現代アート道楽の日々。

首都圏の展覧会の感想など。しばしば遠征。【不定期更新】

ポップ・アート展、山口晃展

2004-11-30 | アート感想@関東
週末に働いた関係で、今日はお休み。
まるびぃ」に日帰りで行こうかと思ったけど、微妙に寝坊して断念。
今年のうちに行きたいなあ。

まず渋谷にて、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中のベラルド・コレクション「流行するポップ・アート」展。このギャラリーは、東急百貨店(写真)内に入っていて、平日昼間でも混雑していることが多いけど、今回は空いていた。観客は若い人がほとんど。

最も印象に残ったのは、チラシにも使われているウォーホル≪ジュディ・ガーランド≫。『オズの魔法使い』で一世を風靡した大女優のシルクスクリーンに着色した作品で、唇の鮮やかな赤色に目が釘付け!ほかにも、ジェームズ・ローゼンクイスト≪F-111≫や、ジェフ・クーンズ≪プードル≫&≪ボブ・テイル≫が私のお気に入り。

あと、強烈だったのは、ジョン・デ・アンドレア≪アーデン・アンダーソンとノーマ・マーフィ≫。リアルな裸の男女が抱き合う立体作品で、ほとんどの観客は足早に通り過ぎていった(苦笑)けど、よく観ると美しいような。

12月26日まで、会期中無休、金・土は21時まで。
その後、大丸ミュージアム梅田、群馬県立近代美術館、高知県立美術館、広島市現代美術館、北海道立近代美術館、名古屋市美術館に巡回。


中目黒に移動して、ミヅマアートギャラリーにて開催中の山口晃展「売らん哉」

山口晃といえば、日本橋三越100周年ポスターを手がけたり、作品集を東京大学出版会から出したりと、飛ぶ鳥を落とす勢い。今回の出展作品も当然完売。さすが。

作品は、油彩とドローイングが数点ずつ。特別気に入った作品は、油彩の≪歌謡ショウ圖≫と≪胎内めぐり圖≫。

≪歌謡ショウ圖≫は、オペラハウス風劇場での歌謡ショウを描いたもの。右半分だけ描かれていて、左半分は鏡で映してあった。面白いなあと思っていたら、「(描いている)途中です。」と作家のお詫びが貼ってあった。ステージ上も華やかだが、オーケストラに和洋の楽器が混在しているのも面白い。また、観客一人一人もバリエーション豊富で観ていて飽きない。

≪胎内めぐり圖≫は、京都清水寺の胎内めぐりを描いたもの。地上部は実物に沿っていたが、地下の胎内めぐりがかなりの誇張。とにかく広いうえに、心の臓とか胃腸や膵臓が祀ってある。本当にこんな胎内めぐりがあったら、是非体験してみたい!

ドローイングも、作家のコメントが付いていて面白かった。でも、残念だったのは、そのうち1点が盗難にあっていたこと。作家のコメントからも無念な思いが伝わってくる。

1月15日まで、日・月・祝及び12月26日~1月6日休廊。

田中功起展@群馬

2004-11-28 | アート感想@関東
群馬県立近代美術館に行ってきた。この美術館は、高崎駅からバスで30分くらいと少し不便だが、「群馬青年ビエンナーレ'03」で椎名勇仁の『火山焼』を大賞に選出したり、「日常の変貌」展で指揮:会田誠による『駄作の中にだけ俺がいるオーケストラ』を展示したりと、なかなか面白い企画が多い。しかも、建築(写真)は横浜トリエンナーレ2005ディレクターの磯崎新によるもの。一方、常設にモネの『睡蓮』があったり、日本画のコレクションも充実していたりと、守備範囲もかなり広い。

受付を済ませ、展示室3に入ると、日本の戦後~現代の作品を展示。荒川修作や河原温などビッグネームの作品が並んでいた。特に印象に残ったのは、川俣正による「ドクメンタ8」のプロジェクト(ドローイング・立体モデル・写真)。あと中堅・若手では、小林孝亘『House Dog』や、福田美蘭『道頓堀』が気に入った。

隣の展示室4では、オノサト・トシノブの作品を28点展示。作風が年齢を重ねるごとに変化していくのが興味深い。私の好みは晩年の作品。

そして、お目当ての特別展示 田中功起「買物袋、ビール、鳩にキャビアほか」。田中功起と言えば、調理の場面を断片的につないだ『どれもこれも』(越後妻有アートトリエンナーレ2003、十日町市内)や、スーツケースが血の海を滑る『スーツケースと血と光』(六本木クロッシング、森美術館)が記憶に新しい。今回の展覧会タイトル「買物袋、ビール、鳩にキャビアほか」は、風変わりな題名だったけど、展示を観たら意味がすぐ分かった。あまりにストレート!!

会場の展示室5に入ると、仕切り壁やガラスの展示ケースなどが所狭しと並んでいて、まるで迷路。この迷路を彷徨いながら作品を鑑賞するのだけど、家具のジャングルを探検しているようで楽しくなってくる。

展示作品は、10の映像と10のインストラクション(言葉による指示)。

映像は、30秒~3分程度とどれも短く、全部観てもそんなに時間はかからない。特に良かったのは、展覧会のチラシにも使われている『Plastic Bags into the Sky』。これは、ポリ袋(買物袋)にヘリウムガスを入れ、ニューヨークの空に飛ばす光景を撮ったもの。ニューヨークの街並みと、空飛ぶポリ袋の対比がなんとも言えない。あと、『滝を使ってサラダを作る』や、『鳩にキャビア』も面白かった。

インストラクションというと、オノ・ヨーコの凛とした作品が頭に浮かんだが、田中功起は何か違う。まず、文字がテプラ(ネームランドかも)貼りというのに脱力。指示自体が微妙にズレているかと思えば、指示になってないのもあった。このセンス好きだなあ。

東京から行ったけど、それだけの価値がある展覧会だった。群馬でしか観られないのは惜しい。12月19日まで、月曜休館。

週間閲覧数1000突破!

2004-11-23 | Weblog
先週一週間(11/14~11/20)の閲覧数が、初めて1000を越えました!
読者の皆様、ありがとうございます。これを励みに頑張ります。

「現代アート道楽の日々。」は、コメント・トラックバック・リンク大歓迎ですので、お気軽にどうぞ!
(リンクの場合、事後でも連絡いただけると嬉しいです。)

TAP2004(白山商店街編)

2004-11-21 | アート感想@関東
さらに引き続き、「取手リ・サイクリングアートプロジェクト2004(TAP2004)」。

キリンビール取手工場から水戸街道を走り、白山商店街へ。作品を取手駅側から順に紹介。

弘経寺の長い参道の入口には、マエノマサキ『言葉の露店』。これは、観客が好きな言葉を紙に墨で書き、それを屋台に掲示するというもの。色んな言葉が並んでいて面白い。私も一字書いてみたけど、やっぱり習字は苦手。

クリーニング店では、ヤストモ飾案『福笑い街道~店主の顔ってどんな顔?~』のワークショップの真っ最中。これは、デジカメで撮った自分の写真で福笑いを作るというもの。幼稚園~小学校低学年の子供たちで盛り上がっていた。この雰囲気では、大人はちょっと参加できないかも。

TAPインフォカフェの隣には、小山田徹『取手蛍輪』ピット。「競輪」ならぬ「蛍輪」は、自転車のライトによる「輝き」の風情を競うというもの。27日(土)のレースに向けて車両製作の真っ最中。全部で9チームが参加するらしいが、作家本人の蛍輪自転車(写真)を含めて、まだ2台しか完成していないらしい。大丈夫か?

その斜め向かいの家では、狩野哲郎『発芽―雑草』。これは、畳を土代わりにして雑草を育てるというもの。薄暗い部屋の中で、雑草だけライトアップされている姿は、神秘的な雰囲気さえ漂わせていた。

さらに進むと、「すいちゃん」を連れて歩いていた荒蒔綾子『COMPOST HORSE・COMPOST HOUSE』のドキュメント展示。きれいな絵と文字で分かりやすい。

そして金刀比羅神社にて、鈴木淳『もろ、もろもろ、もろもろ』より『コンピラさんに、いらっしゃい』。この作家は数多くの作品をTAP2004に出展しているが、ここの作品が私のお気に入り。神社の施設に施したイタズラのようなインスタレーションは、よく許可してもらったものだと感心。

スタンプもワークショップ以外は全部集まったので、東口のインフォメーションセンターに戻り、記念品と交換。レンタサイクルも返却。楽しい1日だった。

全国各地でアートイベントが開催されるようになっているが、ここ取手は6年と歴史があるためか、地元住民がスタッフや観客として参加している姿を多く見かけた。よそと比べると地域に受け入れられている感じ。あと、インフォメーションや作品設置箇所でのスタッフの対応も良く、彼らとのコミュニケーションも非常に楽しかった。11月28日まで。TAP塾日記にも作品紹介あり。

TAP2004(平田五郎、椿昇編)

2004-11-21 | アート感想@関東
引き続き、「取手リ・サイクリングアートプロジェクト2004(TAP2004)」

レンタサイクルで芸大通りを東へ。途中で歩道が狭くなったり、坂があったりしたけど、10分弱で平田五郎邸に到着。そこは、普通の平屋建ての借家だった。後で聞いたが、家賃2万円とのこと。

台所にて、前のお客さんが観終わるのを待ち、いよいよ『Mind Space―となりの部屋』に入室。

高さ1m、幅35cmの入口から中に入ると、白いロウの壁に囲まれた空間で、あたり一面シロ、白、しろ!距離感が掴めなくて、狭いはずの部屋がずいぶん広く感じられた。そして、ロウの壁を通してぼんやりと入ってくる自然光。日が陰ったときの光の表情の美しいこと!!

現実を忘れてしまうような素晴らしい体験だった。この作品は、TAP2004でいちばんのオススメ!!ちなみに、夜は人工光で違う表情を見せるらしい。

平田五郎邸を後にし、さらに東へ進むと、見渡す限りの田んぼが広がる。東京からそんなに離れていないのに、こんな風景が見られるとは驚き。そんなところに椿忍術研究所はあった。

ここでは、椿昇の『RADIKAL CARBON』プロジェクトが進行中。これは、水質汚染に悩むバングラディシュの人々に、竹炭を使った「ろ過」方法を絵本で伝えようというもの。日本らしく「忍者」をキャラクターに用いていて、竹炭を作る窯の名も「服部窯蔵」(写真)だったり。この窯で作った竹炭や、忍者Tシャツ・手ぬぐいなどの売り上げを絵本製作資金にするとのこと。私もTシャツを1着購入。

その後、キリンビール取手工場に立ち寄り、作品を鑑賞。中島洋和の『ポンプライン』で実際にポンプを漕いでみたり。

続く

TAP2004(取手駅周辺編)

2004-11-21 | アート感想@関東
「取手リ・サイクリングアートプロジェクト2004(TAP2004)」に行ってきた。これは、市民・取手市・東京藝術大学が中心となって毎年開催しているプロジェクトで、今年で6年目。参加作家は11組で、そのうち高嶺格・平田五郎・小山田徹・椿昇の4名が招待作家。

まず、取手駅東口のショッピングプラザ前のインフォメーションセンターで、ガイドマップを入手。このガイドマップはスタンプラリーの用紙にもなっている。

ショッピングプラザ内の作品で特に印象に残ったのは、昭衝YUKARIの『パコ計画』。これはカスタネットに光センサーがついていて、手をかざすと音が鳴るというもの。幅の狭い通路にいくつものカスタネットが仕掛けてあって、そこ通るとパコパコ鳴って面白い。

表に出ると、荒蒔綾子の『COMPOST HORSE・COMPOST HOUSE』のパフォーマンスの最中だった(写真)。これは、作家が仔馬の「すいちゃん」を引き連れ、「すいちゃん」のエサになる草を刈ったり、「すいちゃん」のフンを回収して堆肥を作ったりするもの。カワイイ「すいちゃん」は、どこへ行っても子供たちのアイドルだった。

時間の都合で渡し舟は諦め、高嶺格の『取手の風景』が展示されている取手駅東西連絡通路へ。これは、作家が取手に滞在した際に撮影した一連の写真。どの写真もセンスが感じられるんだけど、ちょっと大人しいかな。一番左の作品は演出っぽいし……。高嶺格ってことで期待しすぎた私が悪かったのかも。

そして、インフォメーションセンターに戻り、カラフルなレンタサイクル(無料)を借りて、平田五郎邸と椿忍術研究所方面へ!

続く

西尾康之、中山ダイスケ

2004-11-20 | アート感想@関東
今日は、神楽坂のミナト第3ビル。ビルの前には、相変わらずフォークリフト。写真は、先日の記事の使いまわし。だって、おんなじ光景だったし……。

年代モノのエレベータで4階へ。このエレベータは、外扉と内扉を手動で開け閉めするという、今どき大変珍しいモノ。降りるときに内扉を閉め忘れると、他の階から呼び出せないと注意書きがしてあった。

最初に、山本現代の西尾康之「変態」展。指で雌型を作る独特の陰刻鋳造は、『トランスフォーム』が6点と、『ブーツ』が1点。『トランスフォーム』は、昆虫が変態をとげる姿を表したもので、サイズが1m以上あってかなりデカい。直立したポーズはかっこいいけど、モチーフがモチーフだけにちょっとキモチワルイかも。『ブーツ』はほぼ実物大の女性のブーツ。これも指の跡が効果的で、本当に足が入っているような質感。先日観た「ハイ・エナジーフィールド」展でも圧倒的なエネルギーを感じたけど、今回の作品もかなりのモノ。油絵は、『ジャイアンティス』が5点。巨大化したグラマー女性が都市を破壊している。作家は「巨大女性」に相当こだわりを持っているみたい。その他、小品がいくつか。11月27日まで、日・祝・月休。

続いて、児玉画廊|東京の中山ダイスケ「doze」展。リネン(麻)にアクリル絵具で描いた絵画。ペタっとした感じではなくて、クレヨン画のような優しいタッチ。私が気に入ったのは、手紙をくわえたカラフルなヤギがいて、その後ろでロケット発射の『打ち上げられた手紙』。どんなに技術が進歩しても、手紙はヤギさん♪こちらの展覧会も11月27日まで、日・祝・月休。

3階に下りて、タカハシコレクションの西尾康之「神話学」展。こちらは個人のコレクションだが、西尾康之の代表作が一度に観られる。陰刻鋳造の『素粒の鎧』も良かったが、同じく陰刻鋳造の『ジャイアンティス』もスゴかった。特に、太ももからお尻の辺りの表現はお見事。12月25日まで、土曜日のみ開廊。

これらの展覧会については、mifoさんの「カジカジアート」や、feltmountainさんの「落武者の行方」に詳細な記事(こちらこちら)があるので、そちらも是非。

草間彌生、田中偉一郎ほか

2004-11-17 | アート感想@関東
今日の展覧会めぐりは、現代アート系ギャラリー共同ビル・六本木コンプレックス(写真)。

オオタファインアーツでは、東京国立近代美術館でも個展開催中(私の記事はこちら)の草間彌生新作展。出展作品は、ホヤホヤの新作が8点と、1998年制作の大型作品が1点。全ての作品が水玉orネットの油絵で、色彩・バリエーションが本当に豊富。美術館と比べると数はさすがに少ないが、どれも観応えのある作品だった。12月17日まで、日・月・祝休廊。

レントゲンヴェルケでは、田中偉一郎 第二次個展「くらし いきいきいきいきいきいきいきいき」。ギャラリーに入ると、スリッパにサングラスが乗っかっていて、床にはチョークで「野坂昭如」!!あまりにも似ていて苦笑。値段も数百円と良心的(?)で、当然売約済みだった。あと、こけしの操り人形&その映像『こけしいきいき』や、震えるリュックとか、「定礎」とネームが入った『定礎スーツ』とか、脱力しまくりの役に立たない作品が盛りだくさん!別室では、公園に群がるハトに、「岡本 常夫」とかテキトーな名前をつけた迷作『ハト命名』の映像も。なんだか一昔前のドラマのオープニングみたいで笑える。この人、将来ビッグになるかも……の予感。12月17日まで、日・月・祝休廊。

また、同じ建物でTARO NASU GALLERYの小粥丈晴展(銀座のメゾンエルメス8階フォーラムで開催中の個展のマケット・スケッチを展示。)なども開催中。

明和電機、ティルマンス

2004-11-14 | アート感想@関東
今日は、初台の東京オペラシティへ。中庭ではクリスマスツリーの準備が始まっていた(写真)。

まず、 NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)の「明和電機 ナンセンス=マシーンズ」展。今回の展覧会は、魚をモチーフにしたナンセンスマシーン「魚器」シリーズ、オリジナル楽器「ツクバ」シリーズ、本人が作ったおとぎ話から発想される作品群「エーデルワイス」シリーズの3本柱。

とりわけ面白かったのは、オリジナル楽器「ツクバ」シリーズ。1時間に1回程度の自動演奏は迫力満点。ICCにこんなに人がいるの?ってほどお客さんが集まってきた。それと、実際に音を出せる楽器もあって、お子さまも楽しんでた。あと、フランス公演の映像も面白かった。やっぱりパフォーマンスやってナンボの明和電機だなと実感。

あと、会場のスタッフ全員が明和電機の作業服を着ているのもポイント高い。でも、製品(作品)を観るだけでは、ちょっと物足りないかも。イベント等がある日を狙って行くと良いのでは?12月26日まで(月曜休み)。

続いて、東京オペラシティアートギャラリーの「ヴォルフガング・ティルマンス展|Freischwimmer」。やけに人が多いと思ったら、2時から後藤繁雄×ホンマタカシのゲスト・トークだった。時間の都合で泣く泣く断念。ぐやじい……。

作品は、日常生活の中で見落としがちな、何気ない美を写した写真が中心。額に入った写真だけではなく、プリントした作品をそのままテープで壁に貼ってあるのも面白い。作品のレイアウトも作家本人が指定したそうで、ちょっと離れて観ると、インスタレーションっぽくてイイ感じ。

とりわけ印象的だったのは、展覧会の副題にもなっている「Freischwimmer(フライシュヴィマー)」シリーズの写真。これは具体的な被写体を撮影しているわけではなく、印画紙にトナーを流して焼き付けた作品らしい。だが、制作の詳細については明らかにされていない。観ていて不思議な感じがするシリーズ。

こちらの展覧会も12月26日まで(月曜休み)。

あと、歩いていけるところにあるワコウ・ワークス・オブ・アートでも、ティルマンスの展覧会が開催中。オペラシティで気に入った方はどうぞ。こちらは12月24日まで(日・月・祝休廊)。

アジアン・フィールド|アントニー・ゴームリー

2004-11-11 | アート感想@関東
カジカジアート」の11/7のブログを読んで、衝動的に「アジアン・フィールド|アントニー・ゴームリー」を観に行ってきた。

場所は六本木の旧東京都立城南高等学校。最近、廃校を利用した施設や展覧会が本当に多い。私の世代に比べて生徒数が減っているんだなあと実感。

受付で「まず左側の部屋から観てください」と言われ、その小部屋に入ると壁一面の写真。素焼きの粘土像と、それを作った人の顔・名前。粘土像に作った人の個性が出ている?

そして、部屋を出てメイン会場の体育館に目を向けると……!!!!!!


思わず「うわあ!!」と叫んでしまった私。(汗)


なんと、体育館の床一面に素焼きの粘土像がびっしり!!


生まれて初めて見るような光景に、しばし呆然……。


この約20万体の粘土像は、300人の一般市民によって作られたとのこと。高さは作った人の手のひらのサイズで、色は使った土次第とバラエティに富んでいる。ゴームリー本人による粘土像も混じっているらしい。

入口近くにはやや上向き、奥には正面向きの人形が配置されていて、ものすごい数の視線を浴びている感覚。ただ残念なのは、体育館の入口からしか作品を観られないこと。上から観たかった!

20時まで(最終日は17時まで)やっているので、会社帰りにでも是非どうぞ。11月28日まで(会期中無休)。その後、韓国へ巡回。

おばんざい「やお屋の二かい」@京都錦小路

2004-11-07 | 食べ歩き
今日のランチは、京都錦小路の「やお屋の二かい」。

このお店は、老舗の八百屋「かね松」直営のおばんざい処。「かね松」は高級な野菜を扱っていて、店先には一箱数万円の松茸が並ぶ。

おばんざい処は、まさしく八百屋の二階と、向かいの建物の一階にあって、なぜか向かいの建物のほうが待ち時間がずっと短い。名前と電話番号を紙に書き、錦小路で買い物していたら、席が空いたとの電話。さっそくお店へ。

メニューは長寿ランチ(2100円)のみ。高級八百屋の野菜をふんだんに使った料理が楽しめる。特に感動したのは、干し大根の煮物(写真上中)。雑味が全く感じられず、大根自体の深い味わいが楽しめる。絶品!

デザートは3種類から、わらびもちを選択。これも美味だった。

京都観光の際にどうぞ。予約して行ったほうがいいかも。

そして私は東京へ。これにて関西編終了。

アトリエ・ワン 「街の使い方」展@KPO(大阪)

2004-11-06 | 建築
今日のラストは、大阪なんばのKPOキリンプラザ大阪で開催中のアトリエ・ワン「街の使い方」展。

アトリエ・ワンは、塚本由晴と貝島桃代による若手の建築家ユニット。ユニークな小住宅の数々を設計する一方、意外な視点から都市を観察したりと目が離せない建築家。「越後妻有アートトリエンナーレ」や「上海ビエンナーレ」など、アート系のイベントにも積極的に参加している。

展覧会の会場は4~6階。4階は「ミニ・ハウスの部屋」。実物大の住宅「ミニ・ハウス」を蚊帳で再現している。蚊帳のハウスに上がってみると、建物の中に家がある不思議な空間感覚。会場の壁には、彼らが設計してきた住宅と、都市観察の成果が掲示してある。なかでも、「生コン・アパート」など、東京の変わった建築に注目した「メイド・イン・トーキョー」が面白い!

5階は「踊る建築」。彼らが設計してきた住宅の1/100模型がぐるぐる回っている。形やコンセプトは面白いけど、実際住みやすいのかなあ?でも住宅が回る姿は楽しい♪

6階は「ハウス・アサマの部屋」。こちらも4階と同様。実物大の住宅が蚊帳で再現されている。蚊帳の中では、彼らの住宅と展覧会作品のビデオが上映中。こういう家に住む人たちは、お金持ちだということを実感。

建築に縁のなかった人でも楽しめるかも。12月5日まで。

あと、3階のレストランは、カジュアルな雰囲気で、ビールも料理も美味しくてオススメ。

「これはデュシャンではない」、ですか。藤本由紀夫・森村泰昌二人展@MEM(大阪)

2004-11-06 | アート感想@遠征
続いて、大阪北浜のギャラリーMEMへ移動。

このギャラリーは、登録有形文化財にもなっている新井ビル(写真)の4階。風情のある階段をぐるぐる上ると、壁には森村泰昌の《身ごもるモナ・リザ》のトランプが!

今回の展覧会は、“「これはデュシャンではない」、ですか。藤本由紀夫・森村泰昌二人展”。前の記事でも書いたけど、これは国立国際美術館の関連企画。

部屋に入ると、後ろの壁に《モナ・リザとトランプが与えられたとせよ》があった。これは、招待状に《身ごもるモナ・リザ》のトランプが貼ってあって、19日の儀式で藤本と森村が髭を書き入れる予定のマルチプル作品。ちょうどデュシャンが《髭を剃ったL.H.O.O.Q》でやったのと逆。

また、この部屋には藤本・森村共同制作の《泉》も。デュシャンは便器でやったけど、藤本たちはゴミ箱。このゴミ箱には、シュレッダーがついていて《身ごもるモナ・リザ》のトランプを裁断できる(1回50円)。

隣のオフィス兼用の部屋には。森村泰昌の《身ごもるモナ・リザ》の大きなプリントがあった。トランプ大だと気にならないが、引き伸ばすと男性と女性の腕がつながっているのが分かって気持ち悪い。ちなみに、森村泰昌《身ごもるモナ・リザ》については、本人の著書『踏みはずす美術史―私がモナ・リザになったわけ』に詳しく書いてある。

この他にも、デュシャンを引用した作品の数々。国立国際美術館の後にどうぞ。もちろん、藤本由紀夫のオルゴール作品など、デュシャンと関係ない作品も。12月18日まで(日・祝休廊)。

茶藝館 無茶空茶@大阪西天満

2004-11-06 | 食べ歩き
かなり久しぶりのグルメ記事。

今日のランチは、大阪西天満にある「茶藝館 無茶空茶」。ここは町屋を改造した中国茶のお店(写真)。店内も古い民家そのものでイイ感じ。

ランチメニューは二種類(週替り?)で、私は、ジャージャー飯+スープ+ピクルス+中国茶のセットを選択。なかなかの味で、ボリューム感もあった。もう一方は中国粥+水餃子+ピクルス+中国茶のセット。どちらも850円(税込み)とオトク。

中国茶は、鉄観音とキンモクセイのお茶。ガラスの細長い器に茶葉が入っており、そこに湯を注いで飲む形式。中国ではポピュラーな飲み方らしい。ある程度飲むと差し湯をしてくれるので、ガブガブと何杯も飲んでしまった。

中国茶館なので、もちろん茶葉や茶器も売っている。北浜の金融街からも近いので、近所にお勤めの方はどうぞ。

国立国際美術館「マルセル・デュシャンと20世紀美術」展@大阪

2004-11-06 | アート感想@遠征
久しぶりの関西遠征。

最初は、大阪中之島の国立国際美術館(写真)。この美術館は11月3日に万博記念公園から移転オープンしたばかり。

地上部の翼を広げたような構造体は飾りみたいなもので、美術館の大部分は地下に埋まっている。平面的には、同じ敷地の大阪市立科学館(写真右側)を囲むようなL字型。地下1階はレストランや講堂があって、展示室は地下2・3階。地下3階でも自然光が入ってくるので、地下深くにいるような感じがしない。これは見事!

地下3階にて、開館記念展「マルセル・デュシャンと20世紀美術」。エスカレータを降りると、巨大なカラスがお出迎え。これは吉村益信による《大ガラス》。いきなりダジャレとは……。

気をとりなして展示室へ。まずはキュビズム風絵画のスペース。デュシャンって、普通の絵画を描いてた時期もあったんだ……と感心。同じ場所には、モナ・リザの複製画に髭を描き足した《L.H.O.O.Q》もあった。フランス語読みで「私のお尻は熱い」だったっけ?その隣には《髭を剃ったL.H.O.O.Q》、なんと招待状にモナ・リザのトランプを貼っただけ!もう髭なしではモナ・リザを想像できない!?

次のスペースは、《彼女の独身者によって裸にされた花嫁、さえも(東京ヴァージョン)》とその関連作品。この作品は、大きなガラスに象徴的な絵が描かれたもので、通称《大ガラス》。今回展示されているものは、デュシャンの許可を得て、デュシャン没後に、仕様書『グリーン・ボックス』に従い瀧口修造らが制作したもの。「オリジナル」と「レプリカ」の両方の性質を持つため、ここでは「ヴァージョン」という表記。で、所蔵は東京大学教養学部美術博物館。東大教養学部はフランス系に強いんだっけ?

有名な《泉》などの「レディメイド」作品と「出版」作品のスペースを抜けると、今回の目玉(?)《遺作》。この作品はフィラデルフィア美術館に備え付けてあるため、ここでは立体映像を公開。高さ2メートル以上のスクリーンに扉が投影してあって、その扉にある覗き穴から立体視するというもの。これは覗くべし!

続いて、デュシャンの影響を受けた作家として、ジャスパー・ジョーンズやリチャード・ハミルトンなどがあり、最後のスペースは日本人作家たちの作品。森村泰昌のセルフポートレイトじゃない作品は珍しいかも。13日には本人による講演会もあるみたい。藤本由紀夫は、デュシャンの講演に3拍子のリズムを感じとり、音楽にしていた。あと、《遺作》とデュシャンの肖像をモチーフにした横尾忠則の絵も良かった。気軽にデュシャンを引用しているような感じ。

大阪を代表する美術館の開館記念にふさわしい展覧会だったかも。12月19日まで(月曜休館)。その後、横浜美術館に巡回(1/5~3/21)。

それと、大阪北浜のMEMでも関連した展覧会が開催中。こちらについては後の記事にて。