いまの60代±10歳くらいの精神科の医師って,まあ,大変だったと思うわけです。唐突に。
ま,反面,すんげぇ面白かったと思うんですけどね。
だって,あーた,たとえば,それまでの精神分析的-精神病理的精神医学観がごろっと,器質的-生物学的精神医学観に変わってしまって(ま,ヤスパースのことは置いておいて),いろいろと薬はできるわ,法律の改正はあるわで,そら,ほんと大変であったんじゃないかと思います。
大転換!大転換!
でありましょう。大転換つうか,大混乱であったのでしょう。DSMが2年おきくらいに書き換わるみたいなもんなイメージ。
むろん,当時生きていた人たちは,そんなことをこれっぽちも思わず,ただただ流れを追い続けただけなんでしょうけれどね。
そのなかで一番の変化は,やはり「発達障害」という概念ではないでしょうかね。「器質的欠損」とは,意訳すれば「仕方ないじゃん」でありまして,境界性人格障害やらアダチルやらなんつう「精神病理最後の砦」「家族因」「環境因」「育て直り」なんていう概念と,現在最後の大戦をしているような感じ。
というわけで,この「発達障害“仕方ないじゃん”ムーブメント」の陰の立役者はだれだ!と考えますと,煌々と浮かびますのが,
中根晃先生
でございましょう!
え,知らん?
うーん,そうか,結構,心理系の人は中根先生知らんよね。
都立梅が丘病院の元院長。自閉症の大家。児童精神医学の巨人。
中根晃先生は,先ほど言いました「60代±10歳」の精神科医で,たぶんその先頭グループを走ってきた方でありましょう。
始まりは,
でありますが,もはや絶版。とはいえ,古本はありそう。1978年の作品です。
これを金剛出版さんで出した後,岩崎学術さんから1983年に
を出す。
うーん,すごいね,この流れ。
ま,キラーコンテンツって奴ですな。知らんけど。イメージだけど。
途中,こんなのもあったりしつつ,
で,この手の中根先生の本の現在の最終形態は,
でありましょう。
これ,いい本です。「発達障害」というキーワードを遅すぎず早すぎず的確なタイミングで使った本と言えるでしょうか。版を重ねています。
さすが,ドクターだと患者さん診まくってますから(しかも,梅が丘病院と言えば,児童中心の精神科単科病院ということで高名でありますし),言うことにリアリティがある。1,000人とか,同時に抱えていたりしますしね。
それから,翻訳ですがね,ADHDの本も作ってますよ。
ちょっと古くなっていますが,
はいい本です。ワタシもこの心理関係の本をつくり始めた当時,会社にこの本があったんで読んだんですが,なかなかこれを越えるADHD本は今でもないんじゃないでしょうか。ADHDがブームになるちょっと前に出たというのも,中根先生の眼力でしょう。
とにかく,家族~臨床家にまで勧められる本でございますよ。何だか営業マンみたいなこと,言ってますが。
その余勢をかったのか,編著
もございます。
これは専門家向け。
本邦初のADHD本
を書いた松浦先生も「ADHD臨床ハンドブック」に寄稿されてますね。
あと,いま見つけたんだが,すんごいバチもんを発見。アジア版とらえもん,といい勝負だな,これ。いくらなんでも……
さて閑話休題。
ADHDと近縁(?)にあるLDと言えば,上野一彦先生でありますが,中根先生はLD研究もされておられます。
日本文化科学社さんの「わかるLDシリーズ」の
というのがよかった。これは,LD学会編で,森永先生と中根先生との共同責任編集。たぶんすんごく売れているでしょう。
近刊だと,中根先生の監修もの
もあります。
うーむ,ふところが深い。
以上,勝手に盛り上がってしまいましたが,「中根先生ラブ」でありました。
ま,反面,すんげぇ面白かったと思うんですけどね。
だって,あーた,たとえば,それまでの精神分析的-精神病理的精神医学観がごろっと,器質的-生物学的精神医学観に変わってしまって(ま,ヤスパースのことは置いておいて),いろいろと薬はできるわ,法律の改正はあるわで,そら,ほんと大変であったんじゃないかと思います。
大転換!大転換!
でありましょう。大転換つうか,大混乱であったのでしょう。DSMが2年おきくらいに書き換わるみたいなもんなイメージ。
むろん,当時生きていた人たちは,そんなことをこれっぽちも思わず,ただただ流れを追い続けただけなんでしょうけれどね。
そのなかで一番の変化は,やはり「発達障害」という概念ではないでしょうかね。「器質的欠損」とは,意訳すれば「仕方ないじゃん」でありまして,境界性人格障害やらアダチルやらなんつう「精神病理最後の砦」「家族因」「環境因」「育て直り」なんていう概念と,現在最後の大戦をしているような感じ。
というわけで,この「発達障害“仕方ないじゃん”ムーブメント」の陰の立役者はだれだ!と考えますと,煌々と浮かびますのが,
中根晃先生
でございましょう!
え,知らん?
うーん,そうか,結構,心理系の人は中根先生知らんよね。
都立梅が丘病院の元院長。自閉症の大家。児童精神医学の巨人。
中根晃先生は,先ほど言いました「60代±10歳」の精神科医で,たぶんその先頭グループを走ってきた方でありましょう。
始まりは,
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でありますが,もはや絶版。とはいえ,古本はありそう。1978年の作品です。
これを金剛出版さんで出した後,岩崎学術さんから1983年に
![]() | 自閉症の臨床―その治療と教育 中根 晃 岩崎学術出版社 1984-01 売り上げランキング : 1,591,499 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
を出す。
うーん,すごいね,この流れ。
ま,キラーコンテンツって奴ですな。知らんけど。イメージだけど。
途中,こんなのもあったりしつつ,
![]() | 自閉症治療スペクトラム―臨床家のためのガイドライン 中根 晃 内山 登紀夫 市川 宏伸 金剛出版 1997-10 売り上げランキング : 112,031 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
で,この手の中根先生の本の現在の最終形態は,
![]() | 発達障害の臨床 中根 晃 金剛出版 1999-10 売り上げランキング : 116,242 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
でありましょう。
これ,いい本です。「発達障害」というキーワードを遅すぎず早すぎず的確なタイミングで使った本と言えるでしょうか。版を重ねています。
さすが,ドクターだと患者さん診まくってますから(しかも,梅が丘病院と言えば,児童中心の精神科単科病院ということで高名でありますし),言うことにリアリティがある。1,000人とか,同時に抱えていたりしますしね。
それから,翻訳ですがね,ADHDの本も作ってますよ。
ちょっと古くなっていますが,
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はいい本です。ワタシもこの心理関係の本をつくり始めた当時,会社にこの本があったんで読んだんですが,なかなかこれを越えるADHD本は今でもないんじゃないでしょうか。ADHDがブームになるちょっと前に出たというのも,中根先生の眼力でしょう。
とにかく,家族~臨床家にまで勧められる本でございますよ。何だか営業マンみたいなこと,言ってますが。
その余勢をかったのか,編著
![]() | ADHD臨床ハンドブック 中根 晃 金剛出版 2001-10 売り上げランキング : 135,864 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
もございます。
これは専門家向け。
本邦初のADHD本
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を書いた松浦先生も「ADHD臨床ハンドブック」に寄稿されてますね。
あと,いま見つけたんだが,すんごいバチもんを発見。アジア版とらえもん,といい勝負だな,これ。いくらなんでも……
![]() | 超のび太症候群 影山 任佐 河出書房新社 2000-09 売り上げランキング : 320,703 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
さて閑話休題。
ADHDと近縁(?)にあるLDと言えば,上野一彦先生でありますが,中根先生はLD研究もされておられます。
日本文化科学社さんの「わかるLDシリーズ」の
![]() | LDの見分け方―診断とアセスメント 森永 良子 中根 晃 日本LD学会 日本文化科学社 1997-04 売り上げランキング : 65,520 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
というのがよかった。これは,LD学会編で,森永先生と中根先生との共同責任編集。たぶんすんごく売れているでしょう。
近刊だと,中根先生の監修もの
![]() | 現代の子どもと強迫性障害 広沢 正孝 広沢 郁子 岩崎学術出版社 2005-03 売り上げランキング : 64,945 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
もあります。
うーむ,ふところが深い。
以上,勝手に盛り上がってしまいましたが,「中根先生ラブ」でありました。
中根先生といえば、『新 児童精神医学入門(1997)』なんてどうでしょうか? 少し古いですが、児童精神医学の包括的な教科書ってほとんどないので。
中根先生には、力動精神医学とか精神病理学などもきちんと素養として感じられ、それがハッタツショーガイ一辺倒の児童精神科医と一線を画すところだと思います。
>『新 児童精神医学入門(1997)』
確かに,児童精神医学領域の包括的教科書(で,あまりお財布に響かないもの)はあんましありませんね。
ぜひ改訂版が出て欲しいですね。日本のカナーなんかねー(ダジャレです)。
>力動精神医学とか精神病理学などもきちんと素養として感じられ
これは,時代というのもあるんでしょうけど,これくらいの年代の先生方は,たとえバリバリの生物学的精神医学の先生でも,然りなのではと思います。ドグマチックじゃないというか。