甲野先生のメルマガを出している出版社「夜間飛行」の編集者Tさんとは、もう17年以上、つまり、甲野先生と同じ年数のお付き合いとなりました。
私のリサイタルなどにもよく来てくださり、淡い交流が続いています。
そのTさんが贈ってくださった、とてもレアで濃い本。
厚みも4センチくらいあり、知らない単語がこれでもか、というくらい並んでいて、ちょっと読むのには難儀しましたが、とても面白い。
理解はできなくても、何か読むだけで、いやもっと言えば変な話、手に取っただけでも、何かしら妙な力が授かってしまうような、そんな本です。
「白川さん、とにかく、(著者は)物凄く、いろんなことを知っている人なんですよ。
そもそも、歌は人間だけのものではなく、その始まりは・・なんだと思いますか?」
話の流れから推測する。
「・・クジラとかですか・・・?」
「・・・フグなんです!」
「・・えっ!? せめて、クジラとか、イルカとかでしょう。・・フグ??」
「はい。フグとか、あとアンコウなんかも・・とにかく読んでみてください!」
というのが電話で交わした会話。
著者の開催しているワークショップの動画などもあり、観てみたのですが、あまりにぶっ飛びすぎていて、ちょっと私の範疇ではないかな、と引いてしまったのですが、この本は、本当に面白かったです。
瞑想する時に、ずっと同じ波長の電子音が流れると、気になってイラっとなり瞑想できない、という体質であることも、引いてしまった理由。電子音、嫌いだ。
あと、著者の相貌や声が、やや苦手なタイプという、非常に個人的な偏った趣味に基づく「好き嫌い」の問題。
こればかりは、もう理由はなく、「お刺身と梅干が嫌い」(本当です)という食べ物の嗜好と一緒で、本当に申し訳ないことだけれど、致し方ない。
縁がない、ということなのだと思います。
でも、著者自身への共感は湧かないし、この本の内容も、訳はわかんないけれど、とても面白かった。
記されている「専門用語」の羅列の殆どはわからなかった。
ちょっとケムに巻かれてしまって、ああ、それで?と言いたくなる箇所が多い。
でも、気になったところは、そのワードを検索して、と辞書的に使えば、知識が増える。
結局のところ、要約すれば最も重要なことは、パフォーマンス時における「意識変容」ということなのだろう。
それは甲野先生の「我ならざる我」にも通じる。
・・・・・・・・・・・・・・・
そんな、ちょっと醒めた読者であったにも関わらず、読後のご利益も多々あった。
それはいずれも呼吸に関する新たな気付きが2つ。
古今東西の「音楽」の様々な情報の辞書としても使える。
影響されて、ドリア旋法のソロ、そしてカノンも作ってしまった。
「白川さん、クラッシックなんて、ほんの一時期のヨーロッパという一地方の音楽なんですよ。
これからは、もっと古今東西の本当の名作を演奏なさっていくといいと思いますよ。」
と何度も仰っていた関根秀樹先生の言葉を改めて思い出しています。
ピグミーの対位法も、グレゴリオ聖歌も、ホーミーも、みな関根先生に教えていただき、初めて知った。
でも、私は、そうしたことを踏まえた上で、本来の原始のエネルギーを内包するクラッシック音楽をやりたい、と思いを新たに。
バッハの音楽にも、そのご先祖がかつてハンガリーで奏でていたであろう、土着的旋律が見え隠れすることも多い。
それにしても、
・・フグねえ・・
フグは海の中で、どんな歌を歌っているのだろう・・
魚同士が電気信号でコミュニケーションをとっている、ということは以前、聞いたことがあり、それも驚きでしたが、さらに歌??
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『野生の声音 人はなぜ歌い、踊るのか』武田梵声 著 夜間飛行出版
まさに古今東西にわたって、歌謡、芸術の起源を探求し、現在に至るまでを描く驚くべき書物。
――養老孟司
この本を出した出版社は、本書によって100年後にも、その名を残すかもしれない。
――名越康文
私のリサイタルなどにもよく来てくださり、淡い交流が続いています。
そのTさんが贈ってくださった、とてもレアで濃い本。
厚みも4センチくらいあり、知らない単語がこれでもか、というくらい並んでいて、ちょっと読むのには難儀しましたが、とても面白い。
理解はできなくても、何か読むだけで、いやもっと言えば変な話、手に取っただけでも、何かしら妙な力が授かってしまうような、そんな本です。
「白川さん、とにかく、(著者は)物凄く、いろんなことを知っている人なんですよ。
そもそも、歌は人間だけのものではなく、その始まりは・・なんだと思いますか?」
話の流れから推測する。
「・・クジラとかですか・・・?」
「・・・フグなんです!」
「・・えっ!? せめて、クジラとか、イルカとかでしょう。・・フグ??」
「はい。フグとか、あとアンコウなんかも・・とにかく読んでみてください!」
というのが電話で交わした会話。
著者の開催しているワークショップの動画などもあり、観てみたのですが、あまりにぶっ飛びすぎていて、ちょっと私の範疇ではないかな、と引いてしまったのですが、この本は、本当に面白かったです。
瞑想する時に、ずっと同じ波長の電子音が流れると、気になってイラっとなり瞑想できない、という体質であることも、引いてしまった理由。電子音、嫌いだ。
あと、著者の相貌や声が、やや苦手なタイプという、非常に個人的な偏った趣味に基づく「好き嫌い」の問題。
こればかりは、もう理由はなく、「お刺身と梅干が嫌い」(本当です)という食べ物の嗜好と一緒で、本当に申し訳ないことだけれど、致し方ない。
縁がない、ということなのだと思います。
でも、著者自身への共感は湧かないし、この本の内容も、訳はわかんないけれど、とても面白かった。
記されている「専門用語」の羅列の殆どはわからなかった。
ちょっとケムに巻かれてしまって、ああ、それで?と言いたくなる箇所が多い。
でも、気になったところは、そのワードを検索して、と辞書的に使えば、知識が増える。
結局のところ、要約すれば最も重要なことは、パフォーマンス時における「意識変容」ということなのだろう。
それは甲野先生の「我ならざる我」にも通じる。
・・・・・・・・・・・・・・・
そんな、ちょっと醒めた読者であったにも関わらず、読後のご利益も多々あった。
それはいずれも呼吸に関する新たな気付きが2つ。
古今東西の「音楽」の様々な情報の辞書としても使える。
影響されて、ドリア旋法のソロ、そしてカノンも作ってしまった。
「白川さん、クラッシックなんて、ほんの一時期のヨーロッパという一地方の音楽なんですよ。
これからは、もっと古今東西の本当の名作を演奏なさっていくといいと思いますよ。」
と何度も仰っていた関根秀樹先生の言葉を改めて思い出しています。
ピグミーの対位法も、グレゴリオ聖歌も、ホーミーも、みな関根先生に教えていただき、初めて知った。
でも、私は、そうしたことを踏まえた上で、本来の原始のエネルギーを内包するクラッシック音楽をやりたい、と思いを新たに。
バッハの音楽にも、そのご先祖がかつてハンガリーで奏でていたであろう、土着的旋律が見え隠れすることも多い。
それにしても、
・・フグねえ・・
フグは海の中で、どんな歌を歌っているのだろう・・
魚同士が電気信号でコミュニケーションをとっている、ということは以前、聞いたことがあり、それも驚きでしたが、さらに歌??
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『野生の声音 人はなぜ歌い、踊るのか』武田梵声 著 夜間飛行出版
まさに古今東西にわたって、歌謡、芸術の起源を探求し、現在に至るまでを描く驚くべき書物。
――養老孟司
この本を出した出版社は、本書によって100年後にも、その名を残すかもしれない。
――名越康文