タミアのおもしろ日記

食文化・食育のお役立ちの話題、トンデモ食育、都市伝説、フードファディズムなどを分析して解説します!(^.^)

グルテンフリーで米消費アップ?

2016年10月23日 | Weblog
米国での「グルテンフリー」ブームが日本でも雑誌で取り上げられて、「日本でもグルテンフリー対応食を増やすべきだ。日本でもブームになれば、米や米粉パン・米粉菓子消費が増えるだろう。」という話がささやかれます。が、それって本当なのでしょうか。

その理由をいうまえに、グルテンフリーについてざっとおさらい。
小麦の中には色々なタンパク質が含まれます。その代表格が「グルテン」というタンパク質なのですが、米国では一部のセレブなどが「グルテンは身体に悪い」という説を信じてしまい、その説をすっかり広めてしまいました。

でも、実はこの説は現在の医学的知見と、「何千年にも及ぶ人類の小麦食経験」から考えると、つじつまが合わないのです。 セリアック病という希な病気の方や、腎臓病でタンパク質を制限している方を除けば、グルテンは格別に身体に悪くもない、この世にあまたに存在する食品成分の一つに過ぎないそうです。「グルテンフリーにするために小麦を食べるのを止めたら体調が良くなった」と主張する人も、実はグルテン以外のタンパク質へのアレルギーが体調不良の原因だったという人や、オリゴ糖不耐症など別の病気だった人、そしておそらく一番多いのがプラセボ効果(ようするに気分。)の影響と考えられます。

それはそうとして、日本でグルテンフリーブームが起こればお米の粉の消費が増大するのではないか、具体的には米粉パン・ケーキ・クッキー等が増えるのではないか、との予測ですが、残念なことですが、この予想はあまり当たらないのではと想像されます。

というのも、多くの米粉パンや米粉菓子は、グルテンを添加しています。したがって、現在市販されてるこれら食品の大部分はグルテンフリー対応食品では有りません。グルテンを含まない米粉100%パンや米粉菓子は普通のパンや菓子よりも製造が難しいのです。
現在の米粉パンや米粉菓子でさえも原料価格と技術料の高さが相まって、小売り価格が高いのですが、グルテンフリー米粉パン・菓子となるとますます高価格になりますし、販路もかなり限られてしまいます。そのため、グルテンフリーが日本で流行すれば、かなりの割合の人が、安くてどのスーパーでも手軽に手に入る、トウモロコシを主原料としたシリアルやトウモロコシ系スナックなどに流れると予想されます。

しかも、日本でグルテンフリーが広まれば、日本人の心の友であるラーメン・うどん・そば(市販の通常のそばは小麦が添加されています。)・たこ焼きなども断たなければなりません。これらの食品は、パンやケーキよりもさらにグルテンフリー代用食が手に入りにくいので、グルテンフリーをするぐらいならいっそ低炭水化物ダイエットへと移行する人が多いことでしょう。それは、お米さえ食べない生活を意味します。

以上をまとめると、日本ではグルテンフリーの流行によって、一部の人はかえってお米離れする可能性があるのです。
お米の消費を増やしたいなら、やっぱり、安くて美味しいお米、という消費者ニーズを忠実に守るのが王道ではないでしょうか。

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