心理学の本(仮題)

【職場に】心理学書編集研究会(略称:心編研)による臨床心理学・精神医学関連書籍のブックレヴュー【内緒♪】

これだけは事実,新書はタイトルが100%~あるいは質的研究盛り上がってますなあPART2

2006-05-19 16:05:26 | 心理学研究法・統計
●関連過去エントリ

今まさに読み始めんとす書籍群

質的研究アレコレ

質的研究,盛り上がって(フルヘッヘンド)きておりますなあ


 エコエコアザラク,エコエコザメラク,地獄のそこからこんにちは,psy-pubです。まあいつものとおり,手前勝手にやらせて(飲らせて)もらいますがね,



99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方
竹内 薫

光文社 2006-02-16
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 まあもうほんとタイトルつけたもん勝ちですよね。もう感覚麻痺してますが,実際1000の理論を検証して,うち999個が仮説に過ぎなかったって話なわけはないですから,文化的順応しすぎですよね。SFの90%はクズだっていったのは誰だったか忘れましたけど,んなわけはないだけどね,なんか勢いに押されちゃうのかね。


そのちょっと前にはこんなのも話題になってましたね。


人は見た目が9割人は見た目が9割
竹内 一郎

新潮社 2005-10
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 もしや兄弟なの? 竹内一郎と竹内薫。よく知りませんけど。竹内力と兄弟だったらカッコいいけどね。だけどホント好きですねえ。「人間見た目が36.8%」ってつけても売れないしねえ。まあ,読んでないけど,読む気もないっすわ。だってこういうのって,タイトル以上のインパクトがあったためしがないからね。昔,近所にやってきた渡辺文樹の一連の映画(「ザザンボ」とか「バリゾーゴン」とかあったでしょ?)と同じで,観ぬが花,読まぬが花,みたいなところない? 

 とまあ,やや毒づいてみたわけですが,レヴューなんかでは「目新しいことが書いてない」などと文句をつけてる人もいるみたいですが,新書に目新しいことなんて書いてあるはずないだろって個人的には思うけどね。

 とまあ脱線しつつ,ただ,著者の主張と軌を一にするかどうかは定かではないけれど,いわゆる,基礎と応用の対立っていうのは,要はこういうことなんですよね。飛行機が飛ぶ原理はよく分からなくとも,現実として飛んでいる以上,それに付随するさまざまなことに対応していかなくてはならないわけです。飛ぶ鳥落とすのは喜ばしいですが,飛ぶ飛行機落としたら一大事ですから,でもそこには必ずしも「原理の解明」が必須なわけではないという。
 実際,心理に限らず,基礎系の研究者から見た応用分野なんて曖昧極まりないわけだけど,応用分野からみれば基礎分野は退屈極まりない。どっちが正しいなんてもんじゃないですね,だってどちらかの正当性が完全にもう一方の正当性を上回ることなんてないわけですから。かといって,両輪,というのも違う気がする。なんか言い得て妙の言い回しが見つからないけれど,相互に関係しあいながらも,永遠に交わることのない,交わるべきでない,ねじれの位置的な関係性があるような気がしますなあ。

 とまあ,何でこんなことを書いたかというと,質的研究の盛り上がりっていうのは,まさに,nature nurture problemと同じくらいの古典的対立の中に,その姿を現わしはじめたんだなあということで,とくに「対人援助」というところにおいて,必然的な盛り上がりを見せていることは,羞恥の痔疾もとい周知の事実なわけですよ。



ナースのための質的研究入門―研究方法から論文作成までナースのための質的研究入門―研究方法から論文作成まで
ホロウェイ ウィーラー 野口 美和子

医学書院 2006-04
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 第2版の翻訳です。看護系の質的研究関連書籍の特長はとにもかくにも「実践的」ということだろうと思います。理念的なところをあまりこねくりまわさない。これはたぶん,実践者たち自身のメンタリティも大きく影響してるのかなあなんて思ったりもして。



ワードマップ グラウンデッド・セオリー・アプローチ―理論を生みだすまでワードマップ グラウンデッド・セオリー・アプローチ―理論を生みだすまで
戈木クレイグヒル 滋子

新曜社 2006-04
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 GTAの明快な解説といえばこの戈木先生ですな。前著『質的研究方法ゼミナール』と合わせ,格好の入門書といえましょう。ここまでくれば「マンガでわかるGTA」だって出せそうだ。


 だ・け・ど,やっぱり難しいと思います質的研究。分からないですけど,方法論が明確に明快になればなるほど,その研究者自身が問われるという,これやっぱ大変ですよ。研究を魅力なものとしようとすればするほど,方法論「以外」のところの尋常ならざるセンスを要するわけでして……。もちろん新しいものを生み出してくというのは常にそういう困難がつきまとってるわけですが,通常の科学的(ないし疑似科学的)な研究法に比して,知見の集積から受ける恩恵が少ない分,研究全体で考えた場合,個人にかかる負担が大きいのではないかなと思うわけです。まあそれは反対にいえば,優秀な研究者が「より際立つ」ということでもあるのですけどね。



関係性のなかの非行少年―更生保護施設のエスノグラフィーから関係性のなかの非行少年―更生保護施設のエスノグラフィーから
松嶋 秀明

新曜社 2005-11
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 てことで,コレですな。ほんと特徴的だなと思うのは,科学的にだとか,アカデミックにだとか,そういうことを棚上げして,「おもしろい/おもしろくない」というある種,印象批評的,ディレッタント的な観点が立ち上がってくるわけです。これもやはり質的研究の必然なのか,そういう意味では,この本は確実に「おもしろい」わけですけど。しかし他にも,いろんな要素が含まれてるんじゃないでしょうかね。集大成というよりは萌芽って感じかな。


 最後に,まあなんつうかな,自分のなかで考えがまとまっていない時,文章を書くと,100%冗長になる,それだけは私の主観的事実なんだなと思いますた次第。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ロテ職人)
2006-05-19 17:20:42
全然関係ないコメントで申し訳ありませんが…



> SFの90%はクズだっていったのは誰だったか忘れましたけど



スタージョンの法則ってやつですな。

http://blog.rote.jp/2005/05/13-080045.php



え?知ってるって?こりゃまた失礼いたしました。
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コメントありがとうございます (psy-pub)
2006-05-19 19:14:14
>ロテ職人さま



コメント&有益リンク,ありがとうございます!



知らなかったわけではないけれど,憶えていたわけでもないという,スタージョン。個人的にはこれ「99%はクズ」に置き換えてましたけど……。



この人の作品読んだことないけど,ご自分の作品だって,その90%はやっぱりクズなんでしょうね,なんて意地悪を言いつつ,SF作家らしい相対主義がインパク知(古)な発言ですよね。
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注記 (psy-pub)
2006-05-20 02:12:26


コメントを下さった方からの希望により,このエントリにおける,その方のコメントおよび,私のリコメントを削除しました。ご覧になった方は,是が非でも忘却しちゃってくださいませね。
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深謝銀河特急御対応 (カカ)
2006-05-20 11:29:10
迅速なご対応に深く御礼申し上げます。

深夜にお手数をお掛けして本当に申し訳ありませんでした…。
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