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『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

舞台の外で

2007-05-28 | 表現者 青山航士
 『SHOW店街組曲』千秋楽も大成功のようでしたねご覧になった方のレポを読ませていただくと、カメラが入っていたそうなんですが、何かの形で公開されないかと期待してしまいます 青山航士さん出演のミュージカルは映像化されたものがなかったので、『おどろんぱ』終了に泣いた日本全国のファンのためにも公開していただきたいですよね~。
 今回も『TOMMY』に引き続き、ダンスだけでなく歌でも客席を魅了しておられたそうですね。ダンスは結構長く見てきましたが、青山さんほどのレベルのダンサーで歌もあれだけ上手い方を私は劇場で見たことはありませんし、あれだけ踊れる歌い手を探すのは難しいだろうと思います。

 私は歌舞伎も好きなんですが、日本のミュージカルともいえるこの演劇には、役者に様々の芸を要求する役柄がいくつかあります。踊りと演技は当然として、よく上演される『京鹿子娘道成寺』も、「本格」と呼ばれる演出では主人公みずから唄わなくてはいけません。また『壇ノ浦兜軍記 阿古屋』では、阿古屋役は舞台上で三味線・胡弓・琴を独奏しなくてはならず、充分な準備が必要となります。当代では坂東玉三郎丈がこの大役を務めておられますが、こうした稽古に十年という時間をかけたと、ある雑誌で読んだ事があります。しかも、稽古を開始された時点ではこの役をやるかどうかは全くの白紙だったそうです。

 ダンスは若いときに始めないとものにならない、とよく言われますが、片手間に出来るものでもなく、またダンスをマスターしてから歌を勉強すると今度は体が動かなくなる年がすぐ近づいてくる、と嘆く欧米のパフォーマーの発言を何度か目にした事があります。欧米では20代後半をすぎると、踊りが急速に重くなる方が少なくないのです。彼らと比較すると青山さんのダンスはとても若々しく、東洋人ならではの軽やかさが感じられ、これからがますます楽しみになります。今は歌声でも観客をうならせてくれますが、舞台の外でどれほどの鍛錬を積まれているのでしょうか。日本の芸の道が突きつけてくる厳しさを、自分自身に課すことのできるパフォーマーの次の舞台が待たれます。