タミアのおもしろ日記

食文化・食育のお役立ちの話題、トンデモ食育、都市伝説、フードファディズムなどを分析して解説します!(^.^)

和食国民会議が「ユネスコに一汁三菜が登録された」と誤解を流している。

2023年11月08日 | Weblog
本当に残念です。いままでこのブログで何度も紹介したとおり、ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」は、一汁三菜ではないし日常的和食でもないし、ユネスコは和食が健康的とは認めていません(あくまでも日本側がプローザル文書に健康的であると書いて申し込んだだけですので、ユネスコ側では健康的であるかどうかは判断していません)。いままで数回に分けて、ユネスコのホームページと、実際の日本のプローザル文書の翻訳などをひいてこのブログで説明してきました。

ユネスコが登録したのは、正月の伝統的おせちなどの絶滅寸前文化のことです。おせちはデパートなどの新作創作料理を購入する人が増える一方で、地域の伝統的な食べ方は絶滅寸前なので、そのような「消えそうな文化」を守りたいからユネスコ側は登録したのです。

しかし「一般社団法人和食文化国民会議」という団体が、ホームページと宣伝動画を介して、ユネスコに登録されたのは一汁三菜で身体に良いのだという誤解を広めています。
例えば、ここに引用したホームページ画像(https://washokujapan.jp/mini_washoku_lesson/info-20211216/)をご覧ください。
頁タイトルが「ユネスコに登録された「和食」とは?」とあるのが肝です。


この動画のvol.1では、ユネスコに登録されたのは「絶滅の危機があると考えられる和食」であることをさかさに解釈して「和食文化は消えつつある!」と叫んでいます。すぐに詭弁だとわかりますよね。逆は真ならずです。しかし番組では「和食は消えつつある!このままだと深刻な事態です!皆さんもっと和食を食べましょう」と視聴者をあおり立てて、続くvol.2の動画で、和食の基本は一汁三菜だからこれを食べましょうと勧めているのです。

ユネスコ登録の和食と、非登録和食(一汁三菜や日常的和食など)を視聴者が混乱するように意図的な頁作りをするなんて、ユネスコの関係者がこの頁を見たら激怒するでしょう。(ユネスコ関係者に通報しようかな♪)

私自身は日常的な和食も好きですが、ユネスコに登録された和食と私たちが普段食べている和食は異なるものです。国民会議の内容は、世界に対しても、私ら和食好きの日本人に対しても、和食の意味を意図的にしっちゃかめっちゃかに解釈して侮辱しているようにさえ見えます。

ところで、ユネスコ本部の委員会から生まれてユネスコと協調活動しているICOMOS(国際記念物遺跡会議)の 「神宮外苑再開発事業撤回に向けた緊急要請」について、多くの日本人は無視しています。ユネスコの有形文化遺産保護関係者が日本の景観の美しさをたたえて保存したいと言っているのにそっちは無視を決め込んで、和食だけ万歳万歳しているのってなに?こんな態度ばかり取っていたら「日本人はいいとこだけつまみ食いのダブルスタンダード民族だ」と冷たい目で見られますよ。同じ日本人として全く恥ずかしいことです。

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