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現代アート道楽の日々。

首都圏の展覧会の感想など。しばしば遠征。【不定期更新】

日本×画展@横浜美術館

2006-07-23 | アート感想@関東
横浜に行ってきた。

日本×画展(にほんガテン!)……しょく発する6人

なんだか謎な展覧会タイトルだけど、現代の「日本画」が失ったものに新たな価値を見出し制作に取り組む6人の作家が、美術館コレクションの日本画を自作に組み合わせて展示するという意欲的な企画。

この展覧会でデビューした藤井雷は、旅の途中で自分の安否を知らせるための封筒の裏に絵を描き、それをつないで物凄く長い長いパノラマにした《絵手紙》を出展。その封筒の数はおよそ500枚!展覧会の最中にも増えていくとのこと。

アートの世界に活動の幅を広げつつある、漫画家のしりあがり寿の作品は、展示室全体に紙を貼り、空間を自作の絵で埋め尽くした《オレの王国、こんなにデカイよ。》。毎日マンガばかり描いているうちに膨らんだ「とにかく大きくて果てのない絵を描きたい」という欲求をストレートに表現した空間は圧巻。「通風口」などの小技も面白い。

中村ケンゴの作品で最も印象に残ったのは、何十枚も展示された住宅間取り図の絵画。部屋が原色で塗り分けられた間取り図を見て、モンドリアンっぽいなあと思ったら《コンポジション トウキョウ》というタイトルだった(笑)。

このほかにも、しっかりとした日本画のテクニックで狂気の世界を描く松井冬子、映像による動く障壁画の小瀬村真美、日本画のような質感でダイナミックな光を描く中上清と、個性溢れる作家の作品を存分に楽しむことができた。

横浜美術館(みなとみらい)にて、9月20日まで(木曜休館)。

(8/1追記)チアリーダー東奔西走:日本×画展@横浜美術館スタート!に、ちょうど私が特に気に入った3作品の写真あり!

神楽坂・六本木ギャラリー巡り

2006-07-22 | アート感想@関東
この日は神楽坂・六本木のギャラリー巡り。特に印象に残った展示は以下のとおり。


岡村桂三郎展

会場に入ると、天井に届きそうな勢いの杉板が屏風のようにそびえ立ち、板の表面を削り取って描いた絵がライトの明かりで浮かび上がってくる。ギャラリーとは思えないくらい迫力のある空間だった。

高橋コレクション(神楽坂)にて、8月26日まで(金・土のみ開廊、ただし8/11・12休廊)


大竹司「クリーム」

妖怪や福助など、奇妙なモチーフをマンガっぽく描いたアクリル絵画も良かったけど、左右対称の切り絵を絵画に貼り付けた作品が妙な違和感があって面白い。もう売れたと思うけど、5000円や1万円の作品もあり。

山本現代(神楽坂)にて、8月12日まで(日・月・祝休廊)


ニューアクイジション

草間彌生小沢剛など、取扱い作家のグループ展。なかでもさわひらきの映像作品《hako》に目が釘付けになった。照屋勇賢の《警告-森》は小さめのバージョンでかわいらしい。

オオタファインアーツ(六本木)にて、8月21日まで(日・月・祝および8/13~8/21休廊)


藤芳あい「Swimming Pool」

プールに満たされた水をえぐり取っってみたい、という素朴な感情を高透明エポキシ樹脂で形にしてしまった作品。イメージ画像を事前に見ていたけど、本物を目の前にして思わず息を飲んでしまった。

ヴァイスフェルト(六本木)にて、8月19日まで(日・月・祝休廊)

ICC オープン・スペース

2006-07-15 | アート感想@関東
東京オペラシティ(初台)内にあるNTTインターコミュニケーション・センター(ICC)に行ってきた。一時期、閉館が検討されていたけど、とりあえず存続が決まって一安心。

オープン・スペース

ICCのギャラリー等を活用し、年度を通じて開放されるコミュニティ・スペース。17点のメディアアート作品がなんと無料で体験可能。また、年度ごとに展示が変更されるとのこと。

スコット=ソーナ・スニッブの《境界線》は、床に設置された作品に複数の人間が乗ると、境界線が表示される作品。大人数で乗ると面白そう。perfektron(クワクボリョウタ&山口レイコ)の《onebuttongame_Ball》ほか2作品は、ひとつのボタンをタイミングよく押して遊ぶゲーム。シンプルだけど意外にハマる。

このほか、BankARTで体験したクワクボリョウタの《loopScape》や、京橋で体験した藤幡正樹の《無分別な鏡》、ICCのご本尊ともいえるグレゴリー・バーサミアンの《ジャグラー》もあり。

2007年3月11日まで
休館日:月曜日(月曜が祝日の場合翌日)、年末年始、8/6、2/11

近藤聡乃展ほか@中目黒

2006-07-08 | アート感想@関東
中目黒に行ってきた。

近藤聡乃展「てんとう虫のおとむらい」

去年のアートフェア東京で観た《電車かもしれない》が印象的だった近藤聡乃の初個展。

今回のメインは、展覧会のタイトルにもなっているアニメーション作品《てんとう虫のおとむらい》。卒業制作の同名作品に納得できず、全面的に作り直したとのこと。卒業制作版《てんとう虫のおとむらい》と見比べると、線のしなやかさや動きに磨きがかかり、作品が醸し出す罪悪感・不安感がより深いものに感じられた。

展示室の壁には、《てんとう虫のおとむらい》の主要なモチーフになっている(洋服の)ボタンのシールが無数に貼り付けられているほか、アニメーションの原画やその情景を描いたドローイングも展示され、近藤聡乃の世界にどっぷりと浸ることができた。

また、土曜日は新作《てんとう虫のおとむらい》のほかに、卒業制作版《てんとう虫のおとむらい》と《電車かもしれない》も上映されるので、こちらも必見!

ミヅマアートギャラリーにて、8月5日まで、日・祝・月休廊。


グループ展 "眼差しと好奇心"

ミヅマのディレクター三潴末雄が選んだ若手作家によるグループ展。

実を言うと、どの作家も名前を知らなかったんだけど、それぞれが強烈な個性と魅力を放っていて、見ごたえのあるグループ展だった。強気の価格設定(?)にも関わらず、ほとんど売れていたのもスゴイ。

個人的に気に入ったのは、一見幼稚園児が描いたような絵を描く真珠子。よく見るとかなり際どく強烈な表現も。今後の活躍が楽しみ。

ミヅマ・アクション(5階)にて、7月15日まで、日・月・祝休廊。

吉原治良展@竹橋

2006-06-25 | アート感想@関東
この日は竹橋へ。

生誕100年記念 吉原治良展

「具体」のリーダーとして知られる吉原治良の東京では初となる大回顧展。約190点の絵画が出展されていて、かなりのボリュームがあった。

最初期の作品は、海が見える窓辺に魚が置かれたものが中心。海にいるはずの魚がリアルに描かれている一方で、空間が微妙にゆがんでいて、妙な感覚が味わえる絵画。こういった絵を数多く描いていた吉原は、当時「魚の画家」と呼ばれていたらしい。しかし、一時帰国中の藤田嗣治に「他人の影響がありすぎる」と批判され、吉原は前衛の道を歩み始める。

そして、シュルレアリスム的な作品や抽象的な作品を経て、吉原は単純にして多様な「円」の表現へ到達する。実を言うと、「円」以外の吉原作品はほとんど観たことがなかったけど、今回「円」に到達する過程をはじめて観て、あの「円」のまた違った面が見えてくるような気がした。

東京国立近代美術館(竹橋)にて、7月30日まで(月曜休館、7/17開館、7/18休館)。

ナム・ジュン・パイク展@ワタリウム

2006-06-24 | アート感想@関東
続いて外苑前へ。

さよなら ナム・ジュン・パイク展

今年1月29日に亡くなったビデオ・アートの巨匠ナム・ジュン・パイクの追悼展。決して広くない会場には、所狭しと作品が並び、この偉大な作家の生涯を振り返ることができる。

なかでも印象的だったのは、7mの天上高の空間に展示された《ケージの森/森の啓示》。ジョン・ケージと「啓示」をかけたベタベタなタイトルはともかくとして、植物に20台のテレビがたわわに実る光景は、今見ても圧巻だった。

このほか《マースによるマース》や《ガダルカナル・レクイエム》など、代表的な映像作品も鑑賞可能。会期中何度でも入場できるパスポート制なので、1時間以上あるこれらの大作をじっくり観るのも良いかも。

ワタリウム美術館(外苑前)にて、10月9日まで(月曜休館、ただし7/17・9/18・10/9は開館)。

大巻伸嗣展@東陽町

2006-06-24 | アート感想@関東
東陽町に行ってきた。

大巻伸嗣 Shinji Ohmaki : Liminal Air -Descend- 2006

昨年、都内3箇所で同時期に展覧会を行った大巻伸嗣の個展。一言で言えば「体験型インスタレーション」。自分で体験するのも面白いけど、他人が体験しているのを見るのも面白い。この体験を言葉にしようと思ったけど、私の言葉は作品に比べあまりにも貧弱過ぎて挫折……。というわけで、展覧会チラシより以下引用。
光を反射する柔らかい白線が無数降下し、観客を包み込む。天空から降下したかのように見える糸の下端に立った時、床面から反射する光とともに、天に導かれるように空間と融合する体験を得られることだろう。
このうち、無数の白線は全て作家本人が切ったものらしい。それから、展示室には腰巻が用意されているけど、スカートは避けた方が無難かも。

GALLERY A4(ギャラリーエークワッド)(東陽町)にて、8月11日まで(日・祝休廊)。

照屋勇賢展@墨田

2006-06-18 | アート感想@関東
今日は隅田川のほとりのギャラリーへ。

照屋勇賢 水に浮かぶ島

沖縄に生まれ、社会問題を題材にしつつも、決してそれだけで終わらない作品を発表してきた照屋勇賢の個展。スポンサーの関係でビールがらみの作品が多いけど、彼の作品をこれだけまとめて見られるチャンスって滅多にないかも。

会場に入ると、色とりどりの鮮やかな液体が入ったビアジョッキの一群が目に入ってくる。これは《水の住む山》という作品で、沖縄の自然を色で表現した作品とのこと。

横浜トリエンナーレで観た《Notice-Forest 告知-森》も、当然のように展示されている。ここでは1点だけだけど、第2会場のアサヒビール本部ビルでは10点ほど展示。

《Towels Swing and Swim》は、壁にかかったタオルに魚が刺繍され、滝登りを表現している作品。タオルの脇には踏み台があって、この上に立ち壁に耳を澄ますと……この先は会場でのお楽しみ。

《空の上でダイヤモンドとともに》は、ビニールハウスの中に自転車が並んでいる作品。観客はハウスの中に入ることができるんだけど、何とそこには蝶が!虫が苦手でない方は是非。サナギの抜け殻も美しい。

《Rain Forest》は、トイレットペーパーの芯から枝の形を切り抜いた作品。《Notice-Forest 告知-森》よりシンプルだけど、それだけに紙と木の関係がダイレクトに伝わってくる。

このほか、巨大なパフェで沖縄の海を表現した《Dessert Project》が良かった。あと、《Are you talking to me?》は、耳をすませることを忘れずに!

すみだリバーサイドホール・ギャラリーにて(第2会場:アサヒビール本部ビルロビー)、7月18日まで(会期中無休)。

天上のシェリー@銀座エルメス

2006-06-10 | アート感想@関東
この日は銀座へ。

天上のシェリー/西野 達展

銀座、メゾンエルメスの屋上に仮設の小屋が出現(写真)。これは、横浜トリエンナーレ2005で《ヴィラ會芳亭》を発表した西野達(達郎から改名)の最新作。

正面玄関から建物に入り、エレベータで8階へ。改装中の仮囲いの脇を通り、非常階段を上って屋上に出ると、そこには工事現場で使うような仮設階段がさらに上に続く。仮設階段を上ってブルーシートで囲まれた小屋に到着。下を見ると人が蟻のようでちょっとコワい……。

靴を脱いで小屋に入ると、そこは十代の少女をイメージした部屋。しかし、ベッドの上には、馬に乗った巨大な花火師の像がどどーん!現実離れした光景にしばし唖然。予想はしていたけど、実物はもっとスゴかった……。

この花火師の像は、エルメス150周年を記念して花火イベントを行った際、実際にパリで使用した像の一つを、お店のシンボルとして屋上に設置したもの。普段は下から見えるんだけど、間近で見られるチャンスなんて、もう二度とないかも。

メゾンエルメス8階フォーラム(銀座5-4-1)にて、8月31日まで(6/21・7/5・7/19・8/16休廊)、11:00~19:00(入場は18:30まで)。


このほか、この日に回ったギャラリーのうち、私が気に入ったのは下記のとおり。

オラファー・エリアソン Your constants are changing
ギャラリー小柳(銀座)にて、7月8日まで(日・月・祝休廊)。

塩保朋子 ブレッシング ウォール
INAXギャラリー2(京橋)にて、6月29日まで(日・祝休廊)。

町田久美展
西村画廊(日本橋)にて、7月1日まで(日・月・祝休廊)。

アフリカ・リミックス@森美術館

2006-06-09 | アート感想@関東
会社帰りに六本木の森美術館へ。22時まで開館しているのが嬉しい(火曜は17時まで)。

アフリカ・リミックス 多様化するアフリカの現代美術

アフリカ大陸全土にわたる25カ国・84名の作家による約140の作品で構成された展覧会。でも、私が名前を知っていたのはウィリアム・ケントリッジぐらい(知らなさ過ぎ?)。展望台目当てのお客さんが多い森美術館で、ここまでマニアックな展覧会を企画したのには唖然。以下、気に入った作品をいくつか。

モアタズ・ナスルの《タブラ》は、「空の容器がいちばんうるさい音をたてる」というインドの諺にインスピレーションを得た映像作品。画面には美しい外皮をまとった「タブラ」(足に挟んで叩く太鼓)が映り、リズムを刻みはじめると、画面の前に並んだ多数の地味なタブラが画面に呼応するかのようにリズムを刻む。人間社会の縮図を思わせる作品。

エメ・ンタティカの《マグリット》は、タイトルどおりマグリット風の写真作品。一目瞭然で分かりやすい。

ハッサン・ムサの《グレート・アメリカン・ヌード》は、トム・ウェッセルマンの有名なシリーズからタイトルを引用し、ブーシェの官能的な作品から構図を引用した作品。これだけだと単なるヌードだけど、モデルの人物が……これはインパクト大!

イングリッド・ムワンギの《不動の漂流》は、日焼けの跡で国の形を表現した写真作品。一方はドイツの形に肌が焼けていて“BURN OUT COUNTRY”との文字が、もう一方はアフリカ大陸が白抜きになっていて“BRIGHT DARK COUNTRY”との文字が書かれている。なかなか考えさせる作品だった。

ウィリアム・ケントリッジの《パリの次に素晴らしい都市、ヨハネスブルグ》は、約8分の木炭画アニメーション。この作家の作品は悲しみがじわ~っと伝わってくるものが多いけど、今回の作品はわりとストレートなメッセージ性がある作品だった。

森美術館にて、8月31日まで(会期中無休)。

ヨロヨロン 束芋@原美術館

2006-06-07 | アート感想@関東
会社帰りに御殿山の原美術館へ。水曜日だけは20時まで開館。

ヨロヨロン 束芋

75年生まれにもかかわらず、世界各地で目覚ましい活躍を続ける束芋の個展。原美術館の空間にあわせた新作3点が目玉。

新作の1点目は、受付の隣の部屋に展示されている《真夜中の海》。部屋の床面がスクリーンになっていて、観客は脇の覗き窓から映像を鑑賞。真っ黒なバックに、白線で描かれた波が次々と現れ、スポットライトで照らされたように不思議なモチーフ(髪の魚?)が重なる。白と黒だけのシンプルで端正な作品だった。あとで別の場所からもう一度楽しむことも可能。

2点目は、日没後のみ鑑賞可能の《ギニョラマ》。この作品のために私は夜に来たんだけど、あえて日没後限定にしなくても……というのが正直な感想。色使いのセンスとキモチワルサは、さすが束芋といったところ。

3点目は、2階の奥の部屋に展示されている《公衆便女》。束芋お得意の3面スクリーンによるアニメーションで、現代社会の暗部を淡々と描いた作品。扱っている題材はかなり深刻なものもあるけど、それを徹底的にクールに表現していて、かえって恐ろしさを感じてしまう。束芋の「毒」が結実した見事な作品。なお、この作品の奥には奈良美智の部屋もあるので、2つの作品のギャップを楽しむのもいいかも。

このほか、映像インスタレーション《にっぽんの台所》、アニメーション《hanabi-ra》、朝日新聞夕刊に連載中の『惡人』の原画、新作アニメーションの原画など、盛りだくさんの内容だった。

原美術館にて、8月27日まで(月曜休館、ただし7/17開、7/18休)。

カルティエ財団展@MOT

2006-04-23 | アート感想@関東
木場公園北端のMOTに行ってきた。

カルティエ現代美術財団コレクション展

カルティエ現代美術財団(パリ)の世界で初めての大規模なコレクション展。質・量はもちろん、作品サイズまでハイレベルな展覧会だった。企画展示室の全フロアを、一つの展覧会で使用するのは久しぶりかも。

1階の展示で特に印象に残ったのは次の3点。ライザ・ルーの《裏庭》は、実物大の裏庭を模した立体作品だけど、花や草の表面が全てビーズでできていてキラキラと輝いている。よくもまあ、これだけのビーズを組み合わせたもんだとしばし唖然……。ロンミュエクの《イン・ベッド》は、ベッドに横たわる巨大な女性像。部屋に入った瞬間、驚きのあまり声を出しそうになってしまった。生まれたばかりの赤ちゃんにとって、母親はこれくらいの大きさとのこと。リチャード・アーシュワーガーの《クエスチョン・マーク/3つのピリオド》は、“...?”をそのまま立体化した作品。そのまんまの感想だけど、見ているこっちまで“...?”って気分になった。

2階の小展示室では、美術界のシンデレラ・ガール松井えり菜の油彩、《宇宙☆ユニヴァース》と《えびちり大好き!》を展示。まだ学生さんなんだけど、ビッグネームの作品に負けないくらいの存在感で、財団がGEISAIで即買したのも分かるような気がした。GEISAIで観たときは、作家がオルゴールのネジを巻いてくれたけど、さすがに今回それはないみたい。

3階の展示で特に印象に残ったのは次の3点。トニー・アウスラーの《ミラー・メイズ(死んだ目が生きている)》は、1.8mの球体に眼の映像を投影したもの。この球が展示室にゴロゴロと10個転がっていて、観客はその間を歩いて抜ける。ちょっと不気味な空間だった。デニス・オッペンハイムの《テーブル・ピース》は、長さ18mの細長いテーブルの両端に2体の人形が座っていて、お互いなにやらワケの分からないことをわめいている。コミュニケーションについて考えさせられる作品。アルタヴァスト・ベレシャンの映像《我々の世紀》は、ロケット打ち上げの記録映像を編集した作品。カットが次々と切り替わり、打ち上げへの期待とともに、不安な気持ちもかき立てられていく、そして……。

地下の展示で特に印象に残ったのは次の2点。ウィリアム・ケントリッジの《ステレオスコープ》は、木炭画で人間の孤独を淡々と描いたアニメーション。物語は良く分からなかったけど、なぜだと胸がじーんと熱くなった。サラ・ジーの《立ち上がるものは全て収斂する》は、ガラクタ(?)をツル植物が伸びるように展示したインスタレーション。MOTの巨大な吹き抜け空間に、ものすごく栄える作品だった。

東京都現代美術館(最寄り駅:清澄白河)にて、7月2日まで(月曜休館)。

神楽坂・谷中

2006-04-22 | アート感想@関東
この日はギャラリー巡り。まずは神楽坂へ。

束芋「台所にて」

6月3日からは原美術館での個展も予定されていて、今後が楽しみな若手作家の一人、束芋。今回の展示は、模型入りの映像作品《にっぽんのちっちゃい台所》と、同じモチーフの大きなドローイングが数点。シュールでブラックな和風アニメーションは、何度観ても面白い。ドローイング作品は、日本初公開とのこと。

高橋コレクションにて、6月10日まで(金・土のみ開廊、ただし祝日は休廊)。


立石大河亞 大河亞の富士山の宇宙

絵本・漫画・イラスト・絵画の世界を自在に行き来し、1998年に亡くなった立石大河亞(タイガー立石)。マンガ風のコマ割と、荒唐無稽なストーリー、そしてイラスト的な画風は、とても物故作家の作品とは思えなかった。若手作家を中心に扱うギャラリーがなぜ?って最初は思ったけど、作品を観て納得。

山本現代にて、5月20日まで(日・月・祝休廊)。


トロビョロン・ロッドランド Fantasies Are Facts

写真やビデオ作品で、海外では高い評価を得ているノルウェーの作家。写真もヒネリが効いてて面白かったけど、何といっても映像《132 BPM》が良かった。写真のように断片的なシーンが次々と切り替わりつつも、一貫して1分間に132拍のテンポでリズムを刻む映像には、引きずり込まれるような魅力があった。

児玉画廊|東京にて、5月27日まで(日・月・祝休廊)。


山元勝仁 “INNER LAYER SHOW”

紙に色鮮やかな色鉛筆で描いた模様を切り取り、壁やパネルに立体的に貼り付けた作品。パネルを全て埋め尽くした作品もあったけど、あえて余白を残した作品にセンスを感じた。

Yuka Sasahara Galleryにて、5月20日まで(日・月・祝休廊)。


続いて、谷中に移動。

森万里子展 トムナフーリ

ギャラリーの奥は少し暗くなっていて、中央に3メートルほどの白い物体が立っている。この物体の中で、様々な色をした淡い光が静かに広がっては消えていく。この光は、超新星爆発(星の死・誕生)によって地球に降り注ぐ「ニュートリノ」をシミュレートしているとのこと。なかなか幻想的な光景だった。

SCAI THE BATHHOUSEにて、6月3日まで(日・月・祝休廊)。

また、SCAI X SCAI(六本木)でも、森万里子の写真展「Standing Stone」を開催中。こちらは5月20日まで(木・金・土開廊、ただし祝日は休廊)。

人間の未来へ@水戸芸

2006-04-09 | アート感想@関東
水戸へ行ってきた。

人間の未来へ|ダークサイドからの逃走

4人の報道写真家のドキュメント写真と、9人のアーティストによる作品を組み合わせることにより、人間の内面に潜むダークサイドから距離を置き、他者への共感を促すことを試みた意欲的な展覧会。

今回最も印象に残ったのは、橋本公の《1945-1998》。1月を1秒に縮めたタイムスケールで、プロジェクターで投影された世界地図の上に、核実験が行われた場所を音と光で示した作品。通常、この類の作品は、メッセージ性が強すぎて鼻につくことが多いんだけど、事実を淡々と、しかもテンポ良く伝えていたので、最後まで見届けることができた。

マイケル・ライトの《100の太陽》という作品は、アメリカ軍の原水爆実験のドキュメント写真を再構成したもの。青空や夕暮れに浮かぶキノコ雲は、先入観抜きで見ると非常に美しい。その光景を無邪気に眺める軍人・科学者の写真もあり。

このほか、ギャラリー小柳で観たアントニー・ゴームリーの金属ブロックの作品3点や、天井から舞い降りるように展示されたスゥ・ドーホーの《落下傘兵 III》、絶滅した人間を100年後に発掘したという設定のオノ・ヨーコの《絶滅に向かった種族2319-2322》が印象に残った。

水戸芸術館現代美術ギャラリーにて、5月7日まで(月曜休館)。

クリテリオム67 本城直季

ビーチやスキー場を空から撮影した《play room》シリーズが10点ほど。写真の上下がピンボケになっているため、模型を見ているような錯角が面白い。レンズに対して、フィルムを傾けて撮影するとこうなるらしい。こういう写真、撮ってみたいなあ。

水戸芸術館現代美術ギャラリーにて、5月7日まで(月曜休館)。

CHIKAKU@向ヶ丘遊園

2006-04-08 | アート感想@関東
小田急の向ヶ丘遊園からてくてく歩き、生田緑地の中にある美術館へ。

CHIKAKU/四次元との対話
―岡本太郎からはじまる日本の現代美術


オーストリアとスペインで開催された「日本の知覚」展をもとにした、日本での帰国展。それまで考古学の資料に過ぎなかった縄文土器を、はじめて美術的に評価した岡本太郎。その岡本が「四次元」と呼んだ日本人の呪術的感覚を切り口に、岡本を含む15人の作家たちの作品で構成された展覧会。

とにかく豪華なメンバーによる展覧会だった。草間彌生やなぎみわ須田悦弘小谷元彦など、ベテランから若手まで個性的な顔ぶれがそろう。それらに加え、森山大道中平卓馬杉本博と日本写真史をリードしてきた写真家も出展。これら3人の写真と並んで、岡本太郎の写真も展示されていたけど、写真界の巨匠たちと並べても全く見劣りしない存在感はさすが。

今回最も印象に残った作品は、エントランスホール中央に吊るされていた森脇裕之の《Lake Awareness》。この作品は電子基盤をすり鉢状に組み合わせた作品で、手を近づけるとLEDが青色から白色に変化し、鈴虫のような音が鳴るというもの。作品の表面に沿って手を動かせば光の軌跡が残るし、近づけた手を動かさずにいると光が作品全体にわーっと広がっていく。この感覚が面白くて、夢中になって遊んでしまった。それと、すり鉢の中央に入って、光に包まれることも可能。

このほか、伊藤高志による、無人の体育館で撮影した700枚の作品を再構成した映像作品《SPACY》が印象的だった。ただ、小谷元彦は、《ベレニス》が電気系統の故障のため見られず、《スケルトン》だけだったのが残念。あと、須田悦弘は2点出展しているけど、下手をすると両方とも見落としそうなので注意!

川崎市岡本太郎美術館にて、6月25日まで(月曜休館)。