マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

ベートーヴェン:ワルトシュタイン・ソナタ

2018-12-01 22:58:06 | ラ・プロムナード・ミュジカル
明日のプロムナード・コンサートの最初に弾くのは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」です。
作曲されたのは、1803~04年。
ベートーヴェンが最も充実していた時期のようです。
内容、形式、表現手段、楽章間の均衡と関連など、いずれをとっても、完璧さと調和が見られる作品の一つです。
「ワルトシュタイン」という副題はワルトシュタイン伯爵に献呈された事からつけられたものです。
ワルトシュタイン伯爵は、ベートーヴェンの才能を深く愛し、経済的にも精神的にもベートーヴェンを支えました。
1803年にエラールから性能のいいピアノを贈られ、それに触発されて作られたのかもしれません。

曲は2楽章から成り、1楽章は速い楽章でソナタ形式。
ピアニッシモによる和音の連打で始まり、とても印象的な開始となっています。
私は、続く5小節目からの2度下がった変ロ長調の主和音(コードで言えばB♭)がとても好きです。
こういう和音使いは通常の和声法ではありえないのですが…。
曲全体として、和声の変化は実に面白いです。
第2主題は一転して非常に抒情的な美しいメロディになりますが、この和声進行もシンプルですが素晴らしいです。
第2楽章は、非常にゆっくりした導入部のあと、ロンド形式による速い部分が続きます。
導入部は、単に1楽章とロンド部分をつなぐというものではなく、深い心情のこめられた美しい音楽です。
どこか寂しさを感じる曲想は、ベートーヴェンのこの後に続く人生を暗示しているかもしれません。
ロンドは、素朴な幸福感あふれる楽想のロンド主題で始まり、何度も出てくるので印象的です。
このメロディがピアニッシモで始まるので弾く方は緊張するところですが、心洗われる…そんな感じがして、とても好きなのです。
トリルも多用されていて、しかも同時にメロディを弾くようになっているので、弾きにくいですが、とにかく魅力的な曲で、最後まで息つく暇もないくらい変化の連続で、非常に演奏効果の高い曲となっています。

とにかく、難しい!!
でも、弾くのはとても楽しいですね。
弾くたびに試行錯誤です。

明日はプロムナード・コンサート。
お天気も良さそうなので、是非お出かけくださいませ。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。