PSW研究室

専門職大学院の教員をしてる精神保健福祉士のブログ

人をどこで切るのか?

2010年03月06日 08時03分38秒 | PSWのお仕事

昨日は午前中、地元で自立支援協議会の会議に出て、
午後は、社会福祉士の実習教育セミナーに参加していました。

僕はこれでも、社会福祉士を受験する院生たちの指導にもあたっています。
自分自身は、精神保健福祉士しか持っていないんですけどね。

ご存じのように昨年から養成カリキュラムが変わり、実習に重点が置かれるようになりました。
精神保健福祉士についても、今後同様の方向が目指されています。

再来年度?くらいには、精神保健福祉士も新しいカリキュラムに移行するでしょうし。
先行している社会福祉士の実習指導について、少しでも動向や方法を押さえておきたかったので。


参加者は100名弱でしたが、全国から来ていました。
北は北海道・北星学園大学から、南は九州・鹿児島国際大学まで。

新しいカリキュラムのもと、どのように実習教育を進めていくのか。
議論は時にヒートアップし、大学の先生たちの間でも模索が続いていることを痛感しました。

一番議論が集中したのは、「専門職としての力」ということです。
新しいカリキュラムの根幹にかかわるテーマと言えます。

今までの大学教育は、社会福祉学の専門教育だったという反省。
社会福祉専門職としての教育がなされていなかった、という問題。
今までの社会福祉士養成教育は、ことごとく失敗だったという提起。

端的に表されるのが、求められる「専門職としての4つの力」です。
1)マネジメントできる力
2)プログラムを作れる力
3)スーパーバイジーになれる力
4)イメージできる力


たしかに、現場で実習指導していると「ど~よ?」と思う学生はいますよね。
事前学習やコミュニケーションスキルの不足だけでなく、それ以前の問題で…。

でも、この4つの力の獲得を、目指していれば良いというのではなくて、
獲得できているかどうかが、単位認定の基準になるとしたら…。

既に、専門職としての準備的確性があるかのトリアージを試みている大学もあります。
一部医療専門職で取り入れられている、なんらかのスケールを当てはめて点数化して。

期待される到達点に達していなければ、単位を与えないだけでなく、
その仕事、その資格を目指すことを、あきらめてもらうということになります。


でも、どこのラインで学生を切るのでしょう?
伸びしろといわれる変化可能性を大事にする、福祉や教育の視点に合致するのでしょうか?

教員の指導力不足や、実習現場や実習指導者側の力量不足や問題は不問に付されるのでしょうか?
メンタルヘルス上の既往のある人は、もうリカバリーする機会がないのでしょうか?


今日は、あれこれいろんなことを考えさせられました。
先々の精神保健福祉士実習を考えると、今から頭が痛いです。


※参考までに、セミナーのプログラムを下に貼り付けておきます。

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

【社会事業大学 社会福祉士実習教育セミナー】
2010年3月5日(金)午後1~7時半

◆内容
○開会の挨拶
 社会福祉士実習教育セミナーの開催の意義について
  大橋謙策(日本社会事業大学学長、日本福祉教育学校連盟会長)

○シンポジウム  「今後の社会福祉士実習のあり方について―新カリキュラムを踏まえて―」
 シンポジスト   柿本誠(日本福祉大学社会福祉実習教育センター長)
            米本秀仁(北星学園大学教授)
            渋谷行成(新宿区立かしわヴィレッジ施設長)
            黒川京子(日本社会事業大学実習教育センター実習講師)
コーディネーター 藤岡孝志(日本社会事業大学実習教育センター長)

○テーマ別分科会
A : 地域型実習
  「社大版・地域型(地域福祉)実習教育~これまでの取り組みとこれから~」
      〔報告者〕添田正揮(日本社会事業大学実習教育センター実習講師)
            粕谷勝(清瀬市健康福祉部地域福祉課)
            小畑万里(日本社会事業大学非常勤講師)

B : リスクマネジメント
   「社大における共同研究の成果を踏まえた今後の実習教育個別指導のあり方の検討」
      〔報告者〕岸野靖子(日本社会事業大学実習教育センター実習講師)
            添田雅宏(日本社会事業大学通信教育科教員)

C : 新カリキュラムにおける演習・実習
   「実習施設・機関における実習プログラムを含む大学等養成機関と現場の実習・演習
    プログラムの工夫と協同のあり方の検討」
      〔報告者〕黒川京子(日本社会事業大学実習教育センター実習講師)
            我謝美左子(日本社会事業大学通信教育科教員)
            野嶋成美(やなか地域包括支援センター相談員)

○まとめ 各分科会の報告・総括討論等
○意見交換懇談会

◆対象
福祉系大学並びに福祉系専門学校実習担当教員、社会福祉施設・機関の実習指導者
◆参加費
2,000円(意見交換懇談会に参加する場合は、別途2,000円)
◆主催
日本社会事業大学実習教育センター(4月以降、実習教育研究・研修センターに改組)




※画像は、元旦参拝客が日本一多い明治神宮。
 記事内容には、関係ありませんが、今日は今年度最後の入試です。


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