現代アート道楽の日々。

首都圏の展覧会の感想など。しばしば遠征。【不定期更新】

奈義町現代美術館(後編)

2005-07-30 | アート感想@遠征
前編からの続き。

北棟ギャラリーでは、ちょっとした展覧会が開催中だった。

「遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体」展

荒川修作に関する第三者の評論、荒川によるスケッチ、そして観客が展示室「太陽」で撮影した写真など。この展示を観ていると、ますます展示室「太陽」への期待が高まり、いてもたってもいられなくなってくる。

8月31日まで。

そしていよいよ展示室「太陽」の前室へ。この狭い部屋(冒頭の写真)は、壁一面に何気ないスナップ写真が貼られ、まるで今わの際に現世の思い出が走馬灯のように流れているかのよう。ここはアッチの世界との境界か?

中央の黒い柱のような物体は、中が螺旋階段になっていて、大人一人が何とか上れるくらいの狭さ。全体が斜めになっていて、なんとも上りにくかった。

そして階段を上り終え、展示室「太陽」で観たものは……。


これがあの巨大な筒の中で、空間全体が荒川修作+マドリン・ギンズの《遍在の場・奈義の龍安寺・建築的身体》。龍安寺の石庭が反転し、それほど広い空間ではないはずなのに、はるかな広がりを持った空間に放り出されたかのよう。筒が斜めになっているので、バランスをとるために感覚がどんどん鋭くなっていく。


反対側から振り返るとこんな感じ。入り口のところに理解不能な解説が書いてあったけど、この部屋を体験した後では、なんとなく直感的に納得してしまうのがコワい。

これまで荒川の「体験装置」を志段味・養老(記事はこちらこちら)と体験。一番のオススメは養老だけど、奈義もなかなかのもの。

最後に展示室「月」で、岡崎和郎の《HISASHI-補遺するもの》を観る。荒川作品の圧倒的なインパクトの後だったけど、無駄のない静謐な空間に心が安らぐ。

作品数こそ3点と少ないけど、建築と作品が一体となった素晴らしい美術館だったと思う。これでもう少しアクセスが良ければなあ……。

このあと、時間と体力に余裕があれば倉敷にも足を伸ばそうと思っていたけど、バスからの乗り継ぎに失敗して断念(涙)。

奈義町現代美術館(前編)

2005-07-30 | アート感想@遠征
岡山県北部にある奈義町現代美術館に行ってきた。

津山から路線バスで行ったけど、7月13日のダイヤ改正でバスの本数が多少減っていて焦った。幸い予定のバスは健在だったけど、これから行く人は中鉄バス非公式ページで時刻を確認した方が無難。

この美術館(写真)は、3人の美術家に作品を依頼し、その作品の空間を磯崎新が建築化したというもの。今でこそ地中美術館もあるけど、まず作品ありきという美術館は、当時としてはかなりユニークだったかも。冒頭の写真の右側に見える大きな白い筒は、展示室「太陽」で、荒川修作+マドリン・ギンズの作品が展示されている。

エントランスホールと受付を通り、シックな雰囲気の喫茶室の先には、展示室「大地」があり、ここには宮脇愛子の《うつろい》が展示されている。

この美術館は撮影可(フラッシュは禁止)だったので、遠慮なくデジカメで撮影。



打ちっぱなしのコンクリートに囲まれた池に作品が映り、なかなか良い雰囲気の空間だった。奥に見える白い建物は、展示室「月」で、岡崎和郎の作品が展示されている。



トンボが作品にとまっていたので、ズームで狙ってみた。

後編に続く。