『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

指孔と指

2023-04-28 22:10:45 | 気付き
その後、口元が安定するお作法的構え方も工夫し、より鳴ってきた江平の笛。

更に、本日、アっと驚くというか、呆れてしまう気付きがありました。

それは押さえていない時の指の取り扱い。

フルートでは、指はなるべく常にキィの側というのが基本中の基本。

そういう風にしていないと、速いパッセージなど不可能でしょう、ということで。

音大時代、とある先輩は、フルートに何かしら工夫して実際に糸を張り、それに指が触れないように練習した、と伝え聞いたことがある。

実際プロ奏者のみならず、結構やり込んだアマチュアでも、指がバタついている人は居ない。

それくらい、指の動きに関してはフルートに親しむ者はみんな修行している訳で。

なので、江平の笛でも、普通に指が指孔の側という状態で吹いていた。

でも、ふと、指孔の上で指を揺らして、音程を揺らす技、というのを試していて、ハタと気付いた。

指が穴に近いとピッチが微妙に下がり、音色は暗くなるのだな、ということに。
ピッチに関しては吹き方で微調整しながら吹いていた。

気付いてみれば、そんなの物理的に当たり前じゃないか、と思うけれど、なんせ半世紀フルートを吹いていたので、指を穴から離す時に高く上げるなどということはしたことがない。というか、してはいけないと身体の感覚に刷り込まれている。

これを取っ払って、指が天上を指し示すくらいに、パっと上げて吹く様にしたところ、より音の通りも響きも良くなり、音程もラクで、ようやく江平の笛を吹いて、楽しいなあ、という気持になれたのでした。

それに気づいたのだけれど、指孔から指が遠くても、それほど指運びに不自由するということはない。むしろ、その都度指がリセットされリフレッシュされるので、機嫌よく吹ける。

指を指孔から遠ざけた後の音は、ちょっとマスクを外した後の感じに似ている。
これも、ずっと抱えていた違和感の原因の一つだったのだろう。

90分程練習した後、夫が「ピピ知らない?何処にも居ないんだけど・・」と入ってきた。

「え?2階にも居ないの?」と心配になったのだけれど、なんと、笛を吹いていたリビングのソファーの裏、窓際で日光浴しつつウトウトとしていたのでした。

ピピはシビアな猫で(猫は皆シビアか・・)フルートを組み立てだすと「チェッ!」と舌打ちするかのような表情で憮然として部屋を出て行くのが常。

江平の笛の時も同様で、手にしただけで逃げ出していた。

その上、60分くらいするとやってきて「もうやめてくださいよ~~」と足元にスリスリして妨害する。

猫ハラスメント、「ネコハラ」という奴です。

それが今日は逃げ出さず、ずっと同じ部屋に。
それも90分。

たまたまかもしれませんが、こんなことは初めてだったので、とても嬉しい。