心理学の本(仮題)

【職場に】心理学書編集研究会(略称:心編研)による臨床心理学・精神医学関連書籍のブックレヴュー【内緒♪】

【さわり,さわられ】タッチタッチそこにタッチあなたからタッチ【ふれ,ふれられ】

2006-05-22 13:18:02 | ココロとカラダ
今日は端的にいきます。
「さわる」は,やや隠蔽された歴史です。たとえば, 

性格分析性格分析
W.(ウィルヘルム) ライヒ 小此木 啓吾

岩崎学術出版社 1995-03
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原著ではそれに関する項目があるそうなのですが,この翻訳では省略されています。それが故小此木先生の意向なのか,出版社の意向なのか,あるいはその両方なのか,分かりませんが,ともかく,ない。



ふれることの哲学ふれることの哲学

岩波書店 2000-07
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哲学の分野でもあまり人気がない身体。そのなかでこれは中井久夫先生なんかも引用しつつ,われわれには比較的なじみやすいかも。論は要にして諦です。



精神としての身体精神としての身体
市川 浩

講談社 1992-04
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哲学者がどう考えるのか,概観できます。


ここでインタールード。
ただの言葉遊びですが,「さわり」という言葉がありますが,これ,眼目とか聴かせどころ,ということですが,これ誤用されてるのは有名ですが,本来「サビ」とかと同じ意味なわけですよね。それが表層的な意味に代わってるっていうのは少し面白いかもね。



タッチング―親と子のふれあいタッチング―親と子のふれあい
アシュレイ・モンタギュー

平凡社 1977-01
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そもそもアタッチメントって,その元になったハーロウの実験を考慮すると,physicalな側面が強いように思うのですが,残念(?)ながら,通常は「心理的な」ということになります。その意味でこれは貴重な古典なんですが……品切……。



愛撫・人の心に触れる力愛撫・人の心に触れる力
山口 創

日本放送出版協会 2003-01
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なんかすごいタイトルですが,心配ご無用。実験系の発達心理学者らしい,落ち着いた筆致です。



身体心理学―姿勢・表情などからの心へのパラダイム身体心理学―姿勢・表情などからの心へのパラダイム
春木 豊

川島書店 2002-12
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かなり議論が広がっています。広げていますというべきか。心理学における現代的展開が一望できます。



触覚の世界―実験現象学の地平触覚の世界―実験現象学の地平
ダーヴィット カッツ David Katz 東山 篤規

新曜社 2003-01
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てなことでこういうのもあります。かなり禁欲的というか,ハードコアな一品。かなり「工学」に近いニュアンスじゃないでしょうかね。



タッチタッチ
岩村 吉晃

医学書院 2001-04
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またもや「神経心理学コレクション」シリーズ。医学的・生理学的なメカニズムがうまくまとめられている,基礎的な文献としてはかなりの好著。



子供の「脳」は肌にある子供の「脳」は肌にある
山口 創

光文社 2004-04-17
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またもや山口創先生。タイトル言い切ってますが,タイトル倒れじゃありません。ひとつの観点を提示する,という印象。心理学的な議論としては極めてまっとうだと思います。



皮膚は考える皮膚は考える
傳田 光洋

岩波書店 2005-11-03
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これはもっとコアに「皮膚そのもの」へのアプローチです。岩波のこのシリーズの文脈だと少しもったいないかも。読み物としても魅力あるけど,もう少し,ボリュームのあるものであっていいのになあなんて,ないものねだりですけど。


嗚呼,まとまらない……。ちょっとこれ二回に分けた方が良かったなと思いつつ,どうせまたやりますよ,「さわる」ことは,と宣言しときます。


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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
うほっ…!! (Deco)
2006-05-22 15:28:46
訳あってタッチを調べてる僕です。



欧米(つか接触文化)の国々の研究やら書籍を見ると,



特に大人系対人系のものだと,キッスィングやらハギングやらがわんさか出てきますね。



日本だと,どういう事になるのでしょうかね。
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こちらこそ,どうなんでしょう? (psy-pub)
2006-05-22 16:59:24
>Decoさま



コメントどうもありがとうございます!



>日本だと,どういう事になるのでしょうかね



まあここは,相武紗季クン(20)の八面六臂の活躍で,全国民が「アイブ」という語感に抵抗がなくなるのを待つしかないですね……。



と意図的に話題が逸れてスミマセン。



真面目にいうと,前掲のモンタギューの書籍においても「さわることの心理療法的側面」がカットされていると聞いています。セラピーにおけるタッチを扱った文献は国内にはほとんどないんじゃないでしょうか。



また

『いいタッチわるいタッチ だいじょうぶの絵本』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4265038123

これも大きい問題ですので,ますますなかなか険しいと思います。



ある面では,接触文化でない,日本人の方が「接触」に対して抵抗がない,とも聞きますが,どうなんでしょう? なんか日本語的な逃げなのか「ふれあい」という語にしても,つい議論が,形而上的なものにいきがちな感じがしますよね。



……あれ,結局なんかズレてる気がする……。



もしよろしければ,研究のネタバレにならない程度で,Deco出し,取って出しの,有益情報頂けたら嬉しいなあなんて。
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Unknown (Deco)
2006-05-22 18:03:58
相武タマは芸名なんですって。釈由美子以来のインプリジット卑猥系芸名ですね(言うんじゃなかった)。





有益になるかどうかはこの際懸念することをやめるとしてw



触ることの心理療法的な意味って言うと,それこそ海外文献を検索すれば,わんさか出てきますからねぇ。touch in psychotherapyなんて書籍も出てるくらいですし。



一方,おっしゃるとおり日本ではあんまり無いですね。看護系の方が多いかもしれません。

書籍だと,根ヶ山光一の「身体から発達を問う」の中に「触わる・離れる」っていう章がありますね。





>接触文化でない,日本人の方が「接触」に対して抵抗がない,とも聞きますが,どうなんでしょう? 



どうなんでしょう。養育スタイルは母子密着で,むしろ「スキンシップ」なんていう言葉も生まれるくらいなのに,なんかデリケートな扱い受けてますね。



思いつきですけど,日本では接触に対する強い社会的・規範的要請が無いのだから,強い抵抗も生まれにくいんじゃないかとか。やらなくても良いことに対して,んなこたぁやりたくねぇ!なんて思わないかなと。



あと,そんな日本人がタッチに対して抵抗を示すのであれば,それは親密さとか親密行動一般に対する抵抗から来るものなのではないか,なんて事も思います。





あと「ふれあい」なんですが,反社会学講座の「ふれあい」のとこを面白く読んだ身としては,そんな言葉に実体は無い!なんて思います。
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Unknown (Deco)
2006-05-22 18:29:44
釈由美子は本名だそうです…。



やっぱ言うんじゃなかった…orz
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うーむ (psy-pub)
2006-05-22 19:32:31
>反社会学講座の「ふれあい」のとこ



久々にワロタ(AA略

http://mazzan.at.infoseek.co.jp/

誰か反心理学講座やらないかな。



もとい,ちょっとこれは仕切りなおしだなあと思ってます。もうチョイ詰めてやらないと。そのうちにまたエントリやります。



『母子間の抱きの人間科学的研究―ダイナミック・システムズ・アプローチの適用』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4762823643



これなんかもあるもんなあ。でもキーワード「WASABI」もとい「WASEDA」かもなあって気がしてこないでもない気がするようなしないような。

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あれ? (psy-pub)
2006-05-22 19:45:53
>Decoさま



……相武紗季……も……本……名?



嘘だといってよ,デーコィ
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Unknown (Decoy)
2006-05-22 21:36:51
      !?







驚 愕 の 事 実 









荒らしてスイマセンorz
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