現代アート道楽の日々。

首都圏の展覧会の感想など。しばしば遠征。【不定期更新】

MAMCナイト

2005-05-31 | アート感想@関東
森美術館のMAMコンテンポラリーナイトに行ってきた。

MAMコンテンポラリーナイトとは、特定の火曜日の夜(18:00~22:00)、森美術館の会員だけに展覧会を開放するというイベント。普段の混雑がウソのように人の少ない空間で、じっくりと作品を鑑賞できる。さらに、今回は展示作品のポストカードプレゼント(4種類から1枚選択)もあった。

今回のお目当ては、キュレーターによるギャラリーツアー。事前の抽選に当たった20名ほどが参加。男女ともに20代~50代の仕事帰りな人が多かった。

ストーリーテラーズ ―アートが紡ぐ物語―(前回の記事はこちら

キュレーターの荒木夏実による解説を聴きながら作品を観て回る。30分という短い時間で慌しかったけど、展覧会の裏話など面白い話が盛りだくさんだった。

5人の女性が「ある男性」についての思い出を語るジャナン・アルアニの映像作品《愛する男》は、出演者の女性が作家の母と四姉妹(本人は三女)とのこと。「ある男性」が夫(父)と知ってから聴き直してみたら、また違った面白さがあった。

キャラ・ウォーカーの《自由への長くて熱くて黒い道、南部のダンスステップを踏みながら》のモチーフは、必ずしも史実に基づいているわけではなく、現地でイメージを膨らませたものとのこと。これだけの大きな作品を3日で作り上げたのも驚き。

このあと、副館長の南條史生の挨拶があり、ガイド交代。

秘すれば花 東アジアの現代美術(前回の記事はこちら

こっちはキュレーターの金善姫(キム・ヨンヒ)によるガイド。30分の予定を大幅にオーバーしてしまったけど、中身の濃いギャラリーツアーだった。

第一部「山水」の部屋は、入り口から奥に向けて、「朝→昼→夜」という時間の流れになるように作品を配置しているとのこと。改めて会場を眺めてみると、照明も時間の流れを表現していた。また、奥から入り口に向かっては、山から水が流れる地形を表現しているとのこと。部屋全体が一つのインスタレーションと言っても良いのかも。

ただ、プラスチック・コップを並べたソン・ジョンウンの《永遠の河》は、観客に踏まれて狭くなってしまったとのこと。これを聴いて思わず苦笑。やはり通路が狭すぎた?

第二部「風水」の部屋は、一つの大きな家をイメージしていて、精神的な空間、社交の空間、食事の空間、休息の空間などという作品配置になっているとのこと。これだと最後にトイレがあるのにも納得。

このほかにも、山口晃の《携行折畳式喫茶室》が100円ショップで調達した材料でできていること、「秘すれば花」のタイトルどおり須田悦弘の《木蓮》に気づかない人が多いこと、奈良美智の《crated room》は作家本人の部屋のミニチュアなこと(実際はもっと汚いらしい……)など、面白い話をたくさん聴けた。

ギャラリーツアーのあと、作品を観てたらすっかり遅くなってしまい、ROR(レボリューションズ・オン・リクエスト)の展覧会は流して観ることになってしまった。次の中国展のときにでもじっくり観よう。

写真は、展望台から観た新宿副都心。

鳥つね自然洞@末広町

2005-05-31 | 食べ歩き
上野近辺に行ったついでに、「カジカジアート」のmifoさんご贔屓のお店でランチ。

鳥つね自然洞@末広町

ちょっと遅めの時間に入店したけど、限定20食の特上親子丼が運良く残っていたので迷わず注文。カウンター席が禁煙なのは嬉しい。(テーブル席・二階座敷は不明。)

注文後すぐにお新香、しばらくして親子丼とお吸い物が運ばれてきた(写真)。これで1600円也。

白身と黄身が軽く混ざった卵は、トロトロの半熟と言うより生卵の一歩手前。黄身が半透明のオレンジ色で美しい。口に含むと、卵そのものに味わいがあり、ほのかな甘みすら感じた。

鶏肉もパサパサした感じは全くなく、むしろコリコリした食感に近い。これに美味しいタレとご飯が絡まると絶品!こんな美味しい親子丼があったとは……。

並の親子丼(900円)とは、卵と鶏肉が違うらしい。このほか、鳥しんじょ2個と鳥サラダが付いたセット(並:2000円、特上:2700円)もあり。

店のデータはこちら(データは多少古い)。

TAP2005

2005-05-30 | アート情報その他
去年観に行って面白かった取手アートプロジェクト(TAP)が始動していた。もちろん、今年も観に行くつもり。
取手アートプロジェクト2005 ホームページ
取手アートプロジェクト2005 ブログ

会期は2005年11月12日(土)~数週間。招聘作家は「かえっこ」の藤浩志

写真は去年のもので、鈴木淳《もろ、もろもろ、もろもろ》より《コンピラさんに、いらっしゃい》の一部。

束芋 指弁@ギャラリー小柳(銀座)

2005-05-26 | アート感想@関東
銀座で時間があったので、ギャラリー小柳(住所等はこちら)に寄ってきた。

束芋 指弁(ゆびびら)

現代日本の不条理を鋭く捉えた和風アニメーション作品《にっぽんの~》シリーズが代表作の束芋の新作展。今回は和紙に墨で描いたドローイングが中心。

《虫遊び05》シリーズ(画像はこちら)は、手のひらの複合体が虫を弄ぶドローイング。グロテスクなモチーフだけど、虫の図鑑のように精密な描写と、手のひらの味がある線のためか、不思議とイヤな感じはしなくて、むしろ品があった。一方、《指弁》は手のひらの複合体だけを描いたドローイング。

奥の部屋ではアニメーション作品《hanabi-ra》の上映。後姿の男性に彫られた刺青の花が散っていき、最後には男性の体も散ってしまう。花火大会のような盛りあがりと、終わったあとの虚しさに通じるものがあった。

グリム童話を題材にした新作絵本『カエルの王さま』と、その原画もあり。

6月24日まで、日・月・祝休廊。

あと、「茂木健一郎 クオリア日記」に、東京藝大でのゲスト講義のMP3ファイルあり。録音の公開は本当にありがたい。

タイ料理 ティーヌン@銀座

2005-05-26 | 食べ歩き
久々に銀座でランチ。

タイ屋台料理&タイ国ラーメン ティーヌン銀座店

場所は銀座ファイブの地下1階。西早稲田本店のタイ国ラーメンと、系列のカオタイの屋台料理が楽しめるお店。外の通路とは屋台で仕切ってあるだけで、開放的で庶民的な雰囲気。ちょっと遅めだったせいか、女性の一人客が多かった。

ご飯モノが食べたかったので、日替わり一皿飯を注文。ご飯にかけるおかずは、4種類のうち2種類を実物を見て選べる。私が選んだのはナスとカレー。これにサラダとスープが付いて800円。さらに目玉焼き(カイダーオ)を50円で追加。

ほどなくしてテーブルに運ばれてくると、その豪快な盛り付けにビックリ!まさに屋台の雰囲気。味付けはややマイルドなうえ、ご飯も短粒種なので、エスニック初心者向けかも。また機会があったら、3種の麺が選べるタイ国ラーメンを食べてみよう。

隣のベトナム料理店 ラ・スコールも、良さそうな雰囲気だった。こっちもいずれ。

鴻池朋子『みみおに不時着』@ナディッフ(表参道)

2005-05-24 | アート感想@関東
仕事帰りに、表参道のナディッフに寄ってきた。

鴻池朋子『みみおに不時着』

のっぺらぼうで可愛らしいキャラクター「みみお」の原画&アニメーションの展覧会。

入口付近の特設コーナーでは、絵本『みみお』や最近の展覧会のカタログなどが並ぶとともに、鉛筆画による「みみお」のアニメも上映されていた。アニメは2作あって、一つは東京都現代美術館で観た作品で、もう一つは悲しいラストの作品だった。表情のない「みみお」の感情描写が凄い。

店内のガラスケースでは絵本の原画、店内中央のギャラリースペースでは鉛筆画アニメの原画が展示されていた。どちらも気が遠くなるほど細かい描き込みで、黒一色の濃淡だけでこれだけの表現ができるのかと感心。ギャラリースペースの出口には、透明なナイフ(プラスチック製)がぶら下がっていた。

5月29日まで、無休。

このほか、店内では昭和40年会出演のビデオ上映や、東恩納裕一の蛍光灯作品の展示も。

新川、六本木ギャラリー巡り

2005-05-21 | アート感想@関東
新川→六本木とギャラリー巡り。特に印象的だった展覧会は、下の二つ。

森村泰昌「諷刺家伝 - ゴヤに捧ぐ」@シュウゴアーツ

スペインの巨匠、ゴヤの作品を題材にした20点の新作展。とにかく理屈ぬきで楽しめる作品の数々。

連作版画集《ロス・カプリチョス》を題材にしたシリーズでは、皮肉たっぷりの元の作品を鮮やかに現代風にアレンジ。携帯電話やパソコンなどの小道具を使うのは序の口で、ジェット戦闘機が後ろから迫ってくるものも。

そして「美」にもますます磨きがかかる。なかでも《アルバ公爵夫人》シリーズや、プリンツ21の表紙にもなった《今、こんなのが流行っているんだって》は、いい年をした男性が女装しているなんて忘れてしまうほどの美しさ。

写真をCGで合成するなど、デジタル技術を利用する一方、小道具や「かぶりもの」は一つ一つ手作りというアナログなのも魅力的。また、靴や箒などの小物は、いくつかの作品で使い回しをしていて、それを探すのも楽しい。

7月2日まで、日・月・祝休廊。

大谷有花展 - Mindscape -GALLERY MoMo

新作絵画が十数点の展覧会。近作は「ウサギねずみ」や、鮮やかな黄緑やピンクが前面に出る作品が多かったけど、今回は一味違う。

今回は「ウサギねずみ」などのキャラクターは登場せず、幻想的で奥行きのある空間が広がる。黄緑やピンクの使用もやや控えめで、絵自体の深みがぐっと増していた。まだ若いだけに、これからも楽しみな作家の一人。

あと、作家本人のブログもオススメ。

6月11日まで、日・月・祝休廊。

タイミングの良い記事

2005-05-16 | アート情報その他
昨日行った展覧会の記事を発見。タイミング良すぎ!

廃品再出発の姿、現代アートに(東京新聞 TOKYO発)
携帯電話やパソコンがベルトコンベヤー上で大量に流れる様子が、モニター画面に淡々と映し出されている。

一方、ヘッドホンからは解体工場で録音した金属音がリズミカルに流れてくる。
上がクリスチャン・マークレイの作品で、下が刀根康尚の作品。会場の写真もあり。

超(メタ)ビジュアル@写美

2005-05-15 | アート感想@関東
続いて、恵比寿の東京都写真美術館に移動。

3つほど展覧会をやっていたけど、私のお目当てはこれ。

開館10周年特別企画映像展 超(メタ)ビジュアル-映像・知覚の未来学

カメラ・オブスクラ(暗室カメラ)から現代アートまで、新旧の映像メディアを往来する展覧会。幻燈機やパラパラマンガもあって、博物館的な楽しみ方もできた。

現代アート作品で、特に印象に残ったのは以下のとおり。

福田美蘭の《Camera Eye》は、何の変哲もない写実的な絵画……と思ったら、解説文に従って、とある場所から観てビックリ。そこには「撮る者/撮られる者」という構図があった。

minim++(近藤基+久納鏡子)の《Tool's Life ~道具の隠れた正体》は、インタラクティブな作品。スポットライトに照らされたテーブルの上に、ナイフやスパナ等の道具が立っていて、その道具に触ると……!!これは可愛いし、面白い!

暗い通路を抜けた奥の部屋は、床・壁・天井が真っ白の部屋。そこに《PixCell「Zebra]》など、名和晃平の作品が5点。なんだか国際交流基金フォーラムで観た展示方法にソックリだけど、この作品は遠近感のない空間に良く映える。

水戸芸術館でも観た岩井俊雄の《Floating Music》は、インタラクティブな3D映像作品。メガネ無しでも立体的に見えるのが不思議。画面に触れた位置に対応して、ボールが音を出しながら動くんだけど、触れた位置によって音も変わるので楽器を弾いているような感じ。

同じく岩井俊夫の《時間層II》は、たくさんの人形を載せた回転盤を回転させ、フラッシュを点滅させてアニメーションさせる作品。点滅の間隔が変わると、人形の動きも変わるのが面白かった。

7月10日まで(6月7日から後期展示)、月曜休館。

リサイクル工場の現代芸術@城南島

2005-05-15 | アート感想@関東
大田区の城南島に行ってきた。

Variations on a Silence――リサイクル工場の現代芸術

大森駅から京急バスに30分ほど揺られ、動物愛護センター前に到着。このバスは1時間に一本くらいしかないのに加え、日曜の終バスはやたら早いので、予め京急バスHPで時刻表を調べる必要アリ。系統番号は森32(大森駅~城南島循環)。

バスから降りると、周りは倉庫と工場と空地と海、そして対岸の羽田空港から飛び立つ飛行機が頭上を越えていく。非日常な光景にワクワクしつつ、来た道を少し戻り、右に曲がって道沿いに歩くと会場に到着。

会場のリーテム東京工場(写真)は、坂牛卓(O.F.D.A.)の設計によるもので、リサイクル工場とは思えないほどデザイン性の高い建築。今回の展覧会は、この工場のオープン記念らしい。

会場に入ると、これからリサイクル工場として使われるだだっ広い空間に、魅力的な作品が配置されていた。なかでも印象に残ったのは次の2点。

710.beppoの《0.7 tons for music》は、0.7トンの鉄板の四隅をワイヤーで吊り下げ、鉄板の下に2基の工業用バイブレータ(コンクリートの打設に使用するものらしい)を設置した作品。鉄板の上に乗ると、振動で膝がガクガク震えて立っているのがやっと。2基のバイブレータの振動がずれるのも面白い。でも、操作していた人の話では、この作品は本当は楽器とのこと。

ポル・マロの《ミラーズ》は、発泡スチロールの床の上に、発泡スチロールの柱が何本も立っている大きなインスタレーション。靴を脱いで発泡スチロールに乗り、発泡スチロールの感触を足で楽しむ。柱にはカラフルな布が巻いてあって、柱の間を歩き回ると景色がどんどん変化していくのが面白かった。

この他の作家は、刀根康尚、クリスチャン・マークレー、近藤一弥、平倉圭。どの作家の作品もリサイクル工場という「場の力」を活かしていて観応えがあった。遠かったけど、行った甲斐あり!

5月29日まで、会期中無休。

志段味循環型モデル住宅@名古屋

2005-05-08 | 建築
帰省ついでに、名古屋の志段味循環型モデル住宅に行ってきた。

大曽根駅からガイドウェイバスに乗り換え。高架の専用道路を通るバスは、眺めが良いし渋滞もなくて非常に快適。ほぼ定刻の約20分で最寄の荒田バス停に到着。バス停から住宅が見えたので、迷うことなくモデル住宅に辿り着けた。バス停からも近い!

志段味循環型モデル住宅

このモデル住宅は愛知万博の一環で建てられたもので、将来は実際に人が住む予定。建物は中庭を囲むようにA~Dの4棟が建っていて、そのうちA棟(1枚目の写真)だけが荒川修作の構想を盛り込んだ住宅。一方、B~D棟は典型的な「人と環境にやさしい住宅」で、A棟だけが強烈に異彩を放っていた。

ある程度高さがあるA棟だけど、なんと1階建て(屋上付き)。内部は円形劇場みたいに階段状になっていて、中央最下部がキッチン(2枚目の写真)。そのキッチンを囲む空間がリビング・ダイニングで、さらにそのLDKを囲むように和室(畳が円形!)やバスルーム等の部屋が配置されていた。

でも、以前観た荒川修作の基本構想と比べると、かなり大人しくなった印象。階段状のLDKは魅力的だけど、それぞれの床はフラットだし、慣れれば緊張感なく生活できるような気もする。どうせなら徹底的にやってほしかったなあ。三鷹天命反転住宅に期待か?

アンケートに答えたら、トイレットペーパーをもらった。もちろんこれじゃないけど。

志段味循環型モデル住宅の見学日は、こちら

あんかけスパゲティ@チャオ(名古屋)

2005-05-08 | 食べ歩き
名古屋に帰省。

せっかくなので名古屋名物を!と思い、「あんかけスパゲティ」を食べることにした。

「あんかけスパゲティ」とは、とろみのあるトマトベースのミートソースを、極太スパゲティの周りにかけたもので、中華や和食の「あんかけ」とは全く別の味。スパゲティハウス ヨコイが元祖みたいだけど、ヨコイは日曜休みだったので、もう一つの有名店に行ってきた。

スパゲティハウス チャオ 菱信ビル店

店内は明るく、男性客がやや多かったけど、家族連れや女性の一人客もいて、幅広い客層。普段の昼は行列ができるらしいけど、この日は並ばずに入店。

注文したのは定番の「ミラカン」で、サイズは真ん中の「レギュラー」(730円)。「ミラカン」とは、赤ウインナーなどが入った「ミラネーズ」と、野菜中心の「カントリー」を合わせたもの。今ではほとんど見なくなった赤ウインナーが妙に懐かしさをそそる。

さっそく、極太スパゲティを「あんかけソース」に絡めながらいただく。実のところ、「あんかけスパ」の味を知ったのはつい最近なんだけど、小さい頃から食べてきたような、なんだか懐かしい味。これも、とろみのある食べ物を好む名古屋の食文化の影響かも。普通の店の大盛くらいの量があったけど、あっという間に完食。あー美味しかった!

ちなみに、東京でもパスタ・デ・ココという店で「あんかけスパ」を味わえる。ご参考までに。

塩田千春展@京都精華大

2005-05-07 | アート感想@遠征
京都精華大学ギャラリーフロールで開催中の「塩田千春展」に行ってきた。

塩田千春展 ― When Mind Become Form

会場に入ると、白ペンキで塗られた古びた窓枠が部屋全体を埋め尽くしていた。この窓は《閉ざされた日常 ― 第3の皮膚》の一部で、窓と窓の間から内側に入ることができる。窓に囲まれた空間は、ところどころガラスが割れ、廃墟に迷いこんだようで不気味。

《閉ざされた日常 ― 第3の皮膚》の右奥の部屋は、《…への不安》というインスタレーション。黒い毛糸がクモの巣のように張り巡らされた部屋には、毛糸が張られていないトンネルのような空間があって、そこを通って鑑賞。毛糸の壁の奥には誰もいない病院のベッド、そしてトンネルの先には水が溢れた洗面台……観ていてなんだか絶望的な気分になってきた。

《閉ざされた日常 ― 第3の皮膚》の左奥に入ると、右側の壁に《WIEDERSEHEN》の映像。様々な男女がキスをしたり、抱き合ったりする幸福なモノクロ映像。しかし、画面全体にクモの巣のような黒い線がかかっていて、幸福と断絶されているような暗い気分に。さらに奥の部屋は、《閉ざされた日常 ― 第3の皮膚》の核心とも言える鳥かごの部屋とタイルの部屋。鳥かごには鳥はおらず、羽だけ残されている。タイルの部屋は一面泥にまみれていて、その部屋で恐ろしい出来事があったかのような予感。とにかく暗く、不吉な気分にさせられる作品だった。

2階展示室の作品は、《皮膚からの記憶2005》。2メートル以上の高さの泥まみれのドレス12着が円形に並んでいて、それぞれのドレスはシャワーで洗い流されている。しかし、これらのドレスが再びキレイになることはない……。この作品も圧巻だった。

1階の小展示室では、オランダの精神病院跡地を写した《Empty place》(写真7点)と、映像2点の展示。作家本人がバスルームで泥まみれになって体を洗う映像《バスルーム》が特に観応えがあった。

5月29日まで、水曜休館。

東京・西新宿のケンジタキギャラリーでも「塩田千春 新作展」が開催中。こっちは最終日の14日に観に行く予定。行ってきた!

作品は、部屋全体を使ったインスタレーション《砕けた記憶》と、写真作品が4点。

《砕けた記憶》は、黒毛糸が部屋中に張り巡らされ、そこに鏡の破片が挟まっているのが何かを暗示しているようで面白かった。でも、外光が入って明る過ぎたため、陰鬱とした雰囲気が打ち消されていたのは残念。

京都の展示を観た後だっただけに、ちょっと物足りなかったかも。

5月末まで延長して展示中

金沢食べ歩き

2005-05-03 | 食べ歩き
今日のランチは、金沢でも有名な寿司屋、乙女寿司。このお店は、ヤノベケンジ「となりの晩ごはん」プロジェクト第4回晩ごはんのお店でもあり、アートとも関係が深い??

地図を用意して行ったけど、片町の路地をぐるぐる迷ってなんとか到着。地図無しでたどり着くのは不可能?しかも、カラオケ屋と駐車場の間の入り口が狭くて、ますます分かりにくい。

ランチメニューは8貫と12貫のセットがあったけど、ここはフンパツして12貫の「おまかせにぎり」(4200円)を注文。板さんが一貫ずつ丁寧に握ってくれる寿司は、やや小ぶりの一口サイズ。ふんわり握ったシャリは、口の中でとろけるような感じ。もちろんネタも新鮮で、本当に美味しかった。

なかでも、アカイカが感動的だった。新鮮なイカに細か~く包丁が入っていて、噛んだときの抵抗がほとんどない!これを醤油じゃなくて、塩とスダチでいただくのがなんとも上品だった。

ウニもすごい。てっきり軍艦で来るのかと思ったら、なんと握り。これも口の中に入れると、ネタとシャリがとろけるようで、ウニの香りと甘みが口の中に広がっていく……。ああシアワセ。



金沢21世紀美術館近くの漆の実でおやつ。このお店は漆器の能作の4階で、窓から見える公園の新緑が美しかった。

一番人気という「抹茶クリームぜんざい(白玉入り)」(700円、写真)を注文。しっかりした味の抹茶アイスと、適度な甘さの餡の組み合わせが絶妙で美味。意外にボリュームがあったけど、あっという間に食べてしまった。

金沢って、美味しい……。