マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

ショパン:バラード第2番

2012-11-25 16:58:33 | ラ・プロムナード・ミュジカル
12/2のプロムナードで演奏する曲の一つは、ショパンのバラード2番です。
昨年からバラード4曲を全部演奏しようと取り組んできて、2番で最後です。
2番は、どうも苦手…そんな感じで、なかなか今まで弾こうという気持ちになれませんでしたが、弾かないで嫌いと言っていても良くないですし、やるならシリーズごとに全部演奏しようという気持ちも起こり、取り組むことにしました。
弾いてみると、それなりに良さがわかって来るもので、いかにもショパン節と言えるフレーズが随所に折り込まれていて、それも楽しんで弾いています。
バラードについては、今までにも書いてきましたが、「物語風の曲」という意味があり、曲の起伏で何となく物語を語っているように感じられます。
特にショパンの4つのバラードについては、その物語の筋を同郷の詩人ミッキェヴィッツによったと言われていますが、必ずしも詩の内容を写実的に描写したものではありません。
これらの詩を読んだ時に受けた主観的情緒を曲の中に抽象的に表現したものと考えられています。

2番は、4曲のバラードのうち一番構成が簡単で、ABABコーダとなっています。
Aは田園風の素朴で美しいメロディを持ち、Bは一転して激しい嵐のような楽想で、この対比が非常に激しく、演奏を困難なものにしているところでもあります。
最後のコーダは嵐がさらに激しくなっていきますが、突然曲は休止し、Aの穏やかな主題が回想され、静かに曲を終わりますが、ヘ長調で始まったAの主題が、なぜかイ短調で終わるという、ちょっと不思議な曲です。
シューマンに献呈されていて、初めはヘ長調で終わっていたのが、のちに出版された時はイ短調に変更されたようで、そのことをシューマンが指摘していたようです。

参考までに、2番作曲の着想を得たミッキェヴィッツの詩を掲載しておきます。
「ウィリス湖」
昔、ある勇敢な騎士が、リトアニアの深い森の中にある湖をめぐる伝説の神秘を解こうと決心して、大きな網を湖中に投げた。
網を引き揚げると中には美しい姫が入っていた。
姫の話によると、今は大森林になっているこの湖畔もその昔は立派な町であった。
あるときリトアニアとロシアの間に戦争が起こり、女たちは生きて囚われの身となるより死を願って神に祈った。
たちまち大地震が起こり、城も町も湖中に消え去った。
女たちは睡蓮と化し、手を触れるものを呪った。
この水の国の女王でもある姫が騎士に害を加えなかったのは、騎士が彼女と同族の出身だったからだが、これ以上この湖の神秘を暴こうとしてはいけない、と言って、彼女は水中に姿を消したという。

CDは、オーソドックスな演奏で、勉強の参考になるのは、アシュケナージの ショパン:バラード&スケルツォ 流れがあっていいなと思うのは、ルービンシュタインの ショパン:バラード&スケルツォ全集 です。




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2 コメント

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バラード2番の元になった詞、初めてしりました♪ (ぱきかん)
2018-04-07 01:34:51
バラード2番の着想元になった詞があったとは、初めて知りました♪
勉強になりました!ありがとうございます♪
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お役に立てて良かった (マスミン)
2018-04-08 00:25:43
ぱきかんさん、コメントありがとうございます。
お役に立てて何よりです。
2番の支離滅裂…というか、起伏の激しさというか、それを理解するのに私自身もミッケェヴィッツの詩が参考になりました。
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