熊本市現代美術館に行ってきた。
アン・ハミルトン[ヴォーチェ]
横トリでのプロジェクトが記憶に新しいアン・ハミルトンの個展。作品は、2つの展示室をまるまる使った作品《ヴォーチェ》1点のみ。
最初の展示室(テーブルの部屋)に入ると、作業台(木製のテーブル)が所狭しと並んでいる。作業台は半透明のビニールシートですっぽりと覆われ、ビニールシートの中には古いラジオ、卓上ランプ、着物が入っていて、その卓上ランプの明かりでぼんやりと着物の柄が見える。ラジオからは雑音が流れ、入り口付近で借りたヘッドホンからは鳥の鳴き声が聞こえてくる……。
作家の指示どおり作業テーブルに上がり、この不思議な空間を見渡す。作業台・古いラジオ・着物といった懐かしい物たちが浮かび上がってくる。そして、ヘッドホンから聞こえてくる鳥の鳴き声に答えるかのように、鳥になったつもりで鳴いてみた。
……。
ほんの少しだけど、私が鳥になったような気がした。枝にとまって、歴史という大地を見下ろしているかのような、そんな錯覚を覚えた。
奥の展示室(映像の部屋)では、天井からぶら下がった帽子のような物体が、音を立ててびゅんびゅん回転している。この帽子のような物体はスピーカーで、作家が熊本で集めた音を流している。壁に目をやると、顔や足が並ぶ卒業写真の一部を写した映像が、ゆっくりと回転するプロジェクタから投影されている。
せわしなく回転しながら音を発し続ける8台のスピーカー。懐かしさを感じさせるモチーフを映しながら、四方の壁づたいにゆっくりと流れる2つの映像。これらを眺めていると、歴史という空の中を飛んでいるような感覚だった。
あなたの中で、きっとなにかがかわりますよ。
作家は「(作品の)楽しみ方」の中でこう述べているけど、私にとってそれは「鳥になった気持ち」が芽生えたことだった。ひょっとしたら、鳥だった頃の記憶が蘇ったのかもしれない。
熊本市現代美術館にて、6月4日まで(火曜休館)。
アン・ハミルトン[ヴォーチェ]
横トリでのプロジェクトが記憶に新しいアン・ハミルトンの個展。作品は、2つの展示室をまるまる使った作品《ヴォーチェ》1点のみ。
最初の展示室(テーブルの部屋)に入ると、作業台(木製のテーブル)が所狭しと並んでいる。作業台は半透明のビニールシートですっぽりと覆われ、ビニールシートの中には古いラジオ、卓上ランプ、着物が入っていて、その卓上ランプの明かりでぼんやりと着物の柄が見える。ラジオからは雑音が流れ、入り口付近で借りたヘッドホンからは鳥の鳴き声が聞こえてくる……。
作家の指示どおり作業テーブルに上がり、この不思議な空間を見渡す。作業台・古いラジオ・着物といった懐かしい物たちが浮かび上がってくる。そして、ヘッドホンから聞こえてくる鳥の鳴き声に答えるかのように、鳥になったつもりで鳴いてみた。
……。
ほんの少しだけど、私が鳥になったような気がした。枝にとまって、歴史という大地を見下ろしているかのような、そんな錯覚を覚えた。
奥の展示室(映像の部屋)では、天井からぶら下がった帽子のような物体が、音を立ててびゅんびゅん回転している。この帽子のような物体はスピーカーで、作家が熊本で集めた音を流している。壁に目をやると、顔や足が並ぶ卒業写真の一部を写した映像が、ゆっくりと回転するプロジェクタから投影されている。
せわしなく回転しながら音を発し続ける8台のスピーカー。懐かしさを感じさせるモチーフを映しながら、四方の壁づたいにゆっくりと流れる2つの映像。これらを眺めていると、歴史という空の中を飛んでいるような感覚だった。
あなたの中で、きっとなにかがかわりますよ。
作家は「(作品の)楽しみ方」の中でこう述べているけど、私にとってそれは「鳥になった気持ち」が芽生えたことだった。ひょっとしたら、鳥だった頃の記憶が蘇ったのかもしれない。
熊本市現代美術館にて、6月4日まで(火曜休館)。