心理学の本(仮題)

【職場に】心理学書編集研究会(略称:心編研)による臨床心理学・精神医学関連書籍のブックレヴュー【内緒♪】

【なに】世界を変えるかもしれない――のに売れない本【ゆえ】 その1

2005-09-29 14:46:28 | 特集・シリーズ

たぶん,そういう本は沢山,沢山あるのだと思う。
でも,そういう本であったら,正味の話,そこそこ売れるのである。
噂が噂を読んで,大ベストセラー!!なんてことにはならないのであるが,こつこつと重版を重ねたりするのであります。
いい本だから!
という感じで。

10年で1万部,,,のカタツムリみたいなペースで。

なのにもかかわらず,時代の運命なのか,それとも訳者が悪いのか,出版社が悪いのか,読者が悪いのか,その本が売れぬように蠢いている秘密結社でもあるのか,まったく売れないという本がある。なのに,読んでみると,無茶苦茶革新的で,ひざをついつい何度なく叩きたくなる,そんな本があったりします。
そういう本を探せ!
というわけで,心編研では,心理臨床家3,000名に緊急アンケートを開催(ウソ)。緊急編集会議ののち,以下の3書籍に,「第1回 世界を変えるかもしれない――のに売れない本(心理版・翻訳部門) 賞」を差し上げることにしました。
注1:売れていないのは憶測というか,本屋にあった本の奥付を参考にしました。どの本も初版後,沈没ぎみです。
注2:選考にあたっては心編研のおスペサルアドバイザーの某大学教授(専攻:臨床心理学)の目が入っています。

第1回 世界を変えるかもしれない――のに売れない本(心理版・翻訳部門) 賞

原初なる一を求めて―転移神経症と転移精神病
マーガレット・I. リトル (著), Margaret I. Little, 神田橋 條治 (原著), 溝口 純二

ポストモダーン精神分析の本。訳者も錚々たる顔ぶれだが,値が高いのか。

 

 

プリセラピー―パーソン中心/体験過程療法から分裂病と発達障害への挑戦
ゲリー プラゥティ (著), Garry Prouty (原著), 岡村 達也 (翻訳), 日笠 摩子 (翻訳)

ロジャース学派の最精鋭! なのに。やっぱ,カウンセリングなんとか,とかいうタイトルがつかないと,ロジャリアンは飛びつかないのか…


「治療不能」事例の心理療法―治療的現実に根ざした臨床の知
バリー・L. ダンカン (著), スコット・D. ミラー (著), マーク・A. ハブル (著), Burry L. Duncan (原著), Scott D. Miller (原著), Mark A. Hubble (原著), 児島 達美 (翻訳), 日下 伴子 (翻訳)
 

(写真なし)

実践がしっかりあって,統合学派に近い考えで,ものすごくいい本――だということなのだが…。

 

第2回もやる。

次は日本人編だ! 行くところまで行くぜ!


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6 コメント

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Unknown (アナライザンド)
2005-09-30 09:54:48
原一(原初なる一を求めて)は,翻訳の理念(直訳調,句読点が多いなど)には,共感するのですが,さて,読む段になると,やはり疲れる,神田橋マジックを期待すると,余計に。しかし,原書を読むくらいの意気込みで向かえば,その世界は広がり,その点,やはり過小評価であると,言わざるを得ない,と思います。
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Unknown (カカ)
2005-09-30 15:20:17
>行くところまで行くぜ!



きゃあああああ―っ

(↑ライブハウスの歓声風叫び)



もう謎の集団psy-pubに目が離せません
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ありがとです (Unknown)
2005-09-30 15:52:15
アナライザンドさん,カカさん,コメント,ありがとうございます。「原初なる―」はやはり難しいという声は多いようです。他の2点についても売れなかった理由というのはあるんでしょう。

世界を変える,というのは言い過ぎかもしれませんが……。でも,気に入っちゃったんで,このフレーズ。
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岡村『プリセラピー』への訳注の試み のご紹介 (Honu1000)
2005-10-10 00:32:15
『プリセラピー?パーソン中心/体験過程療法から分裂病と発達障害への挑戦』が、取り上げられているので、書き込みます。



訳者の岡村達也先生が、

『プリセラピー』への訳注の試み(上)? Prouty, G. の Pretherapy の研究(Ⅰ)? 『人間科学研究』文教大学人間科学部 第23号 2001年、

『プリセラピー』への訳注の試み(下)?Prouty,G.の Pretherapy の研究(Ⅱ)? 『人間科学研究』文教大学人間科学部 第24号 2002年

を、書いておられます。



執筆の意図の部分を、引用します。

-引用はじめ-

 この度,その邦訳を出版したが,訳書は原

著原型のままとすることとなり,書名を除い

て,訳注も含めて一切の加除改変を避けた。

 稿では若干の訳注を試みる。内容的には,

まず,初心者が本書を読むための基礎知識の

補充や,場合によってはありがちな誤解の修

正。次に,原著には欠けているテキストの引

用の補充。第3に,以上と重なるが,とりわ

け現象学をはじめとするプリセラビーの哲学

的基礎にかかわるテキストの引用の補充。最

後に,部分的には(訳語選択の趣旨も含めて)

私見を加えた。

-引用終わり (上)p.55より-



ウェブで読むことができます。

『プリセラピー』への訳注の試み で、検索すると出てきます。(pdfです。)

ご参考まで。
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RE: 岡村『プリセラピー』への訳注の試み (psy-pub)
2005-10-11 13:52:47
Honu1000さん

素晴らしい情報,ありがとうございました。



こういうものを足して,日本版のPretherapyの本が出来ることを個人的には願っています。

Pretherapyは,今後の心理業界のものすごく重要なキーワードだ,と思うのですが…。



また,ある情報筋(北朝鮮か??)によると,この本,在庫がほとんどないそうです。(版元が処分しちゃったんだそうな。合掌)

買うなら,今のうちです!

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psy-pubさま (Honu1000)
2005-10-11 22:53:53
恐る恐るの投稿だったので、

>素晴らしい情報,ありがとうございました。

を読んで、素直にほっといたしました。

>版元

日本評論社ですね。

なんということでしょう!

いまさら遅いですが、宣伝に走ります!
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