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『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

SHOW店街組曲/ウォークマン誕生(1979年)

2007-05-09 | ザミュージカルショー「SHOW店街組曲」
 前の記事で紹介させていただいた佐山雅弘さんファンサイトSAYAMA Music Box様の"News"を読むと、『SHOW店街組曲』のために佐山さんはなんと40曲も編曲されたとか。何でも割って平均出せばいいってものではないけれど、上演時間120分としても3分に1曲・・・。ロック・オペラ『TOMMY』並に音楽の絶えることのないステージになるのかもしれませんね。
 80年代アイドルを創りあげる前の筒美京平さんは大人の歌い手のための曲をたくさんヒットさせておられますが、40曲もあるのなら、このあたりもステージで歌われるんじゃないかな~、と悪いカンを無理やり働かせています。
 78年には庄野真代さん「飛んでイスタンブール」、大橋純子さん「たそがれマイラブ」、中原理恵さん「東京ららばい」・・・いわゆる「歌謡曲」というのとは少し違う、お洒落で都会的な女性の曲が目に付きます。この年には池袋の巣鴨プリズン跡地にサンシャイン60がオープン、東京の街も急変していく頃ですね。
 そして以前書いた桑名正博さんの「セクシャル・バイオレットNo.1」と同じ79年にはジュディ・オングさんの「魅せられて」がレコード大賞を受賞しました。当時ソニー副社長だった大賀氏の「必ずレコード大賞を取る」という声のもと、スタッフ全員が取り組んだそうです。アメリカで大評判になったドラマ"Shogun(将軍)"のヒロイン役に当初はジュディ・オングさんがキャスティングされていたけれど、「魅せられて」で大賞を取るために断ったという記事をかなり前に目にした事がありますが、なるほどそんな事情だったんですね。
 79年には東京サミットが開かれ、東京の国際都市としての認知度が大きくアップしました。第二次石油ショックで「省エネ」ブームのなか、ソニーのウォークマンが発売され、ここから現在のipodまで、音楽を聴くアイテムはどんどん小さく軽く薄くなっていきます。それにつれて世界的にも曲の好みは変わっていったようで、80年代初頭のデュラン・デュランやカルチャー・クラブなどのブームに、クイーン、デヴィッド・ボウイーらもユーロビート・サウンドを意識した音作りへ傾斜していきました。
 筒美さんの曲は、そんな時代の流れにぴったりと沿いながら、常に一歩リードしていた、ということなんでしょうか。普通なら創り手そのものが交代するはずの時代の変わり目に、一人の創り手が軽やかにその波を渡り、時代とハーモニーを奏でる様子を想像してしまいます。