現代アート道楽の日々。

首都圏の展覧会の感想など。しばしば遠征。【不定期更新】

2005年の展覧会を振り返って

2005-12-30 | アート情報その他
今年観た展覧会・イベントからベスト10を選んでみた。
私の主観だけのランキングなのであしからず。
(去年の記事→2004年の展覧会を振り返って
  1. 横浜トリエンナーレ2005 @山下ふ頭3号・4号上屋ほか(神奈川)
    横浜トリエンナーレ下見
    横浜トリエンナーレ、1回目(前編)
    横浜トリエンナーレ、1回目(後編)
    横浜トリエンナーレ、2回目
    横浜トリエンナーレ、3回目

  2. 第3回福岡アジア美術トリエンナーレ @福岡アジア美術館(福岡)
    福岡トリエンナーレ(その1)
    福岡トリエンナーレ(その2)

  3. 秘すれば花 東アジアの現代美術 @森美術館(東京)
    秘すれば花@森美術館(六本木)
    MAMCナイト

  4. ヤノベケンジ キンダガルテン @豊田市美術館(愛知)
    ヤノベケンジ展@豊田

  5. mot annual 2005 life actually 愛と孤独、そして笑い @東京都現代美術館(東京)
    MOTアニュアルほか(前編)
    MOTアニュアルほか(後編)

  6. 塩田千春展 ― When Mind Become Form @京都精華大学ギャラリーフロール(京都)
    塩田千春展@京都精華大

  7. 平成17年 有隣荘 春の特別公開「会田誠・小沢剛・山口晃」 @大原美術館・有隣荘(岡山)
    会田誠・小沢剛・山口晃@大原美術館・有隣荘(倉敷)

  8. きのうよりワクワクしてきた。 ~ブリコラージュ・アート・ナウ 日常の冒険者たち @国立民族学博物館(大阪)
    きのうよりワクワクしてきた。@大阪・民博
    ブリコラ展再訪@民博(大阪)

  9. 宮島達男 Beyond the Death @熊本市現代美術館(熊本)
    宮島達男展@熊本

  10. マシュー・バーニー 拘束のドローイング @金沢21世紀美術館(石川)
    マシュー・バーニー展@金沢
やはり2005年は横トリ抜きに語れない。評価が真っ二つに分かれているみたいだけど、横トリ自体が川俣正の《横浜トリエンナーレ2005》という作品と言ってもおかしくないくらいのもので、川俣作品が好きか嫌いかというのが評価の分かれ目になったのかも。でも、そういったことを抜きにしても高嶺格の《鹿児島エスペラント》は素晴らしかった。これが私にとって今年のベスト作品。あと、ビッグネームは少なめで、代わりにアジアの若い作家が何人も参加していたのも、いわゆる国際展らしくなくて新鮮だった。時間があれば、サポーターとして参加したかったなあ……。

西のトリエンナーレ、福トリも良かった。アジアの現代アートを横一線に並べたこのトリエンナーレは、各国における現代アートが置かれた状況が読み取れて興味深かった。また、福岡を中心に活躍する造形作家角孝政の存在を知ったのも大きな収穫だった。ぜひ東京でも《不思議博物館 展示室A》を展示して欲しい。

このほか、養老天命反転地(岐阜)、佐久島(愛知)、直島(香川)といった、現代アートの聖地巡礼も今年の思い出。特に、佐久島と直島はこれからも定期的に巡礼するつもり。
養老天命反転地の記事
奈義町現代美術館の記事
佐久島の記事
直島の記事(1日目)(2日目)

他の皆さんのランキング等は下記のとおり。
(TBさせていただきました。)
→ DADA.さんのex-chamber:2005展覧会ベスト10
→ sayakaさんのArtsLog:ココロに響いた作品たち
→ lysanderさんの徒然と(美術と本と映画好き...):プレイバック 2005 (美術篇)
→ イッセーさんのblog:Museum a_go_go EX:2005年の展覧会 ベスト10
→ Takさんの弐代目・青い日記帳:2005年 展覧会ベスト10
→ simokitazawaさんの中西理の大阪日記:2005年年間ベスト(現代美術)
→ kinoさんの日々是好日:今年見た展覧会を振り返る
→ 自由なランナーさんの単身赴任 杜の都STYLE:ミュージアムで選んだ今年のベスト展覧会
→ はろるどさんのはろるど・わーど:2005年 私が観た美術展 ベスト10

それでは、良いお年を!

直島旅行記(終章)

2005-12-24 | アート感想@遠征
前の記事の続き。

この日はちょうどなおしまアートマーケットが開催されていたので、家プロジェクト鑑賞の合間に覗いて回る。一見、普通のフリーマーケットだけど、出展されていた工芸品、家具、グッズ、アート作品などのレベルが総じて高く、さすがは直島。あと、角屋駐車場会場で売られていた「たこめし」や「たこ天」も、タコが柔らかくて美味だった。写真は、南寺グラウンド会場の様子。

3年前は寂しい集落だった本村地区も、少しずつ様変わりしてきた。関東から移り住んだ方が始めたカフェまるやのほかに、女性専用の民宿おやじの海も新たにオープンしていた。アートには街を変える力があることを実感。

再びバスに乗って宮ノ浦港に移動し、まちの案内所で土産物を物色。まだ少し時間があったので、向かいの007「赤い刺青の男」記念館へ。ほとんどノーチェックだったけど、凄まじくキッチュな展示に頭がクラクラになる。どぎつい赤の壁、観光地にあるような記念撮影用顔出しボード、小説に登場するグロテスクな心臓オブジェ……、直島に行ったら必ず行くべし!

宮ノ浦港は「海の駅」などの建設のため工事中。新しいフェリーターミナルとなる「海の駅」は、SANAA(妹島和世+西沢立衛)による設計で、来年秋完成予定とのこと。こちらもオープンが楽しみ。

そしてフェリーに乗って宇野港へ。さらば直島!

直島旅行記(家プロジェクト)

2005-12-24 | アート感想@遠征
前の記事の続き。

町営バスに乗って、本村地区の農協前バス停に移動。バス停前に100円のコインロッカー(小型・中型)があったので、さっそく荷物を預ける。

農協裏の本村ラウンジ&アーカイブにて、家プロジェクトのチケットを購入。この本村ラウンジ&アーカイブは、前回(3年前)行ったときには無かった新しい施設で、資料や書籍を公開するほかに、グッズや書籍の販売も行っている。また、暖房が効いた部屋でソファーに座って休憩できる貴重な空間でもある。

まず、3年前には内部を公開していなかった「護王神社」(写真)へ。この神社は、改築にあたって杉本博司が設計を行ったもので、建物そのものが《Appropriate Proportion》という作品。幅の狭い通路を通って地下の石室に入ると、地上の本殿へ続くガラスの階段から光が降り注ぎ、本当に神域へ通じているかのように見えた。幅の狭い通路を戻るときは、瀬戸内海の水平線が視界を二分し、これまた美しい光景だった。

続いて、「角屋」へ。山本忠司が修復を監修したこの建物には宮島達男の作品が3点あるけど、なかでも《時の海 ’98》が素晴らしい。暗い部屋の大部分に水が張ってあり、水の中には色とりどりのデジタルカウンターが散りばめられ、それぞれ時を刻む。観ていて時がたつのを忘れてしまいそうな作品だった。

予約の時間になったので、「きんざ」へ。この建物の内部にある内藤礼の《「このことを」》は、一人ずつ15分までの鑑賞という完全予約制の作品。3年前は、ただぼーっと眺めるだけで終わってしまったけど、今回、小さなか弱いオブジェたちと対話をするように観ていたら、あっという間に15分が過ぎてしまった。これが今回、直島で最も充実した時間だったかも。

最後に、安藤忠雄が設計を行った「南寺」へ。建物に入ると中は真っ暗で、目が慣れるまでベンチで座って待つ。10分ほどたつと、前方に淡い光がぼわーっと見えてくる。これがジェームズ・タレルの《Backside of the Moon》。光っているのかどうか分からないくらいの弱い光だけど、手をかざすと確かに影が見えた。

次の記事に続く。

直島旅行記(屋外作品)

2005-12-24 | アート感想@遠征
前の記事の続き。

朝起きると、前日のハッキリしない天気とはうって変わり、気持ちの良い青空が広がっていた。残しておいた稲荷寿司を食べ、サービスのドリップコーヒーを飲んでから、朝の美術館へ。

CHINATSUさんのように安田侃の《天秘》で朝の光を浴びようと思ったけど、屋外は寒過ぎて一瞬で退散。もうちょっと暖かくなってからの方が良いみたい。

チェックアウトを済ませ、バスの時間まで屋外作品を観て回る。冒頭の写真はベネッセハウス前通路の折り返し位置で撮影したもの。手前が蔡国強の《文化大混浴》。その奥の砂浜にある黄色と黒のボートがジェニファー・バートレットの《黄色と黒のボート》(拡大画像)で、館内の絵画+立体の作品に対応したもの。さらにその向こうには地中美術館が見える。

屋外作品で私のお気に入りはウォルター・デ・マリアの《Seen/Unseen Known/Unkown》。これは地中美術館の作品の元になった作品で、海を見下ろすコンクリート打ちっ放しの小さな部屋に、巨大な球体が二つ鎮座している。部屋の両端には金色の柱列もあって、まさに《タイム・タイムレス・ノー/タイム》のミニ版といった感じ。

写真は、チャーター船の船着き場からシーサイドパーク方面を写したもの。左のほうに見える建築中の建物は、来年オープン予定のベネッセハウス新館。この工事のために、ダン・グラハムの《平面によって2分割された円筒》などの3作品が見られなくて残念。右のほうに見えるのは草間彌生の《南瓜》(拡大画像)。

次の記事に続く。

直島旅行記(ベネッセハウス)

2005-12-23 | アート感想@遠征
前の記事の続き。

地中美術館チケットセンターからマイクロバスに乗り、宿泊先のベネッセハウスに戻る。ベネッセハウスは美術館とホテルが融合した建物で、こちらも安藤忠雄による設計。

最初に、予約していたレストランで夕食。HPの写真では、団体旅行での旅館の食事みたいに皿がゴテゴテと並んでいるけど、実際は一品ずつ運んでくれて、じっくり味わうことができる。郷土色を強めたコース料理「直島遊膳 きとま」は、とりわけ魚介類が新鮮で、刺身(タイ、シマアジ、サザエ)と海鮮しゃぶしゃぶ(サワラ、タコ)が絶品。ちょっと値が張ったけど、十分それに見合う内容だった。

食事のあとは屋内作品を鑑賞。四十数点の充実したコレクションは、どの作品も観ごたえがある。その中でも私の一番のお気に入りは、ブルース・ナウマンの《100生きて死ね》。ホールの天窓から光がこぼれ落ちる昼間に観るのも良いけど、暗闇の中でネオンが妖しく光る夜は、また別の表情を見せてくれた。このほか、コンクリートの隙間から雑草が生えているように見える、須田悦弘の木彫《雑草》もオススメ。

続いて別館に移動。本館と別館を結ぶ6人乗りのモノレールには、宿泊者はルームキーで自由に乗ることができる。宿泊専用の別館は人工の滝や池があり、ライトアップされて非常に幻想的な光景だった。建築を楽しんだあとは、ラウンジバーで夜景とアートを眺めながらカクテルを楽しむ。カクテルはなかなかの味だったけど、チーズは市販の包装そのままだったのがちょっと残念。

そして宿泊する部屋に戻る。部屋はゆったりとした造りで、当然のように室内にも作品が飾られている。ベランダからはライトアップされた瀬戸大橋が美しく、天気が良ければ満点の星空も美しいに違いない(曇ってた……涙)。机の上には夜食として可愛らしくラッピングされた稲荷寿司が置いてあったけど、さすがにおなか一杯だったんで、冷蔵庫に入れて翌朝食べることに。

あと、部屋にはテレビがなかったけど、代わりに『直島通信』などのドキュメントや、「スタンダード展」などのカタログがあって、テレビを見るよりも充実した時間を過ごすことができた。でも、アンテナはあったので、頼めばテレビを借りられたのかもしれない。

冒頭の写真は、翌朝撮影したベネッセハウスの玄関。

次の記事に続く。

直島旅行記(地中美術館)

2005-12-23 | アート感想@遠征
前の記事の続き。

地中美術館の少し手前にあるチケットセンターでチケットを購入。地中美術館へ向かう途中に、モネの庭園をイメージした「地中の庭」があったけど、冬だったのでイマイチ。

さらに少し歩いて、地中美術館に到着。敷地内では撮影厳禁なので、冒頭の写真が最後の撮影。

この美術館は、ベネッセが所有するモネの《睡蓮》を展示するために構想されたもので、奈義町現代美術館(7/30の記事)と同様に「まず作品ありき」の美術館。モネ以外には、デ・マリアタレルの作品も恒久展示されている。

美術館の設計は安藤忠雄によるもので、コンクリート打ちっ放しの壁や、壁のスリットから注ぐ光は、いかにも安藤建築といったもの。建築のほとんどが地下に埋設されているけど、通路の天井がぽっかり開いていて空が見えていたり、中庭が吹き抜けになっていたりするため、地下にいるとはあまり感じなかった。

最初に、最も深い地下3階にある「ウォルター・デ・マリア室」へ。この部屋は、部屋全体が《タイム・タイムレス・ノー/タイム》というインスタレーションになっている。コンクリート打ちっ放しの空間に鎮座する巨大な花崗岩の球体は、まるで世界の始まりからそこにいたかのような雰囲気を漂わせていた。また、四方の壁に配置された、一つとして同じ組み合わせのない27組の金柱の列も、この空間の宗教的・神秘的な雰囲気をさらに厳かなものにしていた。

続いて、地下2階の「ジェームズ・タレル室」へ。ここには3点の作品があって、そのなかでも《オープン・フィールド》が特に素晴らしかった。壁にスクリーンのように青く光る部分があって、その前の階段を上っていくと、スクリーンのように見えていたところが開口部だということが分かる。さらに開口の中に入っていくと、全身が青い光に包まれ、自分がどこに立っているのか分からなくなるような感覚。後ろを振り返ると、通常の電灯に照らされた「外部」が強烈なオレンジ色に見えるのも印象的だった。

そして、同じく地下2階の「クロード・モネ室」へ。白い床、白い壁、白い天井で囲まれた空間(しかもスタッフは白装束)で観る5点の《睡蓮》は、オールドマスターの絵画というより、今の時代の生々しいアートという感じがした。

作品を観たあとは、「地中カフェ」で休憩。このカフェは斜面の中腹に突き出たような位置にあって、海を眺めながらお茶を飲んだり、ランチ(1500円~)を食べたりできる。モネのレシピを再現したバナナアイスクリームを試してみたけど、濃厚なバナナの味と香りが口いっぱいに広がって本当に美味しかった。また、カフェの奥の扉から外に出て、潮風を浴びるのも気持ち良かった(ちょっと寒かったけど)。

最後に、ジェームズ・タレル《オープン・スカイ》ナイト・プログラムを鑑賞。寒いうえに雨がぱらつく生憎のコンディションだったけど、刻々と変化する空の色と、日没後のLEDによる光の演出が本当に美しかった。人生で一度は観ておくべきかも。なお、カッパ・タオル・ひざ掛けの貸し出しあり。

美術館を出ると、あたりはもう真っ暗。天気が良かったら満天の星なんだろうなあ……。

次の記事に続く。

直島旅行記(序章)

2005-12-23 | アート感想@遠征
現代アートの聖地(?)、直島へ行ってきた。実は2回目の来訪だけど、前回(3年前)は地中美術館も護王神社もオープンしていなかったなあ。

今回、あえて陸路を選択したけど、ちょっと裏目。関東は良い天気だったけど、豊橋あたりから徐々にあたりが白くなっていき、岐阜羽島を過ぎると真っ白。大雪による徐行運転で1時間ほど到着が遅れ、1つ後の船になってしまった。

宇野港に着くと目と鼻の先に直島が見える(冒頭の写真)。15分ほど船に揺られ、直島・宮ノ浦港に上陸。本当に近い。

宮ノ浦港から町営バスに乗車。イベントがあるせいか、いつものマイクロバス「すなお君号」ではなく、臨時の大型バスだった。それでもあっという間に満席になって、立っているお客さんもちらほら。

バスの中から石井和紘設計の小中学校や町役場(改修中)を眺め、ベネッセハウス下で下車。ベネッセハウスに荷物を預けたのち、蔡国強の《文化大混浴》などの屋外作品を観ながら地中美術館を目指す。

写真の巨大なゴミ箱は、今年設置されたばかりの三島喜美代《もうひとつの再生 2005-N》。産廃処理施設と現代アートが共存する直島にふさわしい作品として設置されたとのこと。ただ、ベネッセハウスからも地中美術館からも遠いのが難点。

そして、いよいよ地中美術館へ。

次の記事に続く。

またもや延期

2005-12-20 | アート情報その他
雑誌で紹介されていた「デーモン・マッカーシー、曽根裕 ローラー・コースター・プロジェクト」を観に、赤坂二丁目(最寄り駅は溜池山王)のギャラリーサイド2へ。

しかし、開廊日のはずなのにギャラリーは閉まっていた……。

電話で問い合わせたところ、都合で4月以降に延期になったとのこと。そういえば、前も同じようなことがあったなあ……。

また、来年1月11日からはピーター・マクドナルド個展とのこと。

多摩センター展覧会巡り

2005-12-18 | アート感想@関東
今日は多摩センターへ。


馬と花と梯子と建物と砂漠と嵐

美術予備校で共に学んだ4人+1人のグループ展。会田誠もメンバーに入っていて、もう一つの「昭和40年会」といった感じ。

会田誠の作品は、展覧会タイトルと同名の《馬と花と梯子と建物と砂漠と嵐》1点だけ。壁一面に貼られた紙に、ブログには書けないようなモチーフが凄まじい迫力でテキトーに描かれていた。まさに会田らしい作品で、この作品を観るだけでも、はるばる遠くまで来た甲斐があった。

また、この作品は心理テストにもなっていて、タイトルに合わせて描かれたモチーフが、それぞれ別のモノを象徴しているとのこと。会田誠のブッ飛んだ心理状態を垣間見ることができた……のか?

Kan Galleryにて、
12月25日まで(木曜休廊)。
その後、画廊MABUI(横浜鶴見、3/16~3/26、月曜休廊)、KIGIギャラリー&スタジオ(軽井沢、4/11~5/1、水・木曜休廊)に巡回。


現在のポートレイト -You are here-

6人の若手写真家による展覧会。ちょうど無料入館日でラッキー!

長島友里枝の《Family Portraits》シリーズは、写真屋で撮ったような家族写真。「やっぱり家族は似てるな~」と思いながら観ていたら、解説の文章を読んでショックを受ける。いやはや、先入観というものは恐ろしい。

このほか、澤田知子の《Costume》シリーズや、清真美の《熱帯家族》シリーズが特に印象に残った。

パルテノン多摩にて、
1月22日まで(12/27~1/3休館)。


東京国際ミニプリント・トリエンナーレ

過去3回の受賞作品を含めて、81カ国・地域の約3,700点の版画作品による展覧会。作品が多すぎて、流し見するだけで終わってしまった。時間と体力に余裕があるときに行けば良かったかも。

多摩美術大学美術館にて
1月22日まで(火曜日及び12/28~1/5休館)。


最後に、ベネッセ・コミュニケーション・ギャラリーで直島情報を仕入れて帰宅。

「奇想の庭」展ほか@神楽坂

2005-12-15 | アート感想@関東
会社帰りに神楽坂のミナト第3ビルへ。

ここのエレベータ、手動でドアを開閉するのが気に入ってたんだけど、ドアを開けっ放しにする人が多かったせいか、荷物以外は使用禁止になってた。残念!

仕方がないので、とぼとぼと4階まで階段を上る……。


-奇想の庭 Chimerical Garden-
小谷元彦、西尾康之、ヘルマン・ニッチ


小谷元彦の作品は、森美術館で観た映像作品《ジャッカル》に関する写真2点。映像では気が付かなかったけど、写真だと細部の造形が丁寧に作りこまれているのが分かる。

西尾康之は、手ごろなサイズの新作油彩画十数点を出展。そのうち10点が、巨大化した女性が街を破壊している様子を描いた《嬢巨大化為正義》シリーズ。同じギャラリーで観た《ジャイアンティス》シリーズは全て外国人女性だったけど、今回は日本人女性の絵もあり。

このほか、ウ○○○○ンもどきが街を破壊している様子を描いた《勇巨大化為正義》や、西尾の陰刻鋳造のようにゴテゴテに装飾された部屋を描いた《奇想の庭》(2点)も観ごたえがあった。

ヘルマン・ニッチの作品は、「儀式」の写真など。ちょっとグロ系で私は苦手……。

山本現代(神楽坂)にて、
2月10日まで(日・月・祝及び12/23~1/9休廊)。


東 明個展「skin」

ギャラリー中央には、ブルーシートで作られた巨大な立体作品《skin》。送風機代わりの掃除機のスイッチを入れると、ムクムクと起き上がってくるのが面白い。

《sttufing series》(5点)は、パラシュート状のヌイグルミで、落下させると本来の姿になる作品。実際に投げて遊ぶことができるんだけど、屋内、しかも作品の近くでは思いっきり投げることができなくて、上手く開かなかった。

また、屋上にもブルーシートを使った作品《swell》が展示されていた。お見逃しなく!

児玉画廊|東京(神楽坂)にて、
12月24日まで(日・月休廊)。

横トリ、ラジオ情報

2005-12-14 | アート情報その他
先日、《バー・レクタム》(いわゆる内臓バー)で公開録音が行われた、川俣正と村上隆の対談が土曜の夜(正確には日曜の午前3時~)に放送されるとのこと。
ArtReview誌「2005 Power100List」にも選ばれた2人のアーティスト、川俣正と村上隆が、日本の、そして世界のアートシーンを語ります。“何が飛び出してくるか分からない”ビッグな対談をぜひ、お見逃しなく!!

■ TOKYO FM(80.0MHz)「エフエム芸術道場」公開録音
(中略)
放送日:12月17日(土) 深夜27:00~28:00
ニュースソース→横浜トリエンナーレ新着情報

lysanderさんのブログ「徒然と(美術と本と映画好き...)」の記事「再びトリエンナーレ」に公開録音のレポートあり。
なかなか興味深い内容。

会田誠@中目黒

2005-12-10 | アート感想@関東
今日は1件だけ。

会田誠「恋の前厄」

「恋の前厄」というタイトルは雑誌で知っていたけど、DM(写真)を見てイヤ~な予感(汗)。まさか「恋のマイ○ヒ」のパロディで、会田誠が踊り狂う映像なんじゃないか?と、勝手に想像していた私。

焦る気持ちを抑えつつ、ギャラリーの扉を開いたら、入ってすぐ左にあったのが《恋の前厄》。私が予想していたのとは全然違ってて、思わず「やられた!」と叫びそうになった。さすがは会田誠。

福岡で観た《ボク、169ページのマンガを描いたよ!》は、4.7メートル×3.3メートルの巨大なマンガだけど、狭いギャラリーならではの展示方法が観モノ。広い美術館よりもこっちの方が迫力がある。

倉敷で観た加藤愛とのコラボ作品《愛ちゃん盆栽》シリーズも出展されていたけど、盆栽が成長したように見えたのは気のせい?あと、《Untitled》は、《Transfer/通訳》という題名になっていた。

ロンドンで発表された《名称未設定-1》も凄まじい作品。ネットによる集団練炭自殺を題材にしたこの作品、淡々とした画面構成がかえって空恐ろしい。

奥の部屋では、新作映像《おにぎり仮面の小さすぎる旅》を上映。いかにも会田誠らしい、ナンセンスの極みとも言える映像だった。なお、アートフェア東京で観た《日本に潜伏中のビン・ラディンと名乗る男からのビデオ》などの映像は、1月21日に5階でまとめて上映される予定。

ミヅマアートギャラリー(中目黒)にて、
1月21日まで(日・月・祝休廊、12/25~1/9休廊)。

INAX・資生堂@銀座

2005-12-08 | アート感想@関東
今日は早く帰れたので、銀座で展覧会巡り。

大西康明展 -呼吸星雲-

真っ暗な部屋に入ると、巨大なビニール袋が会場狭しと横たわっている。ビニール袋全体には蓄光シールの水玉が無数に貼られ、ブラックライトの光で妖しく浮かび上がる。無数の水玉といっても、草間彌生のように病的なものではなく、規則的に配置され秩序だった感じ。

巨大なビニール袋は、ファンで空気を吸い込みながらどんどん膨らんでいき、やがて天井に達してはちきれそうになると、逆に空気を吐き出し元の平らな姿に戻る。まるで呼吸をしているかのような巨大ビニール袋の動きを見ていると、その呼吸をする生命体に包み込まれていくような感覚があった。

INAXギャラリーにて(京橋)、
12月24日まで(日・祝休廊)。


life/art'05 Part1 今村源

今村源、金沢健一、須田悦弘、田中信行、中村政人の5人によるシリーズ企画展の最終回。前回は共同制作だったけど、今回は5人のリレー個展。
過去の記事→銀座ギャラリー巡り

会場に入ると、アルミパイプを組み合わせた構造体がギャラリー空間を覆い尽くしていた。解説によると、この構造体は泡をメタファーとしているとのこと。確かに泡が増殖しているようにも見える。特に、下から見上げると圧巻。

また、ギャラリーには○○○○の○○が3点あって、これを探すのも面白かった。2点はすぐに見つかったけど、もう1点が見つけられなくてギブアップ。結局スタッフに教えてもらった。
私からのヒント→1点はむき出し、2点は隠れている

資生堂ギャラリー(銀座八丁目)にて、
12月25日まで(月曜休廊)

豊田市美術館

2005-12-03 | アート感想@遠征
豊田市美術館に行ってきた。

谷口吉生のミュージアム

以前、オペラシティで行われた展覧会だけど、会場が本人が設計した美術館で、模型と実物を見比べられるのが良かった。いつかニューヨーク近代美術館[MoMA]に行きたいけど、その前に広島市環境局中工場葛西臨海水族園くらいは行かなくては。

ベリー ベリー ヒューマン

90年代後半に東海地方で活動を始めた8人の若手作家によるグループ展。8月に観た「ヤノベケンジ展」といい、この美術館は意欲的な企画展が多くて豊田市民が羨ましい。

2階の会場に続く階段には、森北仲の《居場所のない輪》がそれぞれの段に設置されている。まるで紙のように薄い銅版で作られた小さく弱々しい人形が、2本の杖に寄りかかりながら階段を上り下りしていた。階段を上ると、同じ作家によるスポンジの人形《人は人》が、窓の高い位置に吊るされている。ある人形は勢い良く飛び降り、別のある人形は必死に壁にしがみついている。どちらの作品も、観ていて感情が動かされる作品だった。

展示室に入ると、ピンク・オレンジ・黄色・緑・水色のロープのような物体が複雑に絡まりあい、吹き抜けの天井に向かって伸びている。この作品は、鬼頭健吾の《無題》で、ロープのような物体はなんとフラフープ。空間を覆い尽くすような迫力のある作品だった。

加藤美佳の《パンジーズ》は、少女と動物の頭蓋骨を写実的に描いた油彩。少女の大きな瞳は、吸い込まれそうな魅力があった。また、近づいてみるとカラフルで細かい点がノイズのように無数に散りばめてある。この絵が醸し出す非現実感は、この無数の点のせいなのかも。

山本高之の映像《登下校時不審者対策防護服まもるくん》とFRPによる立体《Protect Suites まもるくん》は、昨今の悲惨な事件を予言したような作品。頭から上半身は過剰なほどの鎧で守られているけど、下半身は無防備な小学生の姿は、どんなに対策を講じても完全な安全を確保できない現実を象徴しているようで、観ていて背筋が寒くなった。

このほか、渡辺豪のポートレートや、古池大介の映像など、観ごたえのある作品が盛りだくさんの展覧会だった。

豊田市美術館にて、
12月25日まで(月曜休館)。

名古屋食べ歩き

2005-12-03 | 食べ歩き
ふらっと名古屋に帰省。

栄三丁目のいば昇本店にてランチ。錦三丁目にも「いば昇」があるけど、両店は親戚関係らしい。こっちは錦三のお店と比べて庶民的な店構えで、レトロな食堂風の内装。

常連は鰻丼を頼むみたいだけど、今となってはヨソ者の私は、名古屋名物「櫃まぶし」(2200円、写真)を注文。蒸さずに焼いた鰻がカリっとしていて香ばしい。この鰻を一口大に刻んで、ご飯にまぶしたものが「櫃まぶし」。最初はそのまま食べ、次にネギ・ワサビをのせて食べ、最後にだし汁でお茶漬けにして食べる。私のお気に入りはお茶漬け。あっさりとしていて何杯でも食べられそう。



夕食は「あんかけスパ」。前回はチャオに行ったけど、今回は元祖を名乗るスパゲティハウス ヨコイへ。お腹が空いていたので、ミラカン1.5人前(1000円)を注文。想像以上に豪快な盛りで少し焦ったけど、意外としつこくなくてペロリと食べてしまった。チャオよりもスパイシーで大人向けの味わいかも。