現代アート道楽の日々。

首都圏の展覧会の感想など。しばしば遠征。【不定期更新】

都内展覧会巡り

2005-11-29 | アート感想@関東
今日は代休が取れたので、展覧会巡り。
いくつか回ったけど、特に良かったのは以下の2つ。

ウィスィット・ポンニミット個展 inside the wall

横浜トリエンナーレ2005のソイ・プロジェクトにも参加している、バンコクで人気のマンガ家(兼アニメ作家兼ミュージシャン)の個展。

今回の展示の目玉は、キャンバスに描かれた10点ほどのペインティング。マンガ調の可愛らしい絵柄で描かれているけど、ストーリーがあるようでないような不思議なモチーフ。絵の横には小さな覗き穴があって、ここに絵を読み解くヒントが隠されているのでは?と、覗いてみたけど、ますます謎は深まるばかりだった……。

このほか、可愛らしくもシュール、だけど心が温まるマンガを線画アニメにした《hesheit》の上映や、しりあがり寿とマンガ対決した壁面のドローイングも印象的だった。

IID Gallery(池尻、世田谷ものづくり学校内)にて、
12月25日まで(月曜休館)。


アニッシュ・カプーア「JAPANESE MIRRORS」

金沢21世紀美術館の恒久設置作品《世界の起源》でお馴染みのカプーア。日本での個展は6年ぶりとのこと。

壁には「漆」を使用したシリーズ作品が5点ほど。鏡のように仕上げられた巨大な器に近づいたり離れたりすると、器に映った自分の姿がひっくり返ったり、遠近感が狂ったような感じがしたりして面白かった。

そして会場中央で回転している器も、一見すると他の器と同じような作品だけど、思いも寄らない材料でできている。ぜひ、作品リストで材料を確認して欲しい。これはオドロキ!

スカイ・ザ・バスハウス(谷中)にて、
12月22日まで(日月休廊)。

横浜トリエンナーレ情報

2005-11-26 | アート情報その他
横浜トリエンナーレ2005の出展作品の一つで、中華街の公園にある東屋を仮設の建物で囲い、ホテルに仕立てた西野達郎の《ヴィラ會方亭》(過去の記事→横浜トリエンナーレ下見)の宿泊権利争奪「ジャンケン大会」が開催されるとのこと。
ヴィラ會芳亭、宿泊権利争奪の「ジャンケン大会」開催(ヨコハマ経済新聞)
なお、12月3日宿泊分のジャンケン大会は、明日(11月27日)15時から。私は参加できないけど、一瞬にして予約で埋まってしまった《ヴィラ會方亭》に泊まれる最後のチャンス、お時間のある方は是非!

山口晃展@日本橋三越

2005-11-23 | アート感想@関東
新作1点のほか、60点余りの作品で構成された展覧会。本展のために制作された《芝大塔建立圖》は、東京タワー建設の過程を右から左へ描いた「大和絵風」の油絵。地鎮祭までの様子や、枠に収まらない東京タワーの処理が面白かった。ほかにも、倉敷で観た《倉敷金刀比羅圖》や、神楽坂で観た《當世おばか合戦―おばか軍本陣圖―》など、何度観ても新たな発見がある作品ばかり。細かい描き込みを何時間でも味わっていたかったけど、時間の都合でそこそこに。あと、《百貨店圖 日本橋三越》など三越広告の原画も当然あり。

ただ、狭い会場に大量の作品を展示したせいで、会場レイアウトにやや難があった。例えば、《中西夏之氏公開制作之圖》など「『大和絵風』絵画」の一部は、絵巻物のように右から左へと物語が続くのに、観客の導線が逆になっていたのが残念。また、六本木で観た《白道-「火河圖」》と《白道-「水河圖」》もあったけど、もともと4点セットのインスタレーション的作品なのに、この2点だけの展示ではちょっと……。

日本橋三越本店新館7階ギャラリーにて、11月27日まで。
※ 会期が短いのでお早めに!

あと、「山口晃今後の展覧会予定」が会場入口に置いてあった。内容は以下のとおり。
2005年10月29日~12月11日
ユートピアを探しに -想像力の彼方へ-
新潟県立万代島美術館

2005年12月15日~2006年6月15日
Rising Sun, Melting Moon: Contemporary Art from Japan
The Israel Museum, Jerusalem

2006年1月7日~2月5日
木村直道+遊びの芸術
埼玉県立近代美術館

2006年2月10日~3月19日
酔いのかたち
東広島市美術館
埼玉以外は行けなさそう……。

横浜トリエンナーレ、3回目

2005-11-20 | アート感想@関東
またまた横浜トリエンナーレ2005に行ってきた。これで3回目。
※ 過去の記事→1回目前編1回目後編2回目

ゲートから会場に向かうバスでは、運良く一番前の席を確保(写真)。

最初に、過去2回とも天使が通らなかった、ジャコブ・ゴーテル&ジャゾン・カラインドロスの《天使探知機》の部屋へ。フランスでは会話が途切れて沈黙が訪れたときに「天使が通った」と言うらしいけど、この作品は周囲が静寂に包まれたとき、つまり天使が通ったときに明かりが灯るというもの。

もともと会場がザワザワしているのに加え、休日で人の出入りも多い、お子様はすぐ飽きる、説明を読まずに入ってきて会話する人もいる。ちょっと静かになったかと思うと、場内アナウンスが入ったり、音声ガイドの音が漏れていたりして、なかなか静寂は訪れない。休日はダメかも、と諦めかけていたそのとき、意識が遠のくように周りの音が引いていく……、弱々しくほのかな光がついたと思うと……。

天使が……、通った!

あっという間だったけど、確かに明かりは力強く輝いた。体中の張り詰めた神経が一斉に緩んでいった。普段行くような展覧会では当たり前の静寂なのに、この場所では静寂が本当に愛しく感じた。そして、同じように息を殺してランプを見守っていた他の観客たちとアイコンタクトを交し合い、小さく拍手をしながら部屋をあとにした。時計を見たら30分ほど経過していた。私は、運がいい。

そのあといくつか作品を観たけど、田添かおりの《GYM》の演出が変更になっていて、会期前半とは全く別の印象になっていた。あと、タニシKの電気自動車が会場内を走り回っていたのも、日曜ならではの光景。さらにナカニワではダンスパフォーマンスも行われていて、平日以上にお祭り的な雰囲気になっていた。

そして、3時32分からのアン・ハミルトンのプロジェクト《line》を観る。このプロジェクトは、作家の指示を受けた二人の男性が天井によじ登り、クライマーロープで天井に円を描くというもの。円が完成し、ヒヤっとする演出を経て地上に降り立つと会場は拍手に包まれた。お見事!

4時半を過ぎてあたりが暗くなってくると、ナカニワのスクリーンで上映会が始まる。大スクリーンの最初の映像は、野村誠+野村幸弘の《トリエンナーレの音楽》。トリエンナーレの準備中&会期中に、野村誠が鍵盤ハーモニカを踊りながら弾きまくるという映像で、とにかくテンポが良くて楽しかった。鍵盤ハーモニカって、思っていたより表現力がある楽器かも。

この後も上映があったけど、寒さに耐え切れずに退散。みなとみらいの夜景と、前方で妖しく光るマリンタワーを眺めながら、ライトアップされたビュランの旗の下を歩き、トリエンナーレを後にした。

横浜市山下ふ頭3号・4号上屋ほかにて、12月18日まで(会期中無休)。

RSSリーダーのススメ

2005-11-18 | Weblog
ネタがあるときのみ更新の「現代アート道楽の日々。」だけど、新着記事のないときも何人かの方のアクセスがあって、有難いんだけど本当に申し訳ない……。

でも、「RSSリーダー」を使用すれば、新着記事を自動的にチェックできて、「アクセスしたら更新されてなくてガッカリ」ということがなくなるのでオススメ。

ちなみに、私がブログを書いているgooでは、オンライン版とアプリ版の2種類のリーダーを提供。
goo RSSリーダー
良かったらどうぞ。

代官山インスタレーション

2005-11-13 | アート感想@関東
代官山インスタレーションを観てきた。

このイベントは、代官山の街並みにアート作品を点在させた屋外公募展で、今年で4回目。国内外245点の応募プランの中から選ばれた10点の作品が、代官山の街並みにちょっとした変化を与えていた。もちろん、地図を片手に作品を回るオリエンテーリング的な楽しみもある。

冒頭の写真は、幅の広い道路の中央分離帯に設置された、セカンドリビング研究会(村井一+大家雅広+小野田祐一)の《代官山リビング》。延長100メートルの白いテーブルは、街の持つ豊かさの質をリビングとして表したものらしい。カーブと坂で先が見えないテーブルは、無限に延びているようにも見える。
上の写真は、西郷山公園の丘の上に設置された、柴田美千里の《きりん》。多くの家族連れやカップルが憩う、のんびりした空間にぴったりの作品だった。もちろん子どもたちには大人気!作家のコメントも、ホンワカしてイイ感じ。
上の写真は、ヒルサイドフォーラム広場に設置された、小山大吾、佐藤嘉洋、三家恵伍による《white spot》。白い発泡スチロール球を木から吊り下げ、その下に白い円のシールを貼ることにより、白い木陰を表現した作品。もともとステキな空間が、さらに魅力あるものに変貌していた。思わずケータイで撮影したくなるような作品。

このほか、産業能率大学エントランス壁面に設置された、伊庭野大輔、藤井亮介の《Blowin' in the wind》や、山口良臣の《でんごん / DENGON》が印象に残った。

11月27日まで。

清澄ギャラリー

2005-11-12 | アート感想@関東
地下鉄で神保町駅から清澄白河駅に移動し、11日にオープンしたばかりの清澄ギャラリーに行ってきた。

清洲橋のたもとにある巨大倉庫(写真)の5~7階がギャラリー。セメント工場側の道路に面した、清澄公園寄りの1階にギャラリー受付があって、ここでスタッフが案内してくれる。ギャラリーへは倉庫ならではの巨大エレベータで移動(降りたあとの「閉」ボタンを忘れずに!)。

各フロアのギャラリーは以下のとおり。フロア間の移動は、窓から清澄公園を一望できる階段がオススメ。

5階
タカ・イシイギャラリー
MIYAKE FINE ART
シュウゴアーツ

6階
HIROMI YOSHII/ HIROMI YOSHII EDITION
KIDO Press
小山登美夫ギャラリー
MAGIC ROOM?
ZENSHI

7階
小山登美夫ギャラリー

今回、特に印象に残った展覧会は下記のとおり。

ギャラリーアーティストによるオープニング展@小山登美夫ギャラリー

小規模な美術館に匹敵する広さの展示スペースに、桑久保徹蜷川実花など若手作家の作品が並ぶ。なかでも、一室まるまる使用した三宅信太郎のテディベアのインスタレーションが良かった。ふわふわの絨毯が敷かれた部屋に、手足が異様に長いテディベアが大量に折り重なっているのがカワイイ。

12月3日まで(日月祝休)。

丸山直文「朝と夜の間」@シュウゴアーツ

綿布を水に浸し、アクリル絵の具を染み込ませながら描くステイニングという技法による絵画。ぼんやりした輪郭と透明感のある色彩は観ていて心地よいけど、同時に儚さも感じられる。全体的に明るい色彩だけど、暗闇を描いた部分に強い存在感があった。

12月17日まで(日月祝休)。

KANDADA(カンダダ)

2005-11-12 | アート感想@関東
地下鉄で京橋駅から竹橋駅に移動。

KANDADA /Project collective_commandN

コマンドNによってリノベーションされた神田の倉庫を舞台に、様々な「アート・プロジェクト」を順に紹介していく展覧会。

会期が3月26日までとあったので後でイイやと思っていたけど、CHINATSUさんの「空の美しさにかなうアートなんてあるのだろうか・・・・」の11/9の記事で、プロジェクトごとの会期が短いことを知り、さっそく行ってきた。

今回紹介されていたプロジェクトは、以下の2つ。

東京ラビットパラダイス/コマンドN

よく外国人から「ウサギ小屋」と揶揄される東京の住宅だけど、それを「ウサギの楽園」へと捉えなおすプロジェクト。

人が一人しか入れないビニールの小屋の中にはゴザが敷いてあって、座布団とパソコンがある。このパソコンで、タムラサトル、イチハラヒロコ、パルコキノシタなど46作家の映像作品を鑑賞。なお、東京ラビットパラダイスのページでも同じ映像を視聴可能。

いちばん気に入った映像は、さわひらきの《SHINAGAWA ROUTINE》。通勤ラッシュや飲み屋の光景など、品川で繰り返される光景をテンポ良く表現していた。ダラダラと長い作品が多いなか、短くまとまっていたのも良い。

あと、早川満友の《TRAP―Tokyo Rail Amusement Park》も面白かった。ゆりかもめや京急・東急など、電車の運転席での眺めを遊園地の乗り物に見立てた映像。子どもの頃、電車に乗ったときのワクワク感が戻ってくるようだった。

このプロジェクトの展示は、12月25日まで。

中ザワヒデキの“芸術特許”維持プロジェクト

作家が日本と米国で取得した、画像技術特許の維持コストを賄うためのプロジェクト。特許の維持は費用がかかるらしい。

以前ナディッフで観たときは特許の説明文だけだったので、どんな特許か十分理解できなかったけど、今回レクチャーに使われた表を見てなんとなく分かったような気になった。コンピュータの2次元グラフィックソフトには、ドロー系(線画)とペイント系(塗絵)があるけど、3次元グラフィックソフトはペイント系がなかったので、これを特許として申請・取得したみたい。

実際に商品化された3次元ペイントソフトを試してみたけど、操作が直感的で、いじっていて面白い。子供向けのソフトだけど、大人でも楽しめるかも。

このプロジェクトの展示は、12月3日まで。

今後も、「スポ研/KOSUGE1-16」、「永芳リライブ/中村政人」、「オープンスカイ/八谷和彦」などのプロジェクトが目白押し!詳細はコマンドNのHPにて。

プロジェクトスペースKANDADAにて、2006年3月26日まで(日月祝休)。

銀座・京橋ギャラリー巡り

2005-11-12 | アート感想@関東
なんだか久しぶりの銀座。


逢坂卓郎展 GROUND

出展作品はたったの2点。でも非常に充実した内容だった。

本展の目玉《Ground》は、光を使ったインスタレーション。真っ暗な部屋の壁いっぱいに、自然界のガンマ線を検知して微かに光るLEDが設置されている。部屋に入ったばかりでは真っ暗で何も見えないけど、目が慣れてくるに従って見える光が増えてくるのがイイ感じ。

もう一つの作品は、色とりどりの蛍光灯を並べた作品(作品名失念)。この作品は外からでも見える。このほか、越後妻有アートトリエンナーレ2000の「ルナプロジェクト」などの記録映像を上映。

ポーラ ミュージアム アネックス(写真)にて、11月28日まで(会期中無休)。


横尾忠則展

早めに行こうと思ってたけど、結局最終日になってしまった……。

1960年代に描かれた「ピンクガールズ」シリーズをリメイクした作品の展覧会。しかも会場は40年前に「ピンクガールズ」を発表したのと同じギャラリー。元の絵も当時としてはかなり過激なものだけど、今回はそれをケバケバしい色にしたり、モノクロにして色指定を入れたり、色彩を反転させたりと、ますます過激度アップ。40年前と同じ構図なのに、まったく古さを感じさせないのはさすが!

南天子画廊にて、11月12日まで(終了)。


藤幡正樹 「無分別な鏡」-Unreflective Mirror 2005-

《無分別な鏡》1点のみの展覧会。この作品は、バーチャルリアリティー(VR)の技術で鏡を再現したらどうなるかというもの。普通の鏡と違って、自分の姿は立体メガネしか映らないし、速い動きに全然追従できない。でも、そんな「無分別」なところがけっこう面白かったりする。それにしても、普通の鏡ってすごいVRなのかも(笑)。

ASK? art space kimuraにて、11月26日まで(日祝休廊)。

ガンダム展情報

2005-11-08 | アート情報その他
6日から上野の森美術館で始まった、ガンダム展の写真が31枚も見られるニュース記事を発見!
ガンダム展:原寸大コアファイター、巨大セイラ像登場 東京・上野の森(毎日新聞)
大阪展を観て、東京展も観ようと思っていたけど、追加された作品が原作者(監督)の《From First》だけみたいなので悩んでいるところ。

柿の葉すし@奈良

2005-11-06 | 食べ歩き
ガラにもなく奈良博で正倉院展を見た帰りに、以前食べて美味しかった「柿の葉すし本舗たなか」で柿の葉すしを購入。ちなみに柿の葉すしとは、サバなどの切り身をすし飯にのせ、柿の葉で包んだ奈良の名物料理。

ここの柿の葉すしは、サバ、サケ、タイの3種類あるけど、私のオススメはサケ(写真)。寿司をくるんだ柿の葉を開けると、柿の葉の香りがフワーッと広がる。寿司を口に含むと、ほど良い塩味のしっとりした味わいのネタと、シャリとのバランスが絶妙。これに美味しいお茶があれば、あとは何もいらないかも。

HPによると、東京のデパートでも扱っているとのこと。

もの派展@国際美(大阪)

2005-11-05 | アート感想@遠征
関西に行ったついでに国立国際美術館(大阪・中之島)に行ってきた。

ちょうどシンポジウムをやってたけど、時間の都合で断念(涙)。

もの派-再考

1970年ごろ、木や鉄板など「もの」を、そのまま作品としていた「もの派」の作家の展覧会。

「もの派」というと、李禹煥や榎倉康二などのシンプルな作品が思い浮かぶけど、初期の作品はむしろトリックアート的なものが多い。例えば、飯田昭二の《HALF&HALF》は、鳥かごの中に白い靴が入っていたけど、通り過ぎて振り返ってみると……!!仕掛けは単純だけど、これにはビックリ。幸せの青い鳥は身近なところにいるってこと?あと、李禹煥の初期作品《現象と知覚A、改題 関係項》では、石と石の間に目盛りの入ったゴムを設置し、「関係」をことさら強調していたのも興味深かった。

今回、もっとも印象的だった作品は、野村仁の《Tardiology》。これは本展のために再制作された作品で、巨大な4つの段ボール箱を積み重ね、8メートルを超える高さの構造体としたもの。これだけの大きさの段ボールなんて、普段の生活ではまずお目にかかれない。このとき既に自重で崩れ始めていて、一番下の箱が50センチほどにつぶれていた。完全に崩れるのも時間の問題かも。

12月18日まで、月曜休館。

瑛九 フォト・デッサン展

コレクション展の奥の部屋での展示。フォト・デッサンとは印画紙の上に型紙などを置いて感光させる写真技法のこと。写真というより、版画のような面白さがある作品だった。

12月18日まで、月曜休館。

フェデリコ・エレーロ@外苑前

2005-11-03 | アート感想@関東
佐倉から外苑前に移動し、ワタリウム美術館へ。

フェデリコ・エレーロ展 ライブ・サーフェス

1978年コスタリカ生まれで、世界地図を描いた池《ワールド・マップ》を愛知万博で発表した(3/28の記事)フェデリコ・エレーロの日本初個展。

圧巻だったのは、2階から3階への吹き抜けに描かれた壁画。爽やかな水色に塗られた壁に、色とりどりの「物体」がまるで天から降ってくるように鈴なりになっている。「物体」には目玉のようなものが付いていて、生き物のようにも見えてちょっとカワイイ。観ていてハッピーな気持ちになる壁画だった。3階に吊るされたハンモックに横になって眺めるのも気持ちいい。この壁画は現在制作中で、11月25日に完成パーティー(要予約)が行われるとのこと。チケットは会期中何度も再入場可能なので、完成後に再訪するのも良いかも。

4階はスライドの上映。屋外に設置した絵画の写真もあったけど、ほとんどは作家が街中で気になった何気ない風景写真。歩道の境界線や駐車帯など、道路に引かれたラインがお気に入りのようだった。そういえば2階の床にもオレンジのラインが引いてあったなあ。

また、この展覧会は関連企画も充実していて、山本コウタローや隈研吾などのゲストによる対談や講演会が計7回行われるとのこと。

ワタリウム美術館にて、2月26日まで、月曜休館(ただし12/5,12/12,12/19,12/26,1/9開館、12/31~1/4休館)。

ゲルハルト・リヒター@川村

2005-11-03 | アート感想@関東
千葉県佐倉市にある川村記念美術館に行ってきた。

最初にコレクション展を観る。レンブラントの《広つば帽を被った男 》をはじめ、印象派~20世紀の西洋絵画、日本画といった国内有数のコレクションを堪能し、現代ドイツの巨匠リヒターの回顧展へ。

ゲルハルト・リヒター展 ― 絵画の彼方へ ―

やはり《モーターボート(第1ヴァージョン)》など、「フォト・ペインティング」がすごい。これは、新聞・雑誌の写真を油彩でカンヴァスに描き写し、画面全体をぼかした絵画。チラシ等の印刷物やWebの画像では写真と判別できないけど、実物にはペインティングの痕跡が見て取れる。一方、《女と子供(浜辺)》には、あえて絵画の痕跡のように絵具を盛った部分があったのも興味深かった。

あと、鏡やガラスを使った作品も印象的だった。インタビュー映像で「絵画は鏡に似ている」とリヒター自身が語っていたけど、そこで鏡やガラスそのものを絵画のように展示してしまうとは凄まじい。なかでも私が気に入ったのは、《11枚のガラス板》で、文字通り11枚のガラス板を壁に立てかけた作品。いくら透明なガラスでも11枚も重ねると、後ろの壁はほとんど見えない。ガラスに映った光景に、何重もの輪郭が映っていて面白かった。

このほか、タイルのように様々な色をランダムに配置した「カラー・チャート」、カンヴァス一面を灰色で塗りつぶした「グレイ・ペインティング」、リヒターの絵画の過半を占める「アブストラクト・ペインティング」など、観どころの多い展覧会だった。

川村記念美術館にて、1月22日まで、月曜休館(1/9開、1/10休)。

なお、11月13日までにWebやチラシの割引券を持参すると、早期来館割引として400円割引。

また、初台のWAKO WORKS OF ARTでも、個展開催中(11月5日~12月24日、日・月・祝休廊)。