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現代アート道楽の日々。

首都圏の展覧会の感想など。しばしば遠征。【不定期更新】

フンデルトヴァッサー展@京都近美

2006-04-16 | 建築
京都に行ってきた。

フンデルトヴァッサー展

オーストリアを代表する美術家フンデルトヴァッサー(1928-2000)の回顧展。鮮やかな色彩と渦巻くような絵画も良かったけど、数点あった建築プロジェクトの模型・写真が特に印象に残った。

なかでも、うねるような丘の下に建物がもぐりこみ、丘状の屋根の上が森や牧草地になった《ブルマウ温泉村、ローリング・ヒルズ》や、芝草の屋上が実現可能なことを立証しようとした《高層建築の芝草地の家》など、当時は奇抜なアイディアだったかもしれないけど、屋上緑化が普及し始めた現代から見ると、その先見性に驚くばかり。

日本にも、ピーター・ペリカンが全体を設計し、フンデルトヴァッサーが外観を設計した《MOP舞洲焼却工場 大阪舞州島のプロジェクト》があるので、こちらもいつか見学したいなあ。

最後に、フンデルトヴァッサーのドキュメンタリー映像を見たけど、屋外に出て裸でスケッチしたり、停泊した船の上に住んでいたりと、その作品に負けないくらい個性的な人生を送っていて、むしろこっちの方が印象に残ってしまった(汗)。

京都国立近代美術館にて、5月21日まで(月曜休館、5/1開)。

映画『マイ・アーキテクト』

2006-03-18 | 建築
建築関係ブログで話題の映画を観てきた。

マイ・アーキテクト ~ ルイス・カーン[建築界最後の巨匠]を探して

ルイス・カーンの愛人の息子である映画監督のナサニエルが、父の遺した建築と父の仕事に係わった人物を訪ね、ナサニエルが11歳のときに73歳で謎の死を遂げた父の実像に迫っていくドキュメンタリー。

スチールやガラスを多用した未来的な建築がもてはやされた時代に、愚直に建築の永遠性・精神性を追及したルイス・カーン。彼の建築を撮った美しい映像はもちろんのこと、頑固で不器用な天才肌の建築家を巡る「人間ドラマ」としても楽しめる映画だった。また、「建築とは何か」について、いろいろと教えられる映画でもあった。

なかでも、最後の「バングラディシュ国会議事堂」のシーンが素晴らしかった。当時、世界で最も貧しい国の一つであったバングラディシュに、彼の最も偉大な建築(と民主主義の精神)を遺し、その完成を見ることなくこの世を去ったルイス・カーン。技術的にも経済的にも厳しい状況の下、人力でコンクリートを運び、20年の歳月をかけその建築を完成させ、今でもその「世界最高の国会議事堂」を誇りに思っているバングラディシュ国民。そして、深い精神性を感じさせる建築の美しい映像……。観ていて胸が熱くなり、自然と涙がこぼれ落ちた。

建築に携わっている人、建築を学んでいる人、建築に興味がある人にとっては、観て損のない映画かも。ただ、それ以外の人には……。

Q-AXシネマ(渋谷)にて上映中(期間はマイ・アーキテクトHPのNEWS参照)。

長倉威彦「未構築」@東陽町

2006-01-28 | 建築
東陽町にある竹中工務店東京本店に行ってきた。エントランスロビーにある名和晃平の《Air Cell》などの作品を観たのち、1階の一角に設けられたギャラリーへ。

TAKEHIKO NAGAKURA 未構築

建築家でもあり、CGアーチストでもある長倉威彦の個展。展覧会タイトルの「未構築」は、近代建築の巨匠たちが計画しながらも、諸般の事情により実現しなかったいわくつきの建築をCGで構築・映像化したプロジェクトのこと。リアルな映像のほか、画像と解説のパネルや、三次元プリンターによる模型等の展示もあり。

今回、私が最も衝撃を受けたのがタトリンの《第三インターナショナルのためのモニュメント》。ロシア革命直後に計画されたこのモニュメントは、エッフェル塔を超える400メートル級のタワーで、共産主義を喧伝するラジオ局などを内包するもの。どぎついくらいの真っ赤な色と、斜め上に力強く伸びた二重らせん構造は、当時のロシア・アバンギャルドを象徴するかのようで、ハッキリ言って異様。この異形の建築が長年の風雪に耐えた姿となり、現代のサンクト・ペテルブルグにそびえ立つ光景は、昔のロシアが目指した崇高な理想と、それに伴った巨大な暴力が眠る墓標のようでもあった。

ロシアの圧倒的な赤い象徴と同じくらい印象的だったのが、テラーニ+リンゲーリの《ダンテウム》。これは、イタリアの独裁者ムッソリーニが依頼したもので、ダンテの『神曲』に登場する地獄、煉獄、天国の3つの空間を体験できる建築。なかでもガラスの柱が林立する「天国」は、この世のものとは思えないほど(CGだからこの世のものじゃないけど)美しい空間だった。

このほか、ル・コルビュジェのソビエト連邦人民会堂コンペ案《ソビエト宮》や、モダンすぎるという理由で信徒が建設を阻止したアアルトの《アルトステッテンの境界》などもあり。

GALLERY A4(エー・クワッド)(東陽町)にて、2月28日まで(日・祝休館)。

荒川修作情報

2005-10-07 | 建築
荒川修作+マドリン・ギンズによる「三鷹天命反転住宅」の内覧会参加者募集が始まった。でも、入居希望者のみ対象で、現場見学だけの内覧会を行ってないのが残念。あと、講演会(11/7~10)の四日連続券を買うという手もあるけど、四日連続で早く帰るなんてまず無理だし……。

詳細はこちら。
三鷹天命反転住宅 入居希望者内覧会のお知らせ

廃校展覧会@秋葉原

2005-07-27 | 建築
廃校となった旧千代田区立練成中学校を期間限定のミュージアムとして、ジャン・プルーヴェ展など3つの建築・デザイン系の展覧会が開催されるらしい。
D-秋葉原テンポラリー
眠ってしまったあの場所がミュージアムに生まれ変わる!!
2005年9月6日(火)~10月23日(日)
会場:D-秋葉原テンポラリー(旧千代田区立練成中学校)
〒101-0021 東京都千代田区外神田6-11-14
詳細は下記URL参照。
プレスリリース:http://www.akiba.or.jp/d-akihabara/pressrelease.html
ホームページ:http://d-akihabara.jp/

私としては、セントラルイースト東京2005(CET05)が提携しているのも気になるところ。

志段味循環型モデル住宅@名古屋

2005-05-08 | 建築
帰省ついでに、名古屋の志段味循環型モデル住宅に行ってきた。

大曽根駅からガイドウェイバスに乗り換え。高架の専用道路を通るバスは、眺めが良いし渋滞もなくて非常に快適。ほぼ定刻の約20分で最寄の荒田バス停に到着。バス停から住宅が見えたので、迷うことなくモデル住宅に辿り着けた。バス停からも近い!

志段味循環型モデル住宅

このモデル住宅は愛知万博の一環で建てられたもので、将来は実際に人が住む予定。建物は中庭を囲むようにA~Dの4棟が建っていて、そのうちA棟(1枚目の写真)だけが荒川修作の構想を盛り込んだ住宅。一方、B~D棟は典型的な「人と環境にやさしい住宅」で、A棟だけが強烈に異彩を放っていた。

ある程度高さがあるA棟だけど、なんと1階建て(屋上付き)。内部は円形劇場みたいに階段状になっていて、中央最下部がキッチン(2枚目の写真)。そのキッチンを囲む空間がリビング・ダイニングで、さらにそのLDKを囲むように和室(畳が円形!)やバスルーム等の部屋が配置されていた。

でも、以前観た荒川修作の基本構想と比べると、かなり大人しくなった印象。階段状のLDKは魅力的だけど、それぞれの床はフラットだし、慣れれば緊張感なく生活できるような気もする。どうせなら徹底的にやってほしかったなあ。三鷹天命反転住宅に期待か?

アンケートに答えたら、トイレットペーパーをもらった。もちろんこれじゃないけど。

志段味循環型モデル住宅の見学日は、こちら

金沢21世紀美術館再々訪

2005-05-03 | 建築
金沢21世紀美術館に行ってきた。これで3回目(以前の記事はこちらこちら)。

LCM(フェルナンド・ロメロ)の《ラッピング》も、ついに完成(写真)。作品内を通り抜けることができて面白い!その隣(写真では奥)には、カバーがかかった謎の物体があったけど、これはホルヘ・パルドの《金沢のためのテント(仮題)》かなあ??

あと、アニッシュ・カプーア《世界の起源》の隣の部屋で、カプーア《物体としての空間》の特別展示があった。アクリル塊の真ん中にヘンな形の空間があって、それが「無の空間」を表現しているとのこと。うーむ、深い。

今回のお目当ては二つの建築展。

世界の美術館 未来への架け橋

世界各地で90年代以降に構想・実現された美術館建築の展覧会。25箇所の建築が図面・模型・写真で紹介されていて、非常にボリュームのある展示。ただ、ちょっと解説文が読みにくかった。建築系の文章は難解なものが多いような……。

特に私が気に入ったのは、グッゲンハイム美術館@ビルバオ(フランク・O・ゲーリー)、テート・モダン@ロンドン(ジャック・ヘルツォーク+ピエール・ド・ムーロン)、ユダヤ博物館@ベルリン(ダニエル・リベスキンド)の3つ。特にテート・モダンは模型が真っ二つになっていて、間に入ると面白い。

5月22日まで、月曜休館。

妹島和世+西沢立衛/SANAA

金沢21世紀美術館を設計した建築家ユニットの展覧会。もちろんSANAAによる建築の図面・写真・映像・模型が中心だけど、彼らがデザインした食器や家具もあったのが面白かった。特に、ウサギの耳が背もたれになっているような《ラビットチェア》は、可愛くて座って楽しい!

圧巻だったのは、花形のステンレス板を光庭一面に敷き詰めた《花畑》と、展示室一室をまるまる使った《EPFLラーニングセンター》の1/20模型。あと、《金沢21世紀美術館のスタディ》も、試行錯誤して展示室をレイアウトした過程がわかって面白かった。

展覧会の最後は、レアンドロ・エルリッヒ《レアンドロのプール》で締め。今日もプールは大人気!

5月22日まで、月曜休館。

『OTAKU展』予告展示

2005-02-08 | 建築
今日は雨の中、東京都写真美術館へ。

グローバルメディア2005/おたく:人格=空間=都市(前期)

「おたく展は22日からで、現在は予告展示のみです。」と、チケット売り場で言われたけど、もちろん承知の上で購入。単独券なら大人300円と安い。

この展覧会は、シーグラフやアルスエレクトロニカの受賞作品に加え、昨年のヴェネチアビエンナーレ建築展で話題を呼んだ「おたく展」の再現展示により構成。

地下一階映像展示室に入ると、「おたく展」は入口付近だけ完成していて、残りは設置作業中だった。開発好明の発泡スチロールと悪戦苦闘するスタッフを見たのは収穫だったけど、部分的な完成展示を「予告展示」と称するセンスに思わず苦笑。

あとでスタッフに確認してみたら、後期は「おたく展」の残りが追加されるのみで、それ以外の展示替えはないとのこと。後期だけ観れば十分だったのか……。

しかし、この入口付近の部分だけでも「おたく展」の雰囲気は十分伝わってきた。日本に「おたく」は300万人近くいるらしいけど、彼らをあそこまで夢中にさせるものには、それだけのパワーがあるのだろう。

あと、なぜか大阪万博関係の展示もあり、万博パビリオンの食玩のできに感心。これ欲しい!

続いて、宮島達男+立花ハジメ《1000 Deathclock in Paris》の部屋へ移動。この作品は、PCで自分の生年月日と死亡年月日(最高120歳まで)を入力すると、今までの人生の秒数と残りの人生の秒数が0.1秒単位で大画面に表示されるというもの。刻々と減っていく残りの時間を見ると、なんだか切ない気分。

これ以外にも、いくつかメディアアートの作品があったけど、特に面白かったのは中田裕士+吉田知史の《Sinktop》。これは、マウスでコントロールする台所の紹介映像。クリックでミックスジュースを作って「歴史的瞬間!」と言ったり、青い画面になったら叩いて直すなど、とにかく笑える作品だった。

前期の展示は2月20日までだけど、後期(2月22日~3月13日)に行くのがオススメ。

『OTAKU展』続報2

2005-01-29 | 建築
先日の記事に書いた、ヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展・日本館の「おたく:人格=空間=都市」展について、東京都写真美術館のページが更新されていた!

「おたく:空間=人格=都市」展は、後期(2月22日~3月13日)のみ。
しかし、ヴェネチアの全作品を再現展示するみたい!
これは楽しみ♪

また、3月11日には磯崎新や森川嘉一郎らによるフォーラムも開催予定。

詳細はこちら

→予告展示のレポートはこちら(2/8)

アーキラボ再訪

2005-01-25 | 建築
週末に出勤した分の振替休日で、朝から森美術館へ。

アーキラボ 建築・都市・アートの新たな実験展 1950-2005

前回、表面的にざっと観た印象はイマイチだった。しかし、ex-chamberのDADAさんから「じっくり観れば理解が深まる」とアドバイスをいただき、再訪することに。

今回は、パンフレットの解説を読みながら、じっくりと図面・スケッチ・模型を観ていった。すると、ただ眺めただけではわからなった作品同士の関連性がおぼろげながら見えてきて、建築のムーブメントのようなものを体感できた。この感覚は、アートを観て面白いという感覚とは別で、解けなかった問題が解けるようになったときの快感に近いのかも。

あと、パンフレットの解説番号が作品タイトルに付いてたのも良かった。前回はこれがなくて、解説を読むのを途中でやめてしまったんで……。

結局、最後まで観るのに3時間近くかかってしまった。これでも映像は一部しか観ていないので、きちんと観たら6時間以上かかるかも。また行く機会があったら、今度は映像を中心に観ようっと!

写真は美術館の入口付近。空気ベッドみたいなものは、グラハム・スティーブンスの《デザート・クラウド(砂漠の雲)》で、飛行船はピーター・クック(アーキグラム)の《操縦可能なインスタント・シティM3号》。

3月13日まで、会期中無休。

お腹が空いたので51階に下りて昼食(別記)、警備員にチケットを見せて再び52階へ。

ルイ・ヴィトン 時空を超える意匠の旅展

安藤忠雄による展示構成と、村上隆のコラボレーション目当てで入ったけど、スティーブン・スプラウスらとのコラボも面白かった。村上の屏風絵《I Love Monogram》もあり。

3月21日まで、会期中無休。

3階のアート&デザインストアでは、森万里子によるお茶セット《ティー・カプセル》が売られていた。オパールガラスなどの白と光沢がとっても繊細。限定50セットで294,000円(税込)。ちなみに茶道教授が監修。一方、お香セットの《インセント・カプセル》は、38,000円(税込)と手ごろ。

『OTAKU展』続報

2005-01-15 | 建築
先日の記事に書いた、ヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展・日本館の「おたく:人格=空間=都市」展について、東京都写真美術館のメルマガで告知があった!

以下、抜粋して引用。
緊急決定!あの「おたく展」がやってくる!
「グローバルメディア2005/おたく:空間=人格=都市」展
(予告・地下1階映像展示室)
■日時:2月5日(土)~3月13日(日)
■展覧会詳細:近日ホームページにて緊急発表します
ヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展についての覚え書き
  • ヴェネチア・ビエンナーレは、アート・建築・映画・ダンス・音楽・演劇の各分野で開催
  • 建築のビエンナーレは、アートのビエンナーレ(前回は2003年)と交互に開催
  • 第9回建築展(2004年)のテーマは、「METAMORPH(変容)」
  • 日本人では、妹島和世+西澤立衛/SANAA及び遠藤修平の2組が金獅子賞を受賞
  • 国別のパビリオンでは、ベルギー館が金獅子賞を受賞
  • 日本館のテーマは、「おたく」という「人格」による秋葉原の街の「変容」
(参考:美術手帖2004年11月号)

→続報はこちら

アーキラボ@森美術館

2004-12-31 | 建築
2004年の展覧会納めは、六本木ヒルズ森タワー53Fの森美術館

この日の東京は昼過ぎから雪。地上の入口前では、スタッフが「悪天候のため展望台は楽しめません。」とアナウンスしていた。試しに展望台に行ってみると視界ゼロ(写真)。これはこれで面白いかもと思いつつ、美術館へ。大晦日&悪天候でかなり空いていた!

アーキラボ 建築・都市・アートの新たな実験展 1950-2005

結論から書くと、建築に少し興味があるくらいの私には歯が立たない展覧会だった。内容は充実していて、気合の入った展示だというのは分かったけど、建築の予備知識なしでは厳しい。一方、図録は相当売れているようなので、建築関係の人にはたまらない展覧会なのかも。

ダニエル・ビュレンやジェームズ・タレルの名前もあったけど、スケッチでは……。結局、私が楽しめたのは、直島と大阪万博関係の映像くらいかなあ。

建築展覧会巡り

2004-12-11 | 建築
続いて、えんねこさんのブログで紹介されていた建築系の展覧会巡り。

乃木坂のギャラリー間にて、「原広司展:ディスクリート・シティ」を観る。

原広司といえば、JR京都駅ビルや札幌ドームが有名だけど、今回は住み手が自分たちで造る《実験住宅 モンテビデオ》のドキュメントと模型の展示。若い建築家や学生が、苦労の末に住宅を建てる過程がほほえましかった。

2月19日まで、日・月・祝・年末年始(12/26-1/10)休館。

そして、千駄ヶ谷三丁目のGAギャラリー(写真)に移動。代々木駅・原宿駅・千駄ヶ谷駅の真ん中あたりにあって、鉄道では不便な場所にもかかわらず若い学生で賑わっていた。これができれば便利になるんだけどなあ。

展覧会は、第13回<現代日本の建築家>展。日本を代表する14組の建築家の最新プロジェクトの紹介。私が気に入ったのは、同志社大学付属小学校、銀座ミキモトビル、それから宝積寺駅前整備。どれが誰の設計かはメモし忘れたけど……。(汗)

12月26日まで、日曜休館。

それにしても、建築の学生はオシャレだし、こういう展覧会や建築巡りなどでよく勉強していると思う。同じ工学部でも、彼らは良い意味で他学科の学生と違ってたなあ。

12月21日からは森美術館で建築の展覧会が始まるから、それも行こうっと。