タミアのおもしろ日記

食文化・食育のお役立ちの話題、トンデモ食育、都市伝説、フードファディズムなどを分析して解説します!(^.^)

「若者の米離れ」調査のずさん。

2016年10月19日 | Weblog
今回はかなり問題だと思います。某業界紙が一面トップで「若者の米離れが浮き彫りになった」と主張する自社街頭調査を掲載したのですが、その手法が非常にアレなので、信頼できる調査結果ではないのです。もちろん、若者の米離れがある程度起こっている可能性は否定しませんが、こういう重要な問題については、新聞社は正確な統計調査を行って議論すべきと考えます。

この街頭調査のどこが問題なのか。
まず、調査は4日間、JR新宿駅とJR渋谷駅前で20歳代男女各50人に聞いたというものですが、この時点で天を仰ぎたくなります。そもそも論として、新宿駅と渋谷駅に集まる若者って、日本の若者の平均像では有りません。食品業界では、東京の人は平均日本人とは食に関する考え方が違うとされており、平均的日本人のデータを推計したい時は、経験的に購買行動や意識が平均値に近いことが知られている札幌や静岡で調査を行います。

それに、新宿駅や渋谷駅は両方とも朝は通勤ラッシュで殺気立ってて、とても街頭調査できる状況じゃありませんので、おそらく調査したのは昼食以降の時間だったと思われます。そんな時間にここを歩いている若者の大多数は、近隣のオフィスの勤務者(つまり多忙なので普通は街頭調査に非協力的です。)、大学生、そしてヒマな人や遊び人などです。最近、平日の日中に渋谷駅を歩いた経験のある私が断言して言うのですから。仕事または遊びに忙しすぎて食事どころではない人の多そうな場所であえて調査している・・・もしかして、答えが先にありきの調査ではありませんか?

それに4日間かかってやっと100人のデータが集まったというのも謎です。あの、世界でも有数の殺人的に人間のごった返す駅前で、たった100人集めるのになんで4日掛かるのか?これはですね、つまり保守的で危機管理意識のある人ほど「あのー、調査に協力してくれませんかー?」と尋ねられると、キャッチか宗教かなんかだと思って逃げる傾向があるのですよ。特に渋谷はキャッチで有名ですから。

だから、新宿や渋谷で声をかけられて立ち止まって話を聞く時点で、その人は、キャラ的に平均的な人とは少し違うのですよ。例えば、危機管理意識の低いおっとりした人。このタイプの人は誘導的な質問をされるとその通りに答えやすい傾向があります。あるいは逆に極端な話、腹の中で「調査?暇つぶしに、適当に答えて大人をからかっちゃえ!」と考えている人が混じる可能性もあるのです。

次にこの調査の致命的問題を述べましょう。
それは「若者が米離れをしてる」と証明したいなら、同じ手法で数年ないし十数年前に調査をしておいて、それと比較しなければならないのです。ところがこの新聞の調査ではそういう比較が全くないのです!! 今回の結果だけから判断して、米離れをしていると断言しているのです。数年前やバブル期の新宿・渋谷の若者の方が、今よりも「お米なんて食べてませんよ~」と答えていたのかも知れません。

付け足しですが、調査文面にもかなり問題が。「1ヶ月どのくらいの頻度で米を自分で炊いたか」という設問がありました。繰り返しますよ、「自分で」です。で、この調査では100人中65人が家族と同居または寮住まい等だったのです。
要するに、家族や寮母さんが代わりにご飯を炊いてくれているのですから、「「ほぼ毎日」はわずか6%にとどまり、「炊かない」が62%に上った。」って記述、読者が誤解しませんか?独身の一人住まいの人にしても、コンビニおにぎりとかホカ弁とかを食べるから「自分で」炊かなくていいのです。自分で炊いたかどうかという設問は、米離れの証拠としては何ら採用出来ないデータです。

数字だけ見ているのは危ない物ですね。
なんで今、こんな調査をやったんでしょうね?
コメント (1)
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