称したが詳しい経歴
などはわかっていない。中国古典のなかでは、比較的新しい本である。
明の万暦年間の末期になったと推定されている。17世紀の初め頃、
今から370年ほど前にかかれたことになる。豊臣から徳川に政権が移ろう
としていた頃だ。
若い頃、科挙の試験に合格して、官界に身を投じたが、中途で官界を
退き、もっぱら道教と仏教の研究にいそしんだとされる。『菜根譚』の
他に『仙仏奇蹤』四巻があり、仙界、仏界の古典のなかから逸事や名言
を抜き出して編集した本だという。

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